こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
親から受け継いだ家が、古くなったまま建っている。
「家は残して売ったほうがいいのか」
「解体して、更地にしてから売ったほうがいいのか」
そう迷われる方は少なくありません。
先にお伝えします。どちらが正解かは、土地ごと・ご家族ごとに違います。
決めるときに考えたいのは、次の5つです。
- ① 解体費 … 更地にするなら、売れる前に払います
- ② 固定資産税 … 更地にすると、上がることがあります
- ③ 空き家特例 … 税金の特例は、売り方で条件が変わります
- ④ 家財 … 家の中の物を、誰がいつ片付けるか
- ⑤ 契約 … どんな状態で引き渡すかを、契約書に書きます
まず、2つの売り方の違いを1枚の図にしました。

ここから、5つを一つずつ、やさしい言葉で説明します。税金や契約の最終的な判断は、税理士・税務署や司法書士・弁護士にご相談ください。
💴 ① 解体費は、いつ・誰が払うか
更地にしてから売る場合、解体の工事は売れる前に行います。解体費は、売主が先に払います。
家を残したまま売り、買主が解体する場合は、売主が直接払わずに済むのがふつうです。誰が負担するかは、契約で決めます。
「先に解体費を用意するのが難しい」という方もいらっしゃいます。当社では、解体費を売却代金から精算する形もご相談いただけます。
税金の計算では、差し引けることがあります
売るために家を解体した費用は、税金の計算で「売るためにかかった費用(譲渡費用)」として差し引けることがあります。
ただし、「売るために直接かかった費用」であることが条件です。売るつもりがなかったころの解体が当たるかどうかは、国税庁のページからは分かりません。税務署か税理士に確かめてください。
詳しくは、古家付き土地売却の税金|解体費用は差し引けるかにまとめています。
🧾 ② 固定資産税は、更地にすると上がることがあります
家が建っている土地には、固定資産税を軽くする「住宅用地の特例」があります。
福岡市の場合、住宅1戸あたり200㎡までの部分は、税金を計算するもとの額が評価額の6分の1になります(都市計画税は3分の1)。
家を解体して住宅の敷地でなくなると、この特例から外れることがあります。そうなると、税金が上がることがあります。
どれくらい上がるかは、土地ごとに違います。売れるまでに時間がかかるほど、上がった税金を払う期間も長くなります。
解体の時期を決める前に、土地のある市町村の窓口で、ご自分の土地の場合を聞いておくと安心です。
- 福岡市の場合:物件がある区の区役所 課税課
- ほかの市町村:役所の固定資産税の窓口
なお福岡市では、家を解体したときは、1月31日までに区役所の課税課へ申告します(土曜・休日の場合は翌開庁日)。
仕組みは、更地の固定資産税で詳しく説明しています。
📑 ③ 空き家特例は、売り方で条件が変わります
親が一人で暮らしていた家を受け継いで売るとき、条件を満たせば、税金を軽くする特例があります。売って得た利益から、最高3,000万円を差し引けるしくみです。
- 家が昭和56年5月31日以前に建てられたものであること
- 相続した日から3年たつ年の年末(12月31日)までに売ること
- 売った代金が1億円以下であること
などが主な条件です(家と土地を相続した人が3人以上で、令和6年1月1日以後に売る場合は、2,000万円までになります)。
この特例は、売り方によって3つの道に分かれます。
| 売り方 | 主な条件 |
|---|---|
| 家を残したまま売る | 売る時に、家が耐震基準(地震に耐える強さの基準)を満たしていること |
| 解体してから売る | 解体したあと、駐車場として貸したりせず、建物や駐車場の設備なども置かずに売ること |
| 売ったあとに解体する | 売った年の翌年2月15日までに、解体するか、耐震基準を満たすようにすること |
つまり、「家を残したままでは特例が使えない」とは限りません。
ただし、古い家が耐震基準を満たすかは、家ごとに違います。家を残して売る道では、「耐震基準適合証明書」などの書類で示します。
売ったあとに買主が解体する道では、買主の協力が欠かせません。国土交通省は、この点を売買の契約(特約)で確かめておく例を示しています。
特例が使えるかどうかの判断は、税理士か税務署にご確認ください。くわしい条件は、空き家特例3,000万円控除|要件と使えない例にまとめています。
出典:国税庁 No.3306、国土交通省 空き家の特例のページ
📦 ④ 家財は、誰がいつ片付けるか
更地にして売るなら、解体の前に家財を片付けます。環境省は、建物に残された物の後始末は、建物の持ち主の責任だとしています。
片付けを業者に頼むときは、許可を持つ業者かどうかを確かめてください。家庭から出た物を回収するには、市町村の許可(または市町村からの委託)が要ります。
- 福岡市の場合:「一般廃棄物収集運搬業許可業者」に頼むよう、市が呼びかけています
- ほかの市町村:家のある市町村の案内をご確認ください
家を残したまま売る場合は、家財を誰が片付けるかを契約で決めます。片付けの進め方は、実家じまいの片付けをご覧ください。
✍️ ⑤ どんな状態で引き渡すかは、契約書に書きます
「現況渡し(今のままで引き渡す)」や「更地渡し」という言葉は、よく使われます。でも、法律で中身が決まった言葉ではありません。
「現況渡し」と書いたからといって、売主が何の責任も負わない、とは言えません。
また、「更地」と言っても、ブロック塀・庭木・地中の物などをどこまで撤去するかは、人によって受け取り方が違います。
書いていない点は、取引の常識に照らして判断されることもあります。建物・家財・撤去の範囲を、契約書に書いておくと、あとの行き違いを防げます。
くわしくは、次の3本で説明しています。
出典:民法(e-Gov)、国土交通省 不動産鑑定評価基準
🤔 こんなときは、ここを考えてみてください
ご事情によって、先に考えたいことが変わります。目安として並べました。
| こんなとき | 先に考えたいこと |
|---|---|
| 解体費を先に用意するのが難しい | 家を残したまま売る形を考える。または、解体費を売却代金から精算できないか相談する |
| 売れるまで時間がかかりそう | 更地にすると、固定資産税が上がった状態が長く続くことがある。解体の時期を窓口で確かめてから決める |
| 空き家特例を使いたい | どの道を選ぶかで条件が違う。解体や契約の前に、税理士か税務署に相談する |
| 家財が多く、片付けが間に合わない | 更地にするなら、解体の前に片付けが要る。家を残す形なら、誰が片付けるかを契約で決める |
⏱️ 解体にかかる日数
当社の現場一覧表で、令和6年から令和8年までに解体した建物180件を数えました。
- 着工から完工までの日数:真ん中の値は17日
- 30日以内に終わったもの:92%(165件)
- いちばん短いもので3日、いちばん長いもので141日
建物の大きさや、周りの道の広さなどで大きく変わります。また、この日数には、解体のあとの登記(建物がなくなったことの登記)は入っていません。
家を残したまま売り、買主(ハウスメーカーなど)が解体する場合、解体に入るのは、土地の持ち主が買主に移ってからというのが当社の実務です。「年内に解体を終えたい」といった希望があるときは、工事の日数よりも、代金の受け渡しの日から逆算して考えます。
解体の届出や、石綿(アスベスト)の調査の順番は、実家の解体の手続きにまとめています。
👣 迷ったときの段取り
残すか更地にするかを決めるまで
家がいつ建ったかを確かめる
登記の書類などで、家が建った日(昭和56年5月31日以前か)と、名義が誰かを確かめます。空き家特例が使えるかの入口になります。
家財をどうするか、家族で話す
残したい物・譲る物を先に決めておくと、どちらの売り方でも話が早く進みます。
2つの形で見通しを聞く
不動産会社に「家を残したまま」と「更地にして」の両方の見通しを聞きます。解体費の見積もりと並べて比べます。
税金を確かめる
固定資産税は市町村の窓口(福岡市は区役所の課税課)、空き家特例は税理士か税務署で、ご自分の場合を確かめます。
契約書に引き渡し方を書く
建物・家財・撤去の範囲を、どんな状態で引き渡すか、契約書に書きます。
順番は、国税庁・福岡市の案内と当社の実務をもとに当方で並べたものです
❓ よくあるご質問
Q. 古い家があると、土地は売れにくくなりますか
一概には言えません。買主が家を建て替えるつもりか、そのまま使うつもりかで変わります。どちらの形で売りに出すかは、両方の見通しを聞いてから決めても遅くありません。
Q. 解体費は、売却代金から払えますか
当社では、解体費を売却代金から精算する形もご相談いただけます。また、税金の計算では、売るために解体した費用を差し引けることがあります(国税庁 No.3255)。
Q. 更地にしたら、固定資産税はいくら上がりますか
土地の評価額や、これまでの税額の移り変わりによって違うため、ここでは金額を申し上げられません。福岡市の場合は物件がある区の区役所課税課、ほかの市町村は役所の固定資産税の窓口でご確認ください。
📝 この記事のまとめ
- 家を残して売るか、更地にして売るかは、土地ごと・ご家族ごとに答えが違います
- 更地にするなら、解体費は売れる前に要ります。当社では売却代金から精算する形もご相談いただけます
- 更地にすると、固定資産税を軽くする特例から外れることがあります
- 空き家特例は、家を残す・解体してから売る・売ったあとに解体する、の3つの道で条件が違います
- 家財の片付けと、どんな状態で引き渡すかを、契約の前に決めておきます
長くご家族を見守ってきた家を、そのまま次のオーナー様へ引き継ぐか。更地にしてから、土地を託すか。どちらを選んでも、家が果たしてきた役割は変わりません。迷われたときは、2つの見通しを並べるところから、一緒に考えさせてください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、国税庁のタックスアンサー、福岡市・環境省・国土交通省の資料と、当社の工事の記録に基づく一般的な説明です。税金や特例が使えるかの判断は税理士か所轄の税務署に、契約の判断は司法書士・弁護士にご確認ください。当社は税の判断をいたしません。最終更新日:2026-10-08。
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