こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

「親から受け継いだ土地を使う予定がなく、固定資産税だけ払い続けている」
「いらない土地を国に返せる制度があると聞いたけれど、うちの土地でも使えるのだろうか」
そんなご相談をいただくことがあります。

先にお伝えします。相続した土地なら、条件がそろえば、国に引き取ってもらえる制度があります(相続土地国庫帰属制度)。ただし、建物がある土地は申請できず、そのあとにも審査と費用があります。

申請できる人や土地、納めるお金が、法律で決められているためです。順に確かめれば、使えそうかの見当がつきます。

この記事では、次の順にご紹介します。

  • 国に返すまでの4つの関門(図)
  • 申請できる人と、申請できない土地
  • 承認されない土地:地下の基礎やガラにも注意
  • 費用・申請先・ほかの手放し方との比べ方

🧭 いらない土地を国に返せるかは、4つの関門で決まります

いらない土地を国に返すには、①申請できる人か、②申請できない土地ではないか、③承認されない土地ではないか、を順に通り、④費用を納める必要があります。負担金を納めた時に、土地は国のものになります。

いらない土地を国に返すまでの4つの関門の図。1 申請できる人か:相続か遺贈(相続人に対するもの)で土地を受け継いだ人。売買などで自分で買った土地は基本的に使えない。共有の土地は共有者全員で申請。2 申請できない土地ではないか(却下):建物がある土地(登記がなくても)、担保権や使用・収益の権利がある土地、通路など他人が使う予定の土地、汚染された土地、境界が明らかでない・争いがある土地。3 承認されない土地ではないか(不承認):管理に過分の費用・労力がかかる崖がある土地、管理を妨げる工作物・車両・樹木などが地上にある土地、取り除かないと管理できないものが地下にある土地(法務省のQ&Aは建物の基礎・ガラ・浄化槽・井戸などを例示)など。4 費用を納める:申請のときに審査手数料(土地一筆あたり14,000円、却下・不承認でも返ってこない)、承認のあとに負担金(20万円が基本、市街化区域等の宅地などは面積に応じて20万円以上になることがある)。通知から30日以内に納める。負担金を納めた時に土地は国のものになる。建物を解体しても3の審査がある
いらない土地を国に返すまでの4つの関門(相続土地国庫帰属法・法務省「制度の概要」「Q&A」をもとに当社作成)

つまずきやすいのは、建物がある土地が止まる2番と、土地の状態を見る3番です。建物を解体しても3番の審査があるので、「解体すれば引き取ってもらえる」というわけではありません。

まずは、ご自分の土地が図のどの関門で止まりそうかを、上から順に確かめてみてください。

出典:相続土地国庫帰属法(e-Gov 法令検索) 第1条・第2条・第5条・第10条・第11条、法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、同「Q&A」(2026年10月8日確認)

👤 申請できるのは、相続や遺贈で土地を受け継いだ人です

国に返す申請ができるのは、相続か遺贈(遺言で財産を贈ること。相続人に対するものに限ります)で土地を受け継いだ人です。売買などで自分で買った土地は、基本的にこの制度を使えません。

法律が、申請できる人を、相続等で土地を取得した人に限っているためです。相続で土地を受け継ぐことのない法人も、基本的に使えません。

たとえば、兄弟で相続して共有になっている土地は、共有者全員がそろって申請します。一人だけでは申請できません。共有者の中に売買で持分を手に入れた人がいても、相続で受け継いだ共有者と一緒なら申請できます。

名義の手続きのことは、相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前ににまとめています。共有の土地なら、まず共有者全員の考えをそろえておくことが出発点です。

出典:相続土地国庫帰属法 第1条・第2条第1項・第2項、法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

🏠 建物がある土地は、申請できません

建物がある土地は、国に返す申請ができません。建物の登記がされていなくても、建物が現にあれば申請できない、と法務省は案内しています。

法律は、申請できない土地として、次の5つを挙げています。申請しても、この5つに当たると却下されます。

申請できない土地(却下)ひとこと
建物がある土地登記がなくても、建物があれば申請できません
担保権(抵当権など)や、土地を使う権利などが設定されている土地借金を返し終えていても、抵当権の登記が残っていれば、抹消してから申請します
通路など、他人が使う予定の土地政令で決められた土地が含まれるもの
汚染された土地土壌汚染対策法の有害物質が、基準を超えている土地
境界が明らかでない土地・争いがある土地所有権があるか、誰のものか、範囲について争いがある土地を含みます
相続土地国庫帰属法 第2条第3項と、法務省「Q&A」7をもとに整理

実家の建物が残っている土地は、建物を解体してから申請するのが原則です。建物の滅失の登記は、所有者がするのが原則です。なお、物置小屋のようなものは、建物に当たらない場合があります(地上の工作物として審査されます)。

解体の届出や滅失登記の順番は、実家の解体の手続き|届出・石綿・滅失登記の順番にまとめています。家が残っているなら、解体の前に、次の承認の審査で止まらないかも、あわせて確かめておきましょう。

出典:相続土地国庫帰属法 第2条第3項、法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」 7

⛰️ 承認されない土地|地下に残った基礎やガラも審査されます

建物がなくても、管理に過分の費用や労力がかかる土地は、承認されません。地下に、取り除かないと管理できないものが残っている土地も、その一つです。

法律は、承認しない土地として、次の5つを挙げています。審査は、土地の一筆ごとに行われます。

承認されない土地(不承認)に当たらないか

管理に過分の費用や労力がかかる崖がある(崖の基準は政令で決まっています)
通常の管理を妨げる工作物・車両・樹木などが、地上にある
取り除かないと通常の管理ができないものが、地下にある
隣の土地の人などとの争訟によらないと、通常の管理ができない(政令で決まった土地)
そのほか、通常の管理に過分の費用や労力がかかる土地(政令で決まった土地)

相続土地国庫帰属法 第5条第1項をやさしく言い換えました。当てはまるかどうかは、法務局の審査で決まります。

解体と関わりが深いのは、3つ目の「地下にあるもの」です。法務省のQ&Aは、屋根瓦などの建築資材(いわゆるガラ)、既存の建物の基礎部分やコンクリート片、使っていない古い水道管、浄化槽、井戸、大きな石などが当たると考えられる、としています。一方で、いまも使える水道管やガス管などの一般的なものは、当たらない可能性がある、とも書いています。

地下の調べの資料は、申請に欠かせない書面ではありません。ただし、地下にものがあると疑う事情があれば、追加の資料を求められることがあります。基礎やガラが残っていれば承認されない、とまでは言い切れません。それでも、解体を頼むときは、基礎や浄化槽・井戸をどこまで取り除くかを、見積りの段階で確かめておくと安心です。ただし、取り除いても、承認されるかは法務局の審査で決まります。

出典:相続土地国庫帰属法 第5条、法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」 8

💴 費用は、審査手数料と負担金の2つです

国に返すには、申請のときに審査手数料、承認されたあとに負担金を納めます。審査手数料は、土地一筆(登記の上での土地の1区画)あたり14,000円です。

審査手数料は、取り下げや却下・不承認のときも返ってきません。負担金は、土地の種類ごとに、国が管理する10年分の標準的な費用を考慮して、政令で決めた方法で計算されます。

お金いついくら・注意すること
審査手数料申請のとき土地一筆あたり14,000円。却下・不承認でも返ってこない
負担金承認されたあと20万円が基本。市街化区域等の宅地・農地や森林は、面積に応じて20万円以上になることがある
法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」5、同「Q&A」9

負担金の額の通知から30日以内に納めないと、承認は効力を失います。隣り合う二筆以上が同じ種類の土地なら、申し出れば一筆とみなして計算できます。面積は地積(登記に記録された面積)で計算され、実際と違うときは、承認の前に地積を直す登記をするのが原則です。

建物の解体や登記の費用がかかる場合もあります。申請までの費用も見積もってから、ほかの手放し方と比べましょう。

出典:相続土地国庫帰属法 第10条・第11条、法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、同「Q&A」 9

📮 申請先は法務局の本局。書類の作成を頼めるのは3つの士業だけです

申請先は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局の本局です。支局や出張所では受け付けていません。

審査をするのが法務局だからです。申請の前の相談も、書類の作成を頼める相手も、決まりがあります。

申請の前には、法務局で相談ができます。相談は事前予約制で、一人1日1回30分以内です。

申請の書類の作成を頼めるのは、弁護士・司法書士・行政書士だけです。申請の手続きができるのは所有者本人か法定代理人に限られ、資格者を含めて、ほかの人は代理できません。

まずは土地のある県の法務局の本局に、相談の予約を入れてみてください。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」 3、同「Q&A」 1・2

🔀 国に返す前に、売る道とも比べてみましょう

国に返す制度は、手放し方の一つです。条件や費用が合わないときは、売るなど、ほかの道と比べて決めましょう。

法務省のQ&Aも、国庫帰属のほかの方法として、相続放棄、地方公共団体などへの寄附、民間での売買・贈与、農地なら農地中間管理機構の活用、森林なら森林経営管理制度の利用を挙げています。

家が残っている土地では、解体して国に返すか、建物があるまま売るか、更地で売るか、買い取ってもらうかで、手元に残るお金が変わります。買取は、解体費も手間もかからず、いちばん早くて楽な選び方です。ただし、手元に残るお金は少なくなることがあります。売れにくいときは実家が売れないときにできること|見直す4つ、比べるときの決め手は古家付き土地売却|残すか更地にするか決め手5つ、買取と仲介の違いは空き家の買取と仲介の違いにあります。

🏠 ここが、サンミライ開発のいちばんの強みです

当社では、買取・解体して更地で売る・建物があるまま売る、のどの形でもご相談いただけます。解体工事も自社で責任を持って行いますので、解体費も含めてそれぞれの形を並べ、手元に残るお金がいちばん多くなる選び方をご提示します。

建設業許可:福岡県知事許可(般-7)第117520号/宅地建物取引業免許:福岡県知事(1)第21156号。解体と売却の両方を、一つの窓口でお受けしています。

売る道も並べておけば、どちらを選んでも納得して進められます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」 1

❓ よくあるご質問

Q. 何年も前に相続した土地でも、使えますか

はい、使える場合があります。法務省は、制度が始まった令和5年4月27日より前に相続などで取得した土地も、対象になると案内しています。ほかの条件(申請できない土地・承認されない土地に当たらないか)は、同じように確かめます。

Q. 建物を解体する前に、申請だけ先にできますか

原則は、建物を解体してからの申請です。法務省のQ&Aは、申請のあと速やかに解体する予定のような場合は、申請する予定の法務局・地方法務局の本局に問い合わせるよう案内しています。まずは本局に聞いてみてください。

Q. 法務局に相談した結果どおりに、承認されますか

一概には言えません。法務省のQ&Aは、相談の結果と審査の結果とが異なる可能性もあり得る、としています。ほかの手放し方とも比べてから、申請を決めましょう。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」、同「Q&A」 1・7

📝 この記事のまとめ

  • 相続か遺贈(相続人に対するもの)で受け継いだ土地なら、条件がそろえば国に引き取ってもらえます。売買で自分で買った土地は、基本的に使えません
  • 建物がある土地は申請できません。登記がなくても、建物があれば同じです
  • 建物がなくても、崖や地上・地下に残ったものなどで、管理に過分の費用や労力がかかる土地は承認されません。地下の基礎・ガラ・浄化槽・井戸などには注意が必要です
  • 審査手数料は一筆14,000円で返ってきません。負担金は20万円が基本で、市街化区域等の宅地などは面積に応じて20万円以上になることがあります
  • 次の一歩は、①図のどの関門で止まりそうかを確かめる、②土地のある県の法務局の本局に相談の予約をする、③売る道とも並べて比べる、の3つです

受け継いだ土地は、ご家族が長く大切にしてきた場所でもあります。国に返すのか、次のオーナー様に引き継ぐのか。条件と費用を一つずつ確かめて、ご家族が納得できる道を選んでください。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、相続土地国庫帰属法の条文(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)と、法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」(2026年10月8日確認)に基づく一般的な説明です。申請の可否や承認は法務局の審査で決まります。法律の当てはめは弁護士・司法書士に、申請書類の作成は弁護士・司法書士・行政書士にご確認ください。最終更新日:2026-10-15。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

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