こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
「使っていない土地を、どうにか手放したい」
「親から受け継ぐ財産の中に、いらない土地がある」
そんなご相談をいただくことがあります。
先にお伝えします。いらない土地を手放す方法は、主に「相続放棄」「売る・もらってもらう」「国に返す」の3つです。
ただ、3つは使える時期も条件も違います。相続放棄には期限があり、国に返すには審査と費用があります。期限のある道を後回しにすると、慌てて決めることになりかねません。
この記事では、次のことを順にご紹介します。
- いらない土地を手放す3つの道と、考える順番
- 受け継いだ土地を売るときに比べたいこと
- 国に返す(相続土地国庫帰属制度)の条件と費用
- 相続放棄の期限と、「土地だけ」は放棄できないこと
- 手放したあとも気をつけたい2つのこと
読み終えるころには、ご自分の土地でどの道から確かめればよいかが見えてくるはずです。
🧭 いらない土地を手放す方法は、主に3つです
いらない土地を手放す方法は、主に「相続放棄」「売る・もらってもらう」「国に返す」の3つです。使える時期と条件が違うので、期限のある道から順に考えます。
法務省の相続土地国庫帰属制度のQ&Aでも、国に返す以外の方法として、相続放棄や、民間での売買・贈与などが挙げられています。どれか一つが正解というより、ご自分の状況で使える道を順に確かめていく形になります。

| 道 | 使える時期・人 | 主な条件 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 相続放棄 | 相続を知った時から3か月以内 | 家庭裁判所に申述する。権利や義務を一切受け継がない | 家庭裁判所・弁護士・司法書士 |
| 売る・もらってもらう | 受け継いだあと | 買う人・もらう人が見つかること | 不動産会社 |
| 国に返す | 相続や遺贈(相続人への遺贈)で受け継いだ人 | 建物がないことなどの条件と審査。手数料と負担金 | 法務局の本局(書類の作成は弁護士・司法書士・行政書士) |
たとえば、親が亡くなってまだ間もないなら、まず放棄するかどうかを決めます。受け継ぐと決めたら、売れるかを先に確かめ、買い手が見つからないときに国に返す道を調べる、という順番が考えやすいと思います。すでに相続を済ませて何年もたつ方は、2つ目の「売れるか」から確かめてください。ご自分がいま、どの段階にいるかを確かめるところから始めてみてください。
出典:法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」(国庫帰属以外の方法)、裁判所「相続の放棄の申述」
🏠 受け継いだ土地は、まず売れるかを確かめます
受け継いだ土地なら、まず売れるか、もらってくれる人がいるかを確かめるのが出発点です。国に返す道は、こちらが手数料と負担金を納めて引き取ってもらう仕組みだからです。
売れれば、代金を受け取れます。お金の向きが逆になるので、先に売る道の見通しを立てておくと、国に返すかどうかも決めやすくなります。
建物が残っている土地では、とくにこの順番が大切です。国に返す制度は、建物がある土地では申請できません。一方で売る道なら、建物があるまま売る、更地にして売る、買取を頼む、といった形を選べます。残すか更地にするかの決め手は古家付き土地売却|残すか更地にするか決め手5つに、買取と仲介の違いは空き家の買取と仲介の違いにまとめています。
当社では、買取・解体して更地で売る・建物があるまま売る、のどの形でもご相談いただけます。解体工事も自社で責任を持って行いますので、解体費も含めてそれぞれの形を並べ、手元に残るお金がいちばん多くなる選び方をご提示します。
買取は、解体費や手間がかからず、いちばん早くて楽な形です。ただし、手元に残るお金は少なくなることがあります。なかなか売れないときに見直したいことは実家が売れないときにできることに、売る前の名義の手続きは相続登記の義務化にまとめています。
どの形が合うかは、ご自分の土地の見通しを並べてみると決めやすくなります。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
🏛️ 国に返すには、建物がないことなどの条件と費用があります
相続や遺贈で受け継いだ土地なら、国に引き取ってもらうよう申請できます(相続土地国庫帰属制度)。ただし、建物がある土地は申請できず、審査と費用があります。
申請できる人や土地、費用は、法律(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)と法務省の案内で決まっています。主なところを表にまとめました。
| 確かめること | 中身(原文の要点) |
|---|---|
| 申請できる人 | 相続や遺贈(相続人への遺贈)で土地を受け継いだ人。売買などで自分で取得した土地は、基本的に使えない。共有の土地は、共有者全員がそろって申請する。制度が始まった令和5年4月27日より前に相続した土地も対象 |
| 申請できない土地 | 建物がある土地(登記がなくても、建物が建っていれば申請できない)、抵当権などが設定された土地、通路など他人が使う予定の土地、汚染された土地、境界がはっきりしない土地など |
| 承認されない土地 | 管理の妨げになるものが、地上や地下にある土地など。地下のもので該当すると考えられる例として、古い建物の基礎やコンクリート片、浄化槽、井戸などが挙げられている |
| 費用 | 審査手数料:一筆(登記上の土地の1区画)14,000円(却下や不承認でも返らない)。承認されたら負担金:20万円が基本で、市街化区域(市街地として整える区域)等の宅地・農地や森林は、面積に応じて20万円以上。通知から30日以内に納めないと、承認は効力を失う |
| 申請先 | 土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局(支局・出張所では受け付けない)。相談は事前予約制 |
解体の仕事をしている立場から、2つ補足します。1つ目は、建物は解体してから申請するのが原則だという点です(申請のあと速やかに解体する予定なら、申請先の法務局の本局に問い合わせるよう案内されています)。2つ目は、解体したあとに基礎やコンクリート片が地下に残っていると、審査で問題になり得る点です。
ただ、解体すれば引き取ってもらえる、というわけではありません。建物がないことは入口の条件の一つで、そのあとに審査があります。申請を考えるときは、まず法務局の相談(予約制)で、ご自分の土地が条件に当たるかを先に確かめておくのが確かです。
出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、同Q&A、相続土地国庫帰属法(e-Gov 法令検索) 第2条・第5条・第10条・第11条
⚖️ 相続放棄は「3か月以内」で、土地だけは選べません
相続放棄は、相続を知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述(書面で申し出ること)して行います。いらない土地だけを放棄することはできません。
民法は、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」に、受け継ぐか放棄するかを決めなければならない、と定めています(第915条)。放棄するときは、その旨を家庭裁判所に申述します(第938条)。放棄した人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます(第939条)。
裁判所の案内では、相続放棄は「被相続人の権利や義務を一切受け継がない」ものとされています。いらない土地だけを手放し、ほかの財産は受け継ぐ、という選び方はできません。
相続放棄で確かめておきたいこと
放棄すると、いらない土地と一緒に、ほかの財産も受け継がないことになります。受け継ぐか放棄するかを決める前には、財産を調べることもできます(第915条第2項)。どちらがよいかの判断は、弁護士・司法書士・家庭裁判所にご相談ください。
出典:民法(e-Gov 法令検索) 第915条・第938条・第939条(2026年10月時点の条文)、裁判所「相続の放棄の申述」
⚠️ いらない土地を手放したあとも、気をつけたい2つのこと
全員が相続放棄しても、土地が自動的に国のものになるわけではありません。放棄した人にも、土地を保存する義務が残る場合があります。
① 次の順位の人が相続人になることがあります
民法は、子がいない場合などに、親や祖父母(直系尊属)、その次に兄弟姉妹が相続人になる順番を定めています(第889条)。配偶者は常に相続人です(第890条)。このため、子が全員放棄しても、親や兄弟姉妹が相続人になることがあります(条文の順番からの読みです。具体的な当てはめは専門家へ)。
一般に、民法には、相続人がいることが明らかでないときは相続財産を法人とし、家庭裁判所が、利害関係人などの請求によって清算人(財産の整理をする人)を選ぶ、という仕組みもあります(第951条・第952条)。自動で進むものではありません。また、前の見出しの国庫帰属制度とは別の仕組みです。
② 放棄した人に、保存の義務が残ることがあります
相続を放棄した人でも、放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、相続人や清算人に引き渡すまでの間、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません(第940条)。放棄すれば何の責任も残らない、とまでは言えないということです。
ご家族で放棄を考えるときは、次に誰が相続人になるかも含めて、弁護士・司法書士に相談しながら進めると安心です。
出典:民法(e-Gov 法令検索) 第889条・第890条・第940条・第951条・第952条(2026年10月時点の条文)
❓ よくあるご質問
Q. 共有の土地を、自分の持分だけ国に返せますか
いいえ。共有の土地は、共有者全員がそろって申請する決まりです。まだ遺産分割をしていないなら、共同相続人は、遺言で禁じられている場合などを除き、いつでも話し合いで遺産を分けられます(民法第907条)。どう進めるかは、司法書士にご相談ください。
Q. 土地が何筆もあります。審査手数料は1回分ですか
いいえ。審査手数料は土地一筆当たり14,000円で、承認も一筆ごとに行われます。ただし負担金は、隣り合う二筆以上が同じ区分の土地なら、申し出によって一筆とみなして計算できる場合があります。
Q. 相続から3か月を過ぎてしまいました。もう放棄はできませんか
一概には言えません。期限の起点は「相続の開始があったことを知った時」で、亡くなった日とは限りません。過ぎてしまったあとの扱いは、弁護士・司法書士か家庭裁判所にご相談ください。
Q. 国に返す申請を、不動産会社に代わりにしてもらえますか
いいえ。法務省の案内では、申請書類の作成を代わりに頼めるのは、弁護士・司法書士・行政書士だけです。申請の手続きができるのも、所有者本人か法定代理人(未成年の方の親権者など)に限られます。
Q. 制度ができる前に相続した土地も、国に返せますか
はい。制度が始まった令和5年4月27日より前に相続した土地も対象です。ほかの条件(建物がないことなど)は同じように審査されます。
📝 この記事のまとめ
- いらない土地を手放す方法は、主に「相続放棄」「売る・もらってもらう」「国に返す」の3つで、期限のある道から順に考えます
- 受け継いだ土地は、まず売れるか(もらってくれる人がいるか)を確かめます。建物がある土地は、国に返す申請ができません
- 国に返すには、相続や遺贈で受け継いだことなどの条件と審査があり、審査手数料(一筆14,000円)と負担金がかかります
- 相続放棄は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。いらない土地だけを放棄することはできません
- 全員が放棄しても自動的に国のものにはならず、放棄した人に保存の義務が残ることもあります。判断は弁護士・司法書士・家庭裁判所・法務局へ
受け継いだ土地には、守ってこられたご家族の時間が詰まっています。手放すことは、その土地を次に生かしてくれる方へ引き継ぐことでもあります。期限のあるものから、一つずつ確かめていきましょう。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、民法・相続土地国庫帰属法の条文(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)、裁判所・法務省の公式ページ(2026年10月8日・9日確認)に基づく一般的な説明です。相続放棄をするか、どの財産を受け継ぐかなど、法律の当てはめは弁護士・司法書士・家庭裁判所に、国庫帰属の申請は法務局にご確認ください。最終更新日:2026-10-15。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。