こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
「空き家を売りたいけれど、何から始めればいいのか分からない」
「不動産会社に頼んだあと、どんな順番で進むのか知りたい」
そんなご相談をいただくことがあります。
先にお伝えします。空き家を売る流れは、「相談・査定」「媒介契約」「売り出し」「申込み」「売買契約」「引き渡し」の6つの順番です。
多くの順番に、書面や期限の決まりがあります。順番と書面を先につかんでおけば、署名・押印の場面で慌てずに済みます。
この記事では、次の順にご紹介します。
- 空き家を売る6つの順番(図)
- 相談・査定:売る値段の意見には、根拠を聞く
- 売り方を決める:仲介か買取か、残すか解体するか
- 媒介契約の書面と、仲介手数料の上限
- 売り出しから申込みまで、売買契約、引き渡しのあと
売れる値段や、売れるまでの期間は、家の状態や場所で変わるため、この記事には書きません。契約の書面を読むための「下準備」としてお使いください。
🧭 空き家売却の流れは、6つの順番で進みます
空き家を売るときは、相談・査定から引き渡しまで、6つの順番で進みます。多くの順番に、書面や期限の決まりがあります。

書面が多いのは、2番の媒介契約と、5番の売買契約です。この2つは、署名・押印の前に、有効期間・解除・報酬・手付・特約の欄を読み返しましょう。「媒介契約」とは、買いたい方を探す仲立ちを、不動産会社に頼む契約のことです。
名義が亡くなった方のままの空き家や、家財が残ったままの空き家は、売り出しの前にすることが増えます。名義は相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前に、家財・建物・名義の状態は空き家はそのまま売れるか|家財・建物・名義をご覧ください。
まずは、ご自分がいま、図のどの番号にいるかを確かめるところから始めてみてください。
出典:宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索) 第34条の2・第37条、同施行規則 第15条の9・第15条の10、民法(e-Gov 法令検索) 第557条・第566条・第572条
📞 相談・査定|値段の意見には、根拠を聞きましょう
不動産会社は、媒介契約の書面に書く売る値段について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません。値段だけでなく、なぜその値段になるのかを聞いて大丈夫です。
これは宅地建物取引業法 第34条の2 第2項の決まりです。媒介契約の書面には、売る値段(価額又は評価額)を書くことになっています。その値段について意見を言うときに、根拠を明らかにする義務があります。
たとえば、何社かに相談したとき、値段の高さだけで選ばず、「何を見てその値段になったのか」の説明を並べて比べてみてください。
まずは、査定の値段の根拠を、1つ質問してみることをおすすめします。
出典:宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索) 第34条の2 第1項第2号・第2項
🔀 売り方を決める|仲介か買取か、残すか解体するか
査定のあとは、「仲介で売り出すか、買取か」と「建物を残すか、解体するか」の2つを決めます。この2つで、そのあとの順番が変わります。
仲介は、不動産会社に買いたい方を探してもらう売り方で、上の図の2番から5番の順に進みます。買取は、不動産会社が自分で買う売り方です。仲立ち(媒介)とは別の取引なので、仲介手数料の決まりは、そのままは当てはまりません。ただし、間に別の仲介の会社が入るときは、その会社への報酬が生じることがあります。
買取は、解体費も手間もかからず、いちばん早くて楽です。ただし、手元に残るお金は少なくなることがあります。買取については空き家の買取と仲介の違いと古家付き土地の買取|仲介手数料と手取りで、手残りの考え方をまとめています。
建物を残すか解体するかは、売る土地の状態で変わります。判断の材料は古家付き土地売却|残すか更地にするか決め手5つに、解体費を誰が払うかは古家付き土地の解体費用は誰が払うにあります。
当社では、買取・解体して更地で売る・建物があるまま売る、のどの形でもご相談いただけます。解体工事も自社で責任を持って行いますので、解体費も含めてそれぞれの形を並べ、手元に残るお金がいちばん多くなる選び方をご提示します。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
迷われたら、仲介と買取、残すと解体、それぞれで手元に残るお金を並べて比べるのが近道です。
出典:国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム」、宅地建物取引業法 第46条
📝 媒介契約|書面で決まる3つと、3か月の上限
仲介で売るときは、不動産会社と媒介契約を結び、書面に「売る値段」「有効期間と解除」「報酬」などが書かれます。
不動産会社は、媒介契約を結んだら、遅滞なく書面を作り、記名押印して依頼者に渡さなければなりません(宅地建物取引業法 第34条の2 第1項)。この書面が、あとで「言った・言わない」にならないための、いちばんの拠りどころです。
契約には、他の不動産会社に重ねて頼めるものと、頼めないものがあります。頼めない契約を「専任媒介契約」といい、有効期間は3か月を超えられません。更新は、依頼者の申出があったときに、更新の時から3か月までです。
| 契約の種類 | 他の会社に重ねて頼めるか | 有効期間 | 状況の報告 |
|---|---|---|---|
| 専任媒介契約 | 頼めない(禁じる契約) | 3か月まで(更新は申出で、更新の時から3か月まで) | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約(専任媒介契約に、会社が探した相手以外とは契約できない旨の特約を含む) | 頼めない | 3か月まで | 1週間に1回以上 |
| 他の会社にも重ねて頼める契約 | 頼める | 法律には書かれていません(契約書で確かめる) | 申込みがあったときの報告は、すべての媒介契約で必要 |
どの契約が向いているかは、法律からは言えません。ご家族の事情や、売り出したい期間で変わります。契約書の有効期間と解除の欄を読んで、納得できる契約を選んでください。売主が用意する書類は、この記事では取り上げていません。媒介契約を結ぶときに、不動産会社に一覧をもらいましょう。
出典:宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索) 第34条の2、同施行規則 第15条の9
💴 仲介手数料|上限は国の告示で決まっています
仲介手数料(媒介の報酬)には、国の告示で上限があり、その額を超えて受け取ってはいけません。実際の額は、媒介契約書の「報酬」の欄で決まります。
宅地建物取引業法 第46条は、媒介の報酬の額は国土交通大臣の定めるところによると定め、その額を超えて受け取ることを禁じています。売買の媒介の上限は、告示(昭和45年建設省告示第1552号)に、次の表のとおり書かれています。
| 売る値段(消費税等相当額を含まない額)の区分 | 上限の割合(消費税込み) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
売る値段が800万円以下の宅地・建物には、特例もあります(空き家かどうかや、使われ方は問いません)。媒介にかかる費用を考えて、上の計算より多く受け取れます。この場合の上限は「30万円の1.1倍」です(計算すると33万円。告示の数字ではなく、当方の計算です)。上限であって、その額になるとは限りません。上の計算より多く受け取るときは、契約を結ぶ前に、報酬の額について説明を受けて合意する必要があります。
なお、依頼して行う広告の料金は、上限とは別に受け取れるとされています。契約の前に、報酬の欄の金額と、何に対する報酬かを確かめましょう。
出典:宅地建物取引業法 第46条、国土交通省 告示(昭和45年建設省告示第1552号) 第二・第七・第十一、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(新旧対照条文)
📢 売り出しから申込みまで|報告を受けましょう
専任媒介契約で売り出すと、不動産会社は、決められた間隔で状況を報告しなければなりません。専任媒介契約は2週間に1回以上、専属専任媒介契約は1週間に1回以上です。
専任媒介契約を結んだ会社は、契約の相手方を探すために、所在・規模・形質・売る値段などを、国土交通大臣が指定する者(指定流通機構)に登録しなければなりません。その期間は、契約を結んだ日から7日以内(専属専任は5日以内)で、休業日は数えません。これらの決まりに反する特約は、無効です。
売り出したあとに確かめること
登録された内容の見方は、不動産会社にお尋ねください。他の会社にも重ねて頼める契約の報告の間隔は、法律には書かれていません。契約書で確かめましょう。
報告が決まりの間隔で来ないときは、契約書の解除の欄を確かめて、不動産会社に問い合わせましょう。なかなか売れないときに見直す点は、実家が売れないときにできること|見直す4つにまとめています。
出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第5項・第8項〜第10項、同施行規則 第15条の10
🤝 売買契約|手付と引渡しの時期を、書面で確かめます
売買契約では、手付の扱いと、引渡しの時期を、書面で確かめましょう。
民法は、買主が手付を渡したとき、買主は手付を放棄して、売主はその倍の額を現実に提供して、契約を解除できると定めています(第557条)。ただし、相手が契約の履行に着手したあとは、できません。条文の読み方としては、手付による解除では、別に損害賠償は請求できません。
「履行の着手」とは、契約の実行に取りかかることです。何がそれに当たるかは、法律には書かれていません。契約で手付の扱いを変えているかも、法律からは分かりません。契約書の手付の欄や、解除の期日の定めを、署名の前に読み返してください。
また、不動産会社が媒介して契約が成立したときは、会社は、遅滞なく、契約の各当事者に書面を交付しなければなりません(宅地建物取引業法 第37条)。この書面には、引渡しの時期を書くことが義務づけられています。
契約の書面で確かめる欄
条文は、不動産会社に書面の交付を義務づけるものです。実際の書面にどう書かれているかは、お手元の書面で確かめてください。個人どうしの直接の売買には、この条文はかかりません。
更地で引き渡す約束などをつけるときは、更地渡しはどこまで|解体と整地の範囲もご覧ください。契約の前に確かめる点は空き家を売るときの注意点|契約の前に確かめる3つにもあります。
出典:民法(e-Gov 法令検索) 第557条・第545条第4項、宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索) 第37条
🔑 引き渡しのあと|契約に合わない所は、知った時から1年以内に通知
引き渡した家が契約の内容に合っていなかったとき、買主は、種類や品質については、知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。通知しないと、買主は、直してもらうこと・代金を減らすこと・損害賠償・解除を求められなくなります。
これは民法 第562条(直してもらう請求)と第566条(1年以内の通知)の決まりです。ただし、売主が引き渡すときにその不具合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは、この期間の決まりは当てはまりません。
責任を負わない旨の特約をした場合でも、売主は、知りながら告げなかった事実については、責任を免れられません(民法 第572条)。たとえば、雨漏りのあとを知っていたのに買主に伝えなかった場合は、特約があっても免れられない、ということです。
だからこそ、売る前に、知っている不具合は、不動産会社にも買主にも伝えておくことが、あとのトラブルを防ぎます。引き渡し当日の段取りは、この記事では扱っていません。不動産会社に先に聞いておきましょう。起きやすいトラブルは古家付き土地の売却で起きやすいトラブルにまとめています。
出典:民法(e-Gov 法令検索) 第562条・第566条・第572条
❓ よくあるご質問
Q. 媒介契約を、途中でやめたくなったらどうなりますか
条文は、媒介契約の書面に「有効期間及び解除に関する事項」を書くと定めているだけです。途中でやめられるか、どんな条件かは、法律からは言えません。契約書の解除の欄を確かめ、分からなければ署名の前に不動産会社に聞きましょう。
Q. 売ったあとの税金は、どうなりますか
売って利益が出たときは、譲渡所得の税金がかかることがあります。相続した家なら、空き家特例が使える場合があります。使えるかどうか、いくらになるかは、税務署か税理士にご確認ください。計算の順番は空き家売却の税金|相続した実家の計算の順番、申告の時期は実家売却の確定申告|必要な書類と時期、特例の要件は空き家特例3,000万円控除|要件と使えない例にまとめています。
出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
📝 この記事のまとめ
- 空き家を売る流れは、「相談・査定」「媒介契約」「売り出し」「申込み」「売買契約」「引き渡し」の6つの順番です
- 不動産会社は、売る値段について意見を述べるとき、その根拠を明らかにしなければなりません。査定の根拠は、聞いて大丈夫です
- 媒介契約の書面には、売る値段・有効期間と解除・報酬が書かれます。専任媒介契約の有効期間は3か月までです
- 仲介手数料には国の告示で上限があり、売る値段が800万円以下の特例もあります。報酬の欄は、署名の前に読み返しましょう
- 手付を渡した売買では、相手が履行に着手するまで、買主は放棄、売主は倍額の提供で解除できます。引き渡したあとは、契約に合わない所を、知った時から1年以内に通知します
- 次の一歩は、①いま図のどの番号にいるかを確かめる、②査定の根拠を1つ聞く、③契約書の有効期間・解除・報酬・手付・特約の欄を読み返す、の3つです
空き家を売る道のりは、書面と日付が多く、はじめての方には不安が重なります。順番さえつかめれば、一つずつ確かめながら進められます。ご自分の場合の順番を、ひとつずつ確かめながら進めてください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、宅地建物取引業法・同施行規則・民法の条文(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)、国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号。令和6年7月1日施行の改正後)に基づく一般的な説明です。契約の内容や費用の判断は、契約書をご確認のうえ、宅地建物取引業者・弁護士・司法書士にご確認ください。税金は、税務署・税理士にご確認ください。最終更新日:2026-10-14。
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