こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
ご実家のことを、兄弟姉妹に相談できず、ひとりで考えていませんか。
先にお伝えします。一人っ子の実家じまいは、「相続人の確認」「相続登記」「売る・残す・解体して売るの見通しを並べる」の順で進めると、迷いにくくなります。相談相手がいなくても、順番と期限が分かれば、ひとつずつ片づけられます。
この記事では、次の順にご紹介します。
- ・一人っ子の実家じまい、3つの順番(図)
- ・相続登記の期限と、間に合わないときの仕組み
- ・売る・残す・解体して売るを並べるときの材料
- ・親御さんが元気なうちにできること
- ・ひとりで抱えないための相談先
すべてを一度に決める必要はありません。まずは、全体の道筋を一緒に確かめましょう。
🧭 一人っ子でも、まず「相続人は誰か」を確かめます
一人っ子の実家じまいは、まず相続人を確かめるところから始めます。一人っ子でも、相続人が自分ひとりとは限らないからです。

民法は、亡くなった方の子は相続人になる、と定めています。そして、亡くなった方の配偶者は「常に」相続人になり、子がいるときは、子と同じ順位で相続人になります。
たとえば、お父さまが亡くなり、お母さまが健在なら、相続人は、お母さまとあなたです。実家がお父さま名義なら、お母さまにも相続の権利があります。民法の法定相続分は、子と配偶者が相続人のとき、それぞれ2分の1です。ただし、分け方は相続人どうしの話し合い(協議)でも決められます。
ほかに相続人がいないか、いるとすれば誰かは、状況によって変わります。ご自分の場合は、司法書士に確かめておくと安心です。相続登記の申請の代理や書類の作成を、業務としてできるのは、司法書士と弁護士に限られています。
出典:民法 第887条・第890条・第900条・第907条(2026年10月時点の条文)、法務省「相続登記の申請義務化について」
📑 相続登記は、知った日から3年以内。間に合わないときの仕組みもあります
相続放棄を考えるなら、期限が先に来ます。自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述します(詳しくはこのあとのご質問へ)。
相続した実家の名義は、相続を知った日から3年以内に、相続登記で変える必要があります。2024年4月から、相続登記は義務になったからです。
法務省によると、相続で不動産を取得した相続人は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。正当な理由がないのに怠ると、10万円以下の過料の対象になります。ただし、いきなり科されるわけではなく、登記官がまず、期間を定めて申請するよう催告します。
遠方に住んでいたり、ほかの相続人との話し合いに時間がかかったりして、3年以内に難しいときは、「相続人申告登記」という簡単な仕組みがあります。相続人の1人が単独で申し出ることができ、登録免許税はかかりません。
| 相続登記 | 相続人申告登記 | |
|---|---|---|
| 期限 | 相続を知った日から3年以内 | 3年以内に申し出ると、最初の登記の義務を果たしたことになる |
| 売るとき | 必要 | 別に、相続登記が必要 |
2024年4月より前に始まった相続でも、まだ登記していなければ義務の対象で、令和9年3月31日までに登記する必要があります(相続を知った日が2024年4月以降なら、その日から3年以内)。また、遺産分割が成立したときは、その日から3年以内に、内容を踏まえた登記も必要です。相続人申告登記では、この分は果たせません。
ここで気をつけたいのは、相続人申告登記だけでは、実家を売れないことです。売るときは、別に相続登記の申請が必要です。期限のこと、売る前に済ませることは、相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前ににまとめています。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、法務省「相続人申告登記について」
🏠 売る・残す・解体して売るを、同じ物差しで並べます
実家をどうするかは、「売る」「残す」「解体して売る」の見通しを、同じ物差しで並べてから決めると、迷いにくくなります。相談相手がいないと、片方の見通しだけで決めてしまいやすいからです。
比べる軸は、たとえば、手元に残る額、かかる時間、管理の手間と通う回数の3つです。片方だけで決めず、並べてから決めましょう。
決める前に、並べておきたいこと
全体の流れは、実家の相続売却の流れと空き家売却の流れにもあります。
建物があるまま売る場合も、解体して売る場合も、鍵をお預かりして、遠方にお住まいでも売却まで進められます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
見通しが並ぶと、「どれが正解か」ではなく「どれを選ぶか」の話に変わります。
👵 親御さんが元気なうちにできること
これから実家が空くかもしれない方は、先にここを読んでおくと安心です。すでに親御さんが亡くなっている方は、次の見出しへ進んでかまいません。
親御さんが元気なうちに、実家のことを話しておくと、あとの手続きが変わります。ご本人の判断能力が落ちて後見人が選ばれると、売却や解体の進め方が変わるからです。
裁判所の案内によると、成年後見人が、ご本人に代わって、住まいの建物や敷地を売るときは、家庭裁判所の許可が必要です。許可を得ないで売却などをすると、無効になります。対象には、売却のほか、建物の取り壊しも含まれます。施設に入って今は住んでいない家も、対象に入ります。
実際に、ご高齢のお父さまの判断能力が落ち、実家まわりの手続きが進めにくくなったご家族が、ご相談の場でこうおっしゃっていました。
ご家族
「いち早くその後見、認定的なやつを進めないといけないかなという気がします」
(相続人のご家族・当社でのご相談(2026年))
備えの1つに、「任意後見」があります。法務省によると、本人が十分な判断能力を持っているうちに、あらかじめ任意後見人となる方と、任せる事務の内容を決めておく仕組みです。契約は、公証人が作る公正証書で結びます。
話し合いは、後回しにされやすいものです。全宅連の2026年の調査では、将来空き家になる可能性がある、または、すでに空き家になっていると答えた1,859人のうち、「話し合いの必要を感じつつもまだ行っていない」が35.0%で、いちばん多い答えでした。
切り出し方や、施設に入ったあとの考え方は、実家じまいは親が元気なうちに、認知症の親の実家売却、親が施設に入ったときの実家売却をご覧ください。
出典:裁判所「居住用不動産の処分についての許可」、法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」、全宅連『2026 住宅居住白書』(調査は20〜65歳の全国の男女5,000人。空き家に関する検討状況は、うち1,859人への設問)
🤝 ひとりで抱えないための相談先
相談先は、困りごとごとに分けると探しやすくなります。相続、税金、売却では、相談する専門家が違うからです。
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| 相続人の確認・相続登記 | 司法書士(業務として登記の申請の代理や書類の作成ができるのは、司法書士・弁護士に限られています) |
| 相続放棄・親族との争い | 弁護士・家庭裁判所 |
| 税金 | 税理士・税務署 |
| 空き家のこと全般 | 全国の宅建協会の「空き家相談窓口」 |
| 売る・解体して売る・残す、の見通し | 不動産会社 |
全宅連によると、全国の宅建協会は、空き家相談窓口を設置しています。相談先の一覧は、全宅連のウェブサイトで確認できます。
どこに相談したらよいか分からないときは、空き家・実家の相談はどこへから始めてみてください。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、全宅連「空き家相談窓口」
❓ よくあるご質問
Q. 一人っ子なら、遺産の分け方を話し合う必要はありませんか
一概には言えません。親御さんの配偶者など、ほかに相続人がいるときは、分け方を相続人どうしの話し合い(協議)で決めます。ほかに相続人がいるかどうかは、司法書士にご確認ください。
Q. 実家だけ手放すために、相続放棄はできますか
できません。相続放棄は、相続人としての権利も義務も、一切受け継がない手続きです。期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内で、家庭裁判所に申述します。詳しくは、いらない土地は相続放棄で手放せる?をご覧ください。
Q. 3年の期限を過ぎたら、過料になりますか
すぐに過料になるわけではありません。登記官がまず期間を定めて申請するよう催告し、正当な理由なく従わないと、過料の対象になりえます。上限は10万円です。
出典:民法 第907条、裁判所「相続の放棄の申述」、法務省「相続登記の申請義務化について」
📝 この記事のまとめ
- ・一人っ子の実家じまいは、相続人の確認 → 相続登記 → 売る・残す・解体して売るの見通しを並べる、の順に進めます
- ・一人っ子でも、親御さんの配偶者がいれば、相続人は自分一人ではありません。司法書士に確かめましょう
- ・相続登記は、知った日から3年以内。間に合わないときは相続人申告登記もありますが、売るときは相続登記が別に必要です
- ・親御さんが元気なうちに話しておくと安心です。判断能力が落ちたあとは、住まいの売却や取り壊しに家庭裁判所の許可が必要になります
- ・相続は司法書士、税金は税理士、見通しは不動産会社、と相談先を分けて、ひとりで抱えないようにしましょう
実家のことを、ひとりで考えるのは、心細いものです。相談できる兄弟姉妹がいない分、順番と期限が分かるだけでも、気持ちは軽くなると思います。分からないことがあって当然です。法律の判断は専門家へ。売却や解体の見通しについては、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、民法(2026年10月時点の条文)、法務省「相続登記の申請義務化について」「相続人申告登記について」「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」、裁判所「居住用不動産の処分についての許可」「相続の放棄の申述」、全宅連『2026 住宅居住白書』に基づく一般的な説明です。相続人の範囲、相続登記、相続放棄、成年後見など、法律や手続きの判断は、司法書士・弁護士・家庭裁判所にご確認ください。最終更新日:2026-10-19。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。