こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
相続した実家が空き家になっている。片付けも、内覧の立ち会いも、正直なところ負担が大きい。福岡県内でも、「不動産会社にそのまま買い取ってもらえないだろうか」というご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げます。買取は「早く、確実に、手間少なく」、仲介は「時間はかかっても、高く売れる可能性を残す」売り方です。どちらが正しいということはなく、ご家族が何を優先するかで選びます。
そのうえで私がおすすめしているのは、先に買取の金額を書面でもらい、それを見てから一般の方への売り出しを試すかどうかを決めるという順番です。この記事では、両者の違いと、買取が向かない場合もあわせてお伝えします。
📊 「空き家を買い取ってほしい」は16.7%
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が2026年9月23日に公表した『2026 住宅居住白書』に、空き家対策に関わる不動産業者に最も期待することを1つだけ選んでもらった設問があります(回答者5,000人)。
最も多かったのは「あてはまるものはない/わからない/答えられない」の35.8%で、具体的な支援の中では「空き家を買い取ってほしい」の16.7%が最も多くなりました。次いで「空き家をどうしたらいいか相談に乗ってほしい」が11.4%です。

調査の概要:全国の20〜65歳の男女5,000名/インターネット調査/2026年7月30日〜8月5日(全国宅地建物取引業協会連合会『2026 住宅居住白書』)。このグラフには凡例がありませんが、緑が2026年、灰色が2025年の結果と読めます。白書に載っている前年の値は16.6%です(この設問は選択肢の一部が変わっているため、前年との比較は参考値です)。
この数字は、空き家の持ち主だけでなく回答者全員に聞いたものです。白書は、「わからない」等が最も多かったことについて「空き家対策や不動産業者が担う支援の認知・理解には課題が残ると考えられます」と書いています。買取と仲介の違いも、その一つだと私は感じています。以下、その違いを順に整理します。
⚖️ 買取と仲介は、ここが違います
仲介は、不動産会社が間に入って、一般の方を含む買い手を探す売り方です。買取は、不動産会社やハウスメーカーなど、事業として不動産を買う会社が買主になる売り方です。
| 比べるところ | 仲介(一般の方に売る) | 買取(会社に売る) |
|---|---|---|
| 買主 | 個人の方が多い | 不動産会社・ハウスメーカーなど |
| 価格 | 買い手しだい。高く売れる可能性がある一方、下がることもある | 会社が再販や建築の費用を見込んで出す |
| 決まるまでの時間 | 買い手が見つかるまで。数か月かかることもある | 条件が合えば短い |
| 契約後の取りやめ | 住宅ローンを使う買主の場合、審査が通らなければ白紙に戻す約束(ローン特約)を付けることがある | 会社としての判断で契約するため、ローンを理由とした白紙は起きにくい |
| 手間 | 内覧の立ち会い、片付けの相談などがある | 内覧は少なく、家財を残したままの相談ができることもある |
| 仲介手数料 | かかる(上限は国の告示で決まっています) | 会社が直接買主になる場合は仲介ではないため対象外。間に仲介会社が入れば、その会社への手数料がかかることがある |
表のうち、契約後の取りやめについて補足します。ハウスメーカーや不動産会社は、会社としての判断で契約を結ぶため、書面で契約したあとに取りやめることは基本的にない、というのが私の実感です。一般の方が買主の場合は、住宅ローンの審査を待つ期間があり、その間に話が白紙に戻ることもあります。早く確実に終わらせたい事情があるなら、買取はその事情に合った売り方です。
価格の差は、どこから生まれるのか
買取の価格が仲介より低くなりやすいのは、買主の会社が、その後にかかる解体や片付け、建築や再販の費用を見込んで金額を出すからです。手間を買主が引き受ける分、その費用が価格に反映されます。反対に、一般の方に売る場合の価格は、高値で買ってくれる方が現れるかどうかに左右されます。
🧾 仲介手数料の上限
仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決まっています。売買代金(消費税を除いた額)のうち、200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%を掛けて合計した額が、売主・買主それぞれから受け取れる上限です。告示の率は、消費税を含んだ率で書かれています。
また、代金が800万円以下の宅地・建物(告示では「低廉な空家等」)には、もともと報酬の特例があり、令和6年7月1日から、その対象が800万円以下に広がり、上限も見直されました。いまの特例では、不動産会社は媒介(仲介のこと)にかかる費用を考えて上の計算を超える報酬を受けられますが、その場合も上限は「30万円の1.1倍」(計算すると33万円)です。国土交通省の運用の考え方(通達)では、この場合、不動産会社は媒介契約を結ぶときに、あらかじめ報酬の額を説明し、合意を得る必要があるとされています。
手数料の額は、この上限の範囲で決まります。実際にいくらになるかは、契約の前に不動産会社から説明を受けて確かめてください。(出典:国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラムについて」)
🔎 売った後の責任(契約不適合責任)
売った後で、建物や土地が契約の内容に合っていないこと(種類・品質・数量)が分かった場合、買主は売主に修補(直すこと)などを求めることができます(民法第562条)。種類や品質の食い違いについては、買主が知った時から1年以内に売主へ知らせることが条件です(第566条)。ただし、売主が引き渡しの時にその食い違いを知っていた(または重大な過失で知らなかった)場合は、この期間の制限はありません。こうした責任を負わないという特約を結ぶこともできますが、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても責任を免れません(第572条)。
解体や売却の現場にいて感じるのは、地面の下のことは、売る側にも分からないということです。売った後に何か見つかって話がこじれるのは、売る方にとっていちばん避けたいことだと思います。
売った後に何か見つかったときの責任をどうするかは、価格と同じくらい大事な条件です。買取では、この責任の範囲を契約で決めておくことがあります。ただ、上のとおり、知っていて伝えなかったことは特約があっても責任を免れません。知っていることは、雨漏りや傾き、境界のことなど、小さなことでも先に伝えておくのが、いちばんの備えです。
買取でも仲介でも、契約書にどう書かれているかは、署名の前に説明を受けて確かめてください。
🏗️ もう一つの選択肢:更地にしてから売る
解体と不動産の両方をお手伝いしている立場から、もう一つの選択肢もお伝えしておきます。建物を解体して更地にしてから売る方法です。買主が建物の扱いを気にしなくてよくなる一方で、解体の費用を誰がいつ払うのか、固定資産税がどう変わるのか、といった確認が必要になります。
建物が残ったまま会社に買い取ってもらう場合と、更地にしてから売る場合の違いについて、あるご家族にはこう説明しました。
「手元から解体工事の費用は出ていかないんですけど、…ハウスメーカーさん側でちょっと経費が乗ってくるので、その分経費が乗った分がちょっとここで変わってくるという感じですね。」
(不動産事業部・藤木/2026年6月のご相談で)
建物付きのまま売れば、解体の費用を先に出さずに済みます。その代わり、買主の側で解体の経費が見込まれ、その分が価格に反映されます。どちらが手元に多く残るかは、建物の状態や土地によって変わります。
解体費用の分担の考え方は古家付き土地の解体費用は誰が払う?、残して売るか更地にするかの比べ方は古家付き土地の売却の記事、税の変化は更地の固定資産税の記事でお伝えしています。
手元に解体の費用を用意するのが難しい場合もあります。当社の場合、売却と解体を両方お手伝いするときは、売却のお金が入ってから解体の費用をお支払いいただく形もご相談いただけます(条件は個別にご相談のうえで決めます)。
🧭 買取が向いている場合、向いていない場合
| こんなときは | |
|---|---|
| 買取が向いている | 早く売って手続きを終わらせたい/相続人が多く、長い期間の調整が難しい/遠方に住んでいて、内覧の立ち会いや片付けが難しい/建物が古く、手を入れずに引き渡したい |
| 仲介が向いている | 時間に余裕がある/立地や土地の形がよく、一般の買い手が見込める/少しでも高く売ることを優先したい |
| 避けたいこと | 急ぐ理由が特にないのに、1社の金額だけで決めてしまうこと。比べてから決めても遅くありません |
当社では、複数のハウスメーカーや買取会社に声をかけ、たとえば5社ほどの条件を比べて、お選びいただけるようにしています。
なお、このように当社が間に入って買主の会社とおつなぎする場合は、当社は仲介の立場になるため、仲介手数料がかかります。額は、ご依頼の前にご説明します。
👣 おすすめの順番:先に買取の金額を知る
迷ったときは、次の順番をおすすめしています。
- 必要に応じて、土地の形を測って図面にする(現況測量。費用がかかるため、要るかどうかは事前にご相談ください)
- その図面で、複数の会社に買取の金額を書面で出してもらう
- 出てきた金額を見て、それで決めるか、一般の方への売り出しも試すかを家族で決める
「その出てきた金額を見て、ちょっと1回じゃあ一般の人にもってなったら一般に出してみてもいいですし。」
(不動産事業部・藤木/2026年6月のご相談で)
先に「この金額なら買う」という提示額が分かっていれば、一般の方に売り出すときも焦らずに済みます。反対に、その金額で十分だと思えれば、そこで話をまとめればよいのです。
👪 「早く終えたい」と「高く売りたい」の間で迷ったとき
相続した土地の売却で、買い手から値下げを求められ、迷っていたご家族がいらっしゃいました。私は、仕事の立場を抜きにした個人的な意見として、その条件でまとめてはどうかとお伝えしました。買い手が大勢いる土地ではなく、競り合いが起きにくいこと。そして、ご実家のことなど、ほかにも考えることが多い時期だったからです。ご家族の方は、こう応えてくださいました。
「精神的な負担を減らしたいっていうのは当然あるからですね。さっさともう終わらせていきたいからですね。」
(相続した土地の売却をご相談くださったご家族の方/2026年5月のお電話で)
そのうえで、仕事としての立場も、正直にお伝えしました。
「不動産の営業マンとしては、じゃあ高い購入者が現れるまで私も伴走するし、お手伝いさせてもらいますっていうふうにはお答えすると思います普通ならですね」
(不動産事業部・藤木/2026年5月のご相談で)
どちらが正しいということではありません。価格だけでなく、時間と気持ちの負担も「売るための費用」だと、私は考えています。
❓ よくあるご質問
Q. 家財が残ったままでも買い取ってもらえますか
買主の会社によります。家財の片付けを含めて引き受ける会社もあれば、片付けてからの引き渡しを条件にする会社もあります。金額を出してもらうときに、家財をどうするかも一緒に確かめてください。当社は解体も行っているため、片付けと解体の見積もりを合わせてお出しすることもできます。
Q. 買取の金額に納得できないときは、断ってもよいですか
もちろんです。金額を出してもらったからといって、売らなければならないわけではありません。書面の金額を一つの目安にして、仲介での売り出しを試すこともできます。
📝 この記事のまとめ
- 全宅連の2026年の調査では、不動産業者への期待として「空き家を買い取ってほしい」が16.7%で、具体的な支援の中で最も多くなりました
- 買取は「早く・確実に・手間少なく」、仲介は「時間はかかっても高く売れる可能性を残す」売り方です
- 仲介手数料の上限や、売った後の責任(契約不適合責任)は、契約の前に説明を受けて確かめましょう
- 迷ったら、先に複数の会社から買取の金額を書面でもらい、それを見てから売り出しを試すかを決める順番がおすすめです
- 価格だけでなく、時間と気持ちの負担も含めて、ご家族に合う売り方を選びましょう
買取にするか、仲介にするか、更地にしてから売るか。決める前の比較からお手伝いしています。
本記事の調査の数字は、全国宅地建物取引業協会連合会『2026 住宅居住白書』(2026年9月23日公表)によります。仲介手数料と契約不適合責任の説明は、2026年9月時点の国土交通省の告示と民法の条文に基づく一般的な説明です。個別の契約内容は、契約前に不動産会社からの説明でご確認ください。お客様・当社の言葉は、ご本人の了承を得て、お名前や場所が分からない形で掲載しています(録音の文字起こしのまま前後を省いて引用し、誤変換と思われる語や表記の空白を除いた箇所があります)。最終更新日:2026-09-24。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。