福岡で空き家やご実家の売却を考えている方に向けて、福岡都市圏24市区町の売却相場を毎月お届けする連載の第3回です。2026年9月の30日間で、新しく売りに出た物件は2,105件、市場から消えた物件は延べ2,091件でした。今回いちばんお伝えしたいのは、この「消えた」を、そのまま「売れた」と読んではいけないということです。
消えた物件を1件ずつ追いかけると、223件(10.8%)は、月末までに同じ物件番号で掲載に戻っていました(先ほどの2,091件は、同じ物件が2回消えた分を含む延べ件数で、物件の数にすると2,074件です。10.8%は物件の数で割っています)。新しく売りに出たように見える物件にも、以前に載っていた番号が18.6%混じっています。特に土地では、消えた物件の19.4%が戻っていました。
数えているのは公開情報だけなので、なぜ戻ったのかまでは分かりません。ただ、「消えた件数」を「売れた件数」と受け取ると、実際より市場が動いているように見えてしまいます。
前号(2026年8月号)から切れ目なく数え続けて見えてきたことを、順番にご覧いただきます。数字が苦手な方は、後半の『このデータをどう使うか』の章から読んでいただいても大丈夫です。
📊 この調査について(毎月更新の定点観測)
私たちサンミライ開発は、解体と不動産売却をワンストップでお手伝いする会社として、福岡市の7区と、その周辺の市や町、それに久留米市を加えた24の市区町(福岡市7区・久留米市・筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市・糸島市・古賀市・福津市・宗像市・糟屋郡7町)の戸建・土地の売出し情報をほぼ毎日集計しています(9月は30日中21回)。
公開されている情報をもとにした独自調査で、常時売り出し中の約8,700件を追いかけています。なお、解体や売却のご相談自体は福岡県・佐賀県の全域で承っています。このレポートは、市場の動きを毎日追いやすい福岡都市圏に絞って観測しているものです。
今回の観測期間は2026年9月1日〜9月30日です。8月31日の調査時点を起点に、9月30日の調査時点までの30日間の動きを数えました。前号(7月17日〜8月31日の45日間)の最終日から切れ目なく続けています。実際の成約価格については国土交通省 不動産情報ライブラリの2023〜2025年の宅地(土地)取引データを使用しています(前号と同じ版です)。個別の物件や取扱会社の情報は扱わず、市区町単位の集計のみを掲載します。
先月との比較で気をつけていること — 誤差と本当の変化の見分け方
前号は45日間、今回は30日間。観測した日数が違うので、合計件数をそのまま並べることはできません。では1日あたりに直せばよいかというと、割り方によって結論が変わってしまいます。たとえば新着は、暦の1日あたりで数えると前号の約65件から約70件へ増えたように見えますが、調査日1回あたりで数えると約108件から約100件へ減ったように見えます。同じデータで、向きが逆になるのです。消えた件数も、暦の1日あたりでは約58件から約70件へ2割ほど増えて見えますが、調査日1回あたりでは約96件から約100件へほぼ同じです。
調査1回ごとの数字は、新着が33件の回もあれば、240件の回(週末をはさむ3日ぶん)もあるなど、ばらつきが大きいものです。このばらつきを考えると、前号との差は「変化があった」と言い切れるものではありませんでした。
そこで本号では、新着・値下げ・値上げ・消えた件数のいずれも、先月との増減率は出さないことにしました。「動きの量は、前号とほぼ同じ」というのが、今回の結論です。
📈 2026年9月の市場の動き — 新しく2,105件・値下げ2,010件・市場から消えたのが2,091件
まず、30日間で市場がどれだけ動いたかの全体像です。
売出し中の物件が常時約8,700件あるなかで、30日間に2,000件規模の「値下げ」と「消えた」が同時に起きています。福岡都市圏の戸建・土地の市場が新陳代謝の速い市場であることは、今回も変わりませんでした。
ちなみに、この30日間に確認できた戸建・土地を通じた値上げは、延べ77件でした(値下げは延べ2,010件)。値上げは、一括の価格改定が1日入るだけで月の合計が大きく変わってしまうため、水準だけをお伝えし、前月との比較はしないことにしています。
売り物の数は、9月はほぼ横ばいでした
月末どうしで比べると、7月末から8月末は+280件、8月末から9月末は+14件でした。6月末から8月末までは毎月280〜290件のペースで増えていたものが、9月は横ばいに近い動きでした。ただ、日ごとの動きを見ると、9月14日までは売り物が約110件増え、15日以降は約95件減っています。日ごとのばらつきも大きいため、この1か月の差だけで「市場の流れが変わった」とまでは言えません。10月以降も同じ数え方で続けて、確かめていきます。
なお、上のグラフは月末どうしで並べています。レポートの観測期間の区切り方に左右されない見方をお見せするためです。観測期間で数えた増加は14件で、月末の実数(8,690件→8,704件)と一致しています。
値下げの中身は、3か月続けてほぼ同じ形でした
値下げ2,010件の値下げ幅は、中央値でおよそ100万円、率にして約3.4%。第1号・第2号とも約3.3〜3.5%でしたので、ほぼそのまま重なります。値下げのうち、約83%が戸建でした。第1号・第2号は約86%でしたので今回はやや低めですが、値下げの大半が戸建である点は同じです(戸建には築浅のものも含まれます)。
値下げ幅の中央値
値下げ率の中央値
戸建の割合(土地より戸建が多い)
中央値とは、値を順に並べたときの真ん中の値のことです。極端に大きい・小さい物件の影響を受けにくいため、本レポートではこちらを使っています。
中央値が3か月続けて同じこと自体は、あまり驚くことではありません。中身を開けると理由が分かります。値下げ2,010件のうち、きっかり100万円の値下げが43.3%と最も多く、次いで200万円が22.0%。こうした100万円単位の値下げが全体のおよそ7割(71.3%)を占め、10万円単位まで広げると90.2%になります。
つまり、見えているのは「中央値がたまたま一致した」ことよりも、100万円刻みの値下げが多いということです。理由まではデータから分かりませんが、価格を見直すときに区切りのよい金額にする習慣があるのかもしれません。100万円という値下げ幅が大きいのか小さいのかは、木造・鉄骨別の解体費用の相場と並べてみると考えやすくなるかもしれません。
🔄 市場から消えた2,091件は、全部が「売れた」わけではありません
前号までは、「消えた物件」を成約か取下げか公開情報では区別できないと書くにとどめていました。今回は、消えた物件のその後を1件ずつ追いかけることで、区別はできなくても、「消えた」という数字の中身をもう少し細かく見てみました。毎月同じやり方で数え続けているからできる見方です。
①消えた物件の11%は、同じ番号で戻ってきました
9月に一度でも消えた物件は、物件の数にして2,074件(先ほどの2,091件は、同じ物件が2回消えた分を含む延べ件数です)。このうち223件(10.8%)は、9月30日の調査では、同じ物件番号で再び掲載されていました。戸建では98件(6.8%)、土地では125件(19.4%)と、土地のほうが戻る割合が大きくなっています。理由はいろいろ考えられますが、公開情報からは分かりません。
9月に消えて、月末までに戻らなかったのは1,851件です。売れた物件の大半はここに含まれると考えられますが、売るのをやめた物件(取下げ)も含まれます。売れた件数そのものは、公開情報からは分かりません。
②「新着」の中にも、戻ってきた物件が混じっています
同じことは新着にも言えます。9月に新しく売りに出た物件2,086件(物件番号の数)のうち、387件(18.6%)は、8月31日以前の調査にも載っていた番号でした。戸建は166件(12.0%)、土地は221件(31.7%)です。つまり土地の新着は、3件に1件近くが「新しく出てきた物件」ではなく「戻ってきた物件」でした。
しかもこのうち243件(約63%)は、①で見た「9月に一度消えて、戻ってきた物件」と同じ物件です。消えた件数も新着件数も、同じ出入りで二重に膨らんでいる、ということです。なお、6月30日より前の掲載歴は調べられていないため、実際の割合はこれより高い可能性があります。
③売り出してから消えるまで — 中央値は約89日
戻らなかった1,851件について、公開日から、最後に掲載を確認できた日までの日数を数えました。中央値は89日で、戸建が88日、土地が約113日です。17%は30日未満で消えていますが、半年(180日)を超えてから消えたものも22%ありました。1年を超えた物件が8.5%です。売り出してすぐに消えるものがある一方で、長く掲載が続いたあとに消える物件も少なくない、ということになります。なお、これは消えた物件だけを数えた日数です。いまも売りに出ている物件の掲載期間ではありません。
④別の番号で今も載っている物件
もうひとつ、番号が変わって載り直した物件も考えられます。戻らなかった1,851件のうち、所在地と土地・建物の面積が同じ物件が、9月30日の在庫に別の番号でちょうど1件だけあるものは104件(5.6%)、そのうち取扱会社まで同じものは32件(1.7%)でした。ただし、出し直しだけでなく、同じ物件が別の番号で並行して載っていた場合や、同じ分譲地の隣の区画も含まれる可能性があります。
条件をゆるめれば数はもっと増えますが、別の物件を数えてしまう度合いも大きくなるため、ここでは使っていません。あくまで推定で、「消えた=売れた」とは限らない物件が、この程度は含まれると読んでください。
ここから言えること/言えないこと
- 言えること — 「消えた件数」は、売れた件数そのものではありません。取下げや一時的な非掲載が含まれるためです。9月は、消えた物件の約1割が同じ番号で戻りました。
- 言えること — 土地は、消えた物件が同じ番号で戻る割合が戸建より高めでした(土地19%・戸建7%)。
- 言えないこと — 実際に何件が売れたのかは、公開情報からは分かりません。成約か取下げかを区別できない点は、これまでと同じです。
🔍 売りに出たまま残っている土地の値段は、9月もほとんど動いていません
次に、売りに出たまま残っている土地の値段です。あとでご紹介する一覧を見ると、売出し価格の中央値が先月より3%以上上がった市区町が9つあります(福岡市中央区・福岡市西区・古賀市・筑紫野市など)。ふつうに読めば「このエリアは値上がりしている」と思ってしまいます。ですが、中央値は、並んでいる売り物の顔ぶれが入れ替わるだけで動きます。そこで、8月31日と9月30日の両方に載っていた、家を建てられる土地(面積50〜660㎡)だけを1件ずつ突き合わせて、同じ物件の値段が動いたのかどうかを調べました。
値段が変わっていない(87.2%)
値下げされた(11.4%)
値上げされた(1.4%)
結果は、両方の日に載っていた、家を建てられる土地2,096件のうち、値上げされたのは29件(1.4%)だけでした。値下げされたのが239件(11.4%)、残る1,828件(87.2%)は価格が変わっていません。値段が動いた268件のうち、89%が下方向です。市区町ごとに「ずっと売りに出ている土地」の中央値を出すと、上がったのは福岡市東区だけ(坪44.4万円→44.7万円)で、下がったのは7市区町、残る16市区町は(0.1万円単位では)変わっていません。
中央値が3%以上上がった9市区町のうち、8市区町では、ずっと売りに出ている物件の中央値は変わっていません(0.1万円単位)(残る1つの糟屋郡篠栗町も、わずかに下がっています)。顔ぶれの入れ替わりが主な理由と考えられます。福岡市西区を例にすると、売出し中の土地全体の中央値は坪40.8万円から49.4万円へ上がって見えます。
しかし、ずっと売りに出ていた87件の中央値は坪40.3万円のままです(値段が動いたのは8件で、いずれも値下げでした)。この間に消えた12件の中央値は坪44.7万円、新しく出てきた18件は坪69.5万円と、新しく出てきたほうが高い価格帯でした。
逆向きの例もあります。糟屋郡志免町は中央値が坪32.5万円から30.0万円へ下がりましたが、ずっと売りに出ている16件は坪29.6万円のまま、消えた4件のほうが坪44.0万円と高めでした。糟屋郡宇美町も同じ形です。ただし、どちらも消えた・入った物件が数件ずつと少なく、1件の出入りで中央値が動きやすい点にご注意ください。
「◯◯区の坪単価が上がった(下がった)」という数字を見たら、それが「同じ物件を追いかけた数字」なのか、それとも「並んでいる売り物を数え直した数字」なのかを確かめてみてください。この2つは、まったく別のことを言っています。
なお、いったん掲載が終わって番号が変わってから出し直された物件は、この突き合わせには含まれていません。その分、「価格が変わっていない」の割合はやや高めに出ている可能性があります。
💰 売出し価格と実成約価格の差 — 24市区町の実測
ここからは、売出し価格が実際の成約価格とどれくらい離れているかを見ていきます。売出し価格はあくまで売主の希望価格であり、実際に取引が成立した成約価格とは別のものです。今回は、売出し側を2026年9月30日時点の宅地の土地(家を建てられる土地・面積50〜660㎡)に絞り、国土交通省が公表している実際に取引された価格のデータ(2023〜2025年の中央値。
以下このレポートでは「実成約」と呼びます)と、坪単価(1坪=約3.3㎡あたりの価格)で比べました。ただし、比べている時期がずれている点にご注意ください(成約は過去3年、売出しは現在)。地価が上がっている地域では差が大きく見えやすく、下がっている地域では小さく見えたりマイナスに出たりします。あくまで大まかな傾向をつかむための参考としてご覧ください。
比較に使う実成約データは、前号と同じ2026年8月26日取得の版のままです。前号の差の数字と、ものさしは同じですので、そのまま見比べていただけます。
差が大きかったエリア(上位10市区町)
図の中の「売出しは先月比」は、売出し中央値そのものの変化で、顔ぶれの入れ替わりを含んでいます。たとえば古賀市は+14.4%と出ていますが、ずっと売りに出ている物件の中央値は変わっていません。同じ物件の値上がり・値下がりを表す数字ではない点にご注意ください。
なお、このグラフからは売出し中の土地が10件に満たない糟屋郡新宮町(9件・+25.9%)と久山町(6件・+23.8%)を除いています(数件の出入りで数字が大きく動くため)。両町の数字は後半の全24市区町の一覧に載せています。
上位5つのうち4つを糟屋郡の町が占め、須惠町(+89.7%)・粕屋町・篠栗町・宇美町の順で、5位が春日市でした。前号と顔ぶれは同じで、3位と4位(篠栗町と宇美町)だけが入れ替わっています(須惠町は前号が+90.3%)。ただし糟屋郡の各町は、比較に使った売出し中の土地が19〜45件と少なく、数件の出入りで中央値が動きやすい点にはご注意ください。須惠町については解体費用や空き家対策をまとめた解説記事もあわせてご覧ください。
差がマイナスのエリアは「割安」とは限りません
逆に、売出し中央値が実成約中央値を下回ったエリアもあります(宗像市-29.4%・福岡市中央区-29.0%・久留米市-25.0%・志免町-9.1%・太宰府市-7.8%)。これは「今売られている土地がお買い得」という意味ではなく、条件の良い人気の土地は早く売れてしまうため、市場に長く残るのは少し条件の難しい土地が多くなるという、在庫の質の違いを映している可能性があります。マイナスの数字は「掘り出し物のサイン」ではなく「見極めがより大切なエリアのサイン」と読むほうが実態に近いかもしれません。
前号と並べると、福岡市西区は-13.2%から+5.1%へ、マイナスからプラスに変わりました。ずっと売りに出ている物件の中央値は変わっていないので、この変化は、並んでいる売り物の顔ぶれが入れ替わったことで説明できます。新しく出てきた18件が高めの価格帯でしたが、件数が少ないため、立地の違いなどの影響も考えられます。差の数字は、同じ物件を追いかけたものではない、という点をあらためてお伝えしておきます。
この数字の読み方 — 4つの注意点
- 時点が違います — 実成約は2023〜2025年の3年分の中央値、売出しは2026年9月30日時点です。地価が上がっているエリアでは、差が実際より大きく見えることがあります。
- 絞り込みの条件が一部違います — 面積50〜660㎡の宅地(土地)という点は両方そろえていますが、売出し側だけ「用途地域の定めがあり、市街化調整区域と工業専用地域を除く」という絞り込みを掛けています。この差には集計条件の違いも含まれます。
- 中身が違います — 売り出し中の土地と、実際に取引された土地では、立地や形・広さの構成が同じではありません。中央値どうしの比較は「傾向」を見るための道具です。
- 件数が少ないエリアは振れます — 取引や売出しの件数が少ないエリアの数字は参考程度にお考えください。今回でいえば糟屋郡の各町がこれにあたります。
ですから、この一覧は「須惠町なら半額で買える」という意味ではありません。実際の価格は、一つひとつの土地の条件(接道・形・再建築の可否・周辺環境)で決まります。この一覧が示すのは、あくまでエリアごとの「希望価格と実勢の距離感」のおおよその位置です。
全24市区町の売出し価格と実成約価格の一覧
以下が全24市区町の数字です。福岡市の7区 → 筑紫地区 → 糟屋郡7町 → 糸島・古賀・福津・宗像 → 久留米市の順に並べていますので、ご自身の市区町をお探しください。右端の「売り物の増減」は、8月31日から9月30日までに売り出し中の件数がどれだけ増えたか・減ったかです。
| 市区町 | 売出し中央値(件数) | 実成約中央値(件数) | 差 | 売り物の増減 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡市東区 | 48.8万円(181) | 45.0万円(361) | +8.4% | +41件 |
| 福岡市博多区 | 127.1万円(36) | 110.0万円(196) | +15.5% | +3件 |
| 福岡市中央区 | 142.1万円(68) | 200.0万円(154) | −29.0% | +8件 |
| 福岡市南区 | 52.2万円(184) | 51.0万円(265) | +2.4% | +32件 |
| 福岡市城南区 | 62.2万円(70) | 55.0万円(143) | +13.1% | +3件 |
| 福岡市早良区 | 70.3万円(117) | 63.0万円(261) | +11.6% | +10件 |
| 福岡市西区 | 49.4万円(105) | 47.0万円(213) | +5.1% | −51件 |
| 春日市 | 57.8万円(90) | 44.0万円(124) | +31.4% | −13件 |
| 大野城市 | 46.1万円(96) | 41.0万円(157) | +12.4% | −25件 |
| 太宰府市 | 29.5万円(100) | 32.0万円(155) | −7.8% | +31件 |
| 筑紫野市 | 30.5万円(102) | 30.0万円(175) | +1.7% | +6件 |
| 那珂川市 | 33.6万円(50) | 32.0万円(59) | +5.0% | −17件 |
| 糟屋郡宇美町 | 21.9万円(45) | 16.0万円(41) | +36.9% | −9件 |
| 糟屋郡篠栗町 | 39.2万円(27) | 27.0万円(48) | +45.2% | +8件 |
| 糟屋郡志免町 | 30.0万円(21) | 33.0万円(47) | −9.1% | −22件 |
| 糟屋郡須惠町 | 29.4万円(29) | 15.5万円(52) | +89.7% | +12件 |
| 糟屋郡新宮町※ | 42.8万円(9) | 34.0万円(50) | +25.9% | +8件 |
| 糟屋郡久山町※ | 16.1万円(6) | 13.0万円(17) | +23.8% | −6件 |
| 糟屋郡粕屋町 | 53.9万円(19) | 35.0万円(59) | +54.0% | +16件 |
| 糸島市 | 19.7万円(212) | 16.5万円(244) | +19.4% | +15件 |
| 古賀市 | 35.0万円(47) | 29.0万円(76) | +20.7% | −3件 |
| 福津市 | 22.8万円(96) | 19.0万円(169) | +20.0% | +9件 |
| 宗像市 | 11.3万円(133) | 16.0万円(166) | −29.4% | −17件 |
| 久留米市 | 12.0万円(657) | 16.0万円(535) | −25.0% | −25件 |
🏘 売り物が増えたのはどこか — 東区・南区・太宰府市で増加、西区は大きく減少
市区町ごとの在庫の増減を並べてみると(売り物の実数どうしを比べています)、9月は24市区町中14市区町で増え、10市区町で減りました。増加が大きかったのは福岡市東区(+41件)・福岡市南区(+32件)・太宰府市(+31件)、減少が大きかったのは福岡市西区(-51件)・久留米市(-25件)・大野城市(-25件)でした。
売り物が減ったからといって、すべてが売れたわけではないのは、先ほどご紹介したとおりです。西区の減少はこの30日間で51件と24市区町で最も大きく、もとの在庫の約10%にあたります(戸建・土地を含む在庫全体の増減で、先ほどの土地の入れ替わりとは別の数字です)。ただ、減った理由が「売れた」のか「引っ込めた」のかは、公開情報では区別できません。どちらなのかは、来月以降も数え続けてはじめて見えてくることだと考えています。
🏚 築40年以上の戸建653件・古家付き土地1,307件 — 在庫の現在地
2026年9月30日時点で売り出し中の8,704件のうち、築40年以上の戸建が653件、古家付きの土地が1,307件。あわせて全体の22.5%が「築古・古家」に関わる物件です。第1号(7月17日時点)は22.8%、第2号(8月31日時点)は22.6%でしたので、3か月続けて22%台で安定しています。売り物の総数は動いても、その中身の構成は変わりません。ここも定点観測ならではの見え方です。
売り物の多い市区町の内訳もご覧ください。
| 市区町 | 売出し中の物件数 | うち築40年以上の戸建 | うち古家付き土地 |
|---|---|---|---|
| 久留米市 | 1,676件 | 200件 | 278件 |
| 福岡市南区 | 813件 | 45件 | 113件 |
| 福岡市東区 | 762件 | 29件 | 103件 |
| 糸島市 | 718件 | 36件 | 68件 |
| 福岡市早良区 | 522件 | 24件 | 73件 |
築40年以上ということは、1980年代半ば以前に建てられたお家です。戸建に占める築40年以上の割合を市区町別に見ると(戸建が100件以上ある市区町)、久留米市が約33%・宗像市が約27%・太宰府市が約22%と高めでした。また、土地の売り物が100件以上ある市区町では、大野城市が約57%・福岡市南区が約54%・春日市が約52%の土地が古家付きでした(絞り込み前の土地全体で数えています)。
ご家族の世代交代や相続と重なる時期でもあり、この層の物件が今後も市場に出てくるケースは続く可能性があります。私たちは、こうしたお家の解体を「壊す作業」ではなく、長年ご家族を支えてきた建物への感謝とともに次の暮らしへ受け渡す準備と捉えてお手伝いしています。また、古いお家の解体は、騒音や振動、粉塵など、どうしても近隣の皆様にご負担をおかけする工事です。だからこそ一件一件、丁寧に取り組んでまいりました。
🗣 現場から一言 — 数字の外で感じていること
数字の外で、現場の感覚として感じていることも書いておきます(担当:藤木)。9月の着工件数は、昨年の9月と同じくらいでした。売出し価格については、私の肌感では、少し上がってきているように感じています。ただ、この記事の数字では、売りに出たままの土地の値上げは1.4%にとどまっていました。新しく出てくる物件の価格帯が高めだったことが、そう感じさせているのかもしれません。
「売り出した物件が、いったん引っ込んで、また出てくる」ことは、現場ではよくあります。聞いている話では、一度出してしばらくたつと、掲載情報が古くなって検索で上のほうに出にくくなるため、いったん掲載を外して、あらためて登録し直す不動産会社さんが多いそうです。登録し直すと、ふれんずの上では新しい物件として上のほうに表示されるようになる、とのことです。今回の数字(土地の新着の約3割は、以前にも載っていた物件番号)と合う話ですが、一つひとつの物件がそうだったのかは、データからは確かめられません。
売りたい方にお伝えしたいのは、長く出していれば売れる、というものではないということです。適正な金額で出せば売れますし、適正でなければなかなか売れません。サンミライ開発は、買い手側の不動産会社さんと日ごろから直接やりとりしながら進められるので、反応を見ながら適正な価格を探っていけます。運任せの売却活動にならないよう、お手伝いしています。
🏠 空き家の税金・相続登記の制度は、前号にまとめています
空き家や古いお家をめぐる制度(管理不全空家の勧告による固定資産税の軽減の解除、相続登記の義務化、住所等変更登記の義務化、所有不動産記録証明制度、低未利用土地等の100万円控除)は、前号で2026年9月3日時点の内容をまとめました。今回は数字の解説に紙面を使うため、制度の説明は繰り返しません。制度の最新の取り扱いは、下の出典(国土交通省・法務省)でご確認ください。税や登記のご判断は、税務署・税理士・法務局・司法書士にご相談ください。
🤔 このデータをどう使うか — 福岡で空き家・実家を売る方/買う方へ
空き家・ご実家を売りたい方へ
「いくらで売り出せばよいのか分からない」「どのくらいで売れるのか」——売却のご相談で多くいただくお声です。今回の数字から言えることは3つです。ひとつは、値下げされた物件の値下げ幅は、中央値でおよそ100万円・約3.4%で、これは3か月続けて同じ形だったこと。もうひとつは、売りに出たままの土地(家を建てられる土地)の値段は、1か月たっても約87%が動いていないこと。
最後は、9月に消えて戻らなかった物件が、掲載されていた期間は中央値で約89日で、半年を超えて載っていた物件も22%あったことです。売れるまでの日数ではなく、取下げなども含む数字ですが、長く出ていた物件が消えるケースも少なくない、とは言えそうです。
最初の価格設定を実勢に寄せるか、時間をかけてじっくり売るか。どちらが正解ということではなく、「いつまでに現金化したいか」と「持ち続けている間の維持費」の2つを並べて考えると、ご自身に合うほうが見えやすくなります。また、古いお家付きの場合は「古家付きのまま売る」「解体して更地で売る」の2つの道があり、手元に残る金額はケースで変わります。
私たちは解体と不動産の両方を自社で手がけているため、両方のパターンを試算して比べるお手伝いができます(ご相談・お見積りは無料です)。相続されたお家なら、まず登記の状況確認(相続登記の義務化への対応)から始めるのがおすすめです。
土地・古家を買いたい方へ
売出し価格と実勢の差のデータは、「価格交渉の余地はエリアによって違う」ことを知るおおよその目安になります。ただし今回もはっきりしたとおり、売りに出たまま残っている物件の値段は、そう頻繁には動きません。両日に載っていた、家を建てられる土地2,096件のうち、30日間で値下げされたのは11.4%、値上げは1.4%、残る87%は価格が変わっていませんでした。動くときはほぼ下方向ですが、10件に9件近くは動かないまま1か月が過ぎています。
もうひとつ、今回の発見は買う方にも関係があります。土地では、いったん消えた物件の19%が同じ番号で戻ってきました。「消えた=もう買えない」とは限らない、ということです。気になる物件が消えてしまったときは、掲載していた不動産会社に、売れたのか、いったん引っ込めただけなのかを一度確認してみる価値があります。また、特に築古の戸建や古家付き土地は、再建築の可否・接道・地中埋設物・解体費の見込みなど、価格に効く確認事項が多くあります。データで当たりを付けて、現地と登記で確かめる。この順番でご検討いただくのが安全です。
🔗 出典・関連情報
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ(実成約価格の出典)
- 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
- 法務省 相続登記の申請義務化について
- 法務省 住所等変更登記の義務化
- 法務省 所有不動産記録証明制度について
- 国土交通省 土地の譲渡に係る税制(低未利用土地等の100万円控除)
- 第2号(2026年8月号のレポート)(本号の比較の起点)
- 第1号(2026年7月号のレポート)
✅ まとめ — 2026年9月の福岡の空き家相場と、3回目で見えてきたこと
第3回のレポートをまとめます。①9月の新着・値下げ・消えた件数は、前号とほぼ同じ水準で、先月との違いを言い切れるほどの差はありませんでした。売り物の数は、8月までの毎月+280件ほどのペースから、9月は+14件とほぼ横ばいになりました。②消えた物件の11%は、月末までに同じ番号で戻ってきました(土地は19%)。「消えた」を「売れた」と読むと、実際より市場が動いているように見えます。
③売りに出たまま残っている土地(家を建てられる土地)は、87%が値段を変えておらず、中央値が上がって見えるエリアの多くは、顔ぶれの入れ替わりが主な理由でした。④値下げの中身(中央値およそ100万円・約3.4%・戸建が83%)と、築古・古家の比率(22%台)は、3か月続けてほぼ同じです。
そして、いちばんお伝えしたかったのは⑤かもしれません。数えた数字の中身を、もう一段開けてみるということです。「新着◯件」「消えた◯件」と聞くと、新しく売りに出た、売れた、と受け取りたくなります。ですが、同じ物件を1件ずつ追いかけると、そのうちの一定の割合は戻ってきた物件であり、別の番号で載り直した可能性のある物件でした。数字は答えではなく、「今どのあたりにいるか」を知るための道具です。最後の判断は、お家ごとの条件とご家族の暮らしに合わせて行うものだと考えています。
このレポートは毎月続けます。数字の変化を一緒に眺めながら、ご自身のお家の「ちょうどいいタイミング」を考える材料にしていただけたらうれしいです。表に載せていない細かい数字も含めて全24市区町分を集計していますので、ご自身のエリアの数字を詳しく知りたい方や、「古家付きで売る」「更地にして売る」の手残り比較を試算したい方は、無料相談で個別にご案内しています。
最終更新日: 2026-10-14
本記事は2026年度の制度と、当社独自調査・公的データに基づく解説です。市場のデータは2026年9月30日時点、制度の内容は前号(2026年9月3日時点)のものです。市場の状況は日々変わります。税や登記のご判断は税務署・税理士・法務局・司法書士に、実際の売買のご判断は個別の物件調査・査定に基づいてご確認ください。