こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
親が施設に入った。親が亡くなり、実家が空いた。
「何から手をつければいいのか分からない」
そう感じている方は少なくありません。
先にお伝えします。実家じまいは、次の7つの順番で進めると迷いにくくなります。そして途中に、守りたい期限が3つあります。
順番が大事なのは、前の段取りが決まらないと、次に進めない作業が多いからです。たとえば、家を売るには名義の書き換え(相続登記)が要ります。片付けが済まないと、解体には入れません。
- 7つの順番:①方針 → ②名義 → ③片付け → ④見積り → ⑤残すか解体するか → ⑥解体の手続き → ⑦売る・申告する
- 3つの期限:相続登記の期限/空き家特例の売る期限/固定資産税の申告(福岡市は1月31日まで)
この記事は、実家じまいの「地図」です。全体の流れをつかんでから、ご自分に必要なところを読んでください。
📋 実家じまいは、7つの順番で進めます
実家じまいは「決める → 名義 → 片付け → 見積り → 判断 → 手続き → 売る」の順に進めます。ご家族の事情で前後することはありますが、この順が基本です。
実家じまいの7つの順番
方針を家族で決める
残す・貸す・売る・解体する、のどれを考えるか。誰が窓口になるかを決めます。
名義を確かめる(相続登記)
登記の名義が誰になっているかを確かめ、相続登記の段取りを決めます。
家財を片付ける
残したい物・譲る物を分けてから、残った家財を片付けます。
見積りをとる
解体の見積りと、売却の査定(売れる見通し)を並べて見ます。
残して売るか、解体するか決める
解体費・固定資産税・空き家特例の条件をくらべて決めます。
解体するなら、届出・石綿・滅失登記
工事の前の届出と石綿の調査、工事のあとの建物の登記を進めます。
売る・引き渡す・申告する
売買の契約と引き渡しを済ませ、税金の申告が要るかを確かめます。
順番は、法務省・国税庁・環境省・裁判所・福岡市の案内をもとに、当方で並べたものです
👪 ①方針と②名義:最初に家族で決めること
最初にするのは、家族で方針を決めることと、家の名義を確かめることです。この2つが決まらないと、片付けも売却も前に進みません。
名義が大事なのは、相続登記が義務になっているからです。相続で家や土地を受け継いだ人は、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請することが義務付けられています(「自己のために」は、自分が相続人になったことを指します)。
正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料(罰金とは別の、行政上のお金の制裁)の対象になります。ただ、いきなり科されるわけではなく、まず法務局の登記官から、申請するよう促す連絡(催告)があります。
話し合いでは、たとえば次のことを決めておきます。
- 家を残すか、手放すか(まだ決めきれなくてもかまいません)
- 家族の誰が窓口になって、業者や役所とやりとりするか
- 相続登記を、司法書士に頼むか、自分たちで進めるか
決めたことは紙やメールに書いて、家族みんなで同じものを持っておきます。窓口になった人が、進み具合をときどき家族に知らせるようにしておくと、「聞いていない」という行き違いを防ぎやすくなります。
福岡市早良区で、ご実家の売却をお手伝いしたご家族も、この順番で進みました。まずご家族で話し合い、その内容をもとに、ご高齢のご両親と娘さん、不動産事業部の藤木の三者で打ち合わせをしました。誰が中心になって進めるかも話し合い、ご両親と相談しながら、娘さんが窓口になって進める形にまとまりました。売り出しの金額もそこで決め、売却へと進んでいます。
親御さんがご存命で施設に入っている場合は、注意がいります。親御さんに成年後見人がついている場合、現行の制度では、成年後見人が本人の住まいを売ったり解体したりするには、家庭裁判所の許可が必要です。施設に入って、いまは住んでいない家も含まれます(成年後見の制度は、令和8年の法改正で見直しが決まっています)。
親子で話す順番は実家じまいは親が元気なうちに、親が認知症の場合は認知症の親の実家売却にまとめています。相続登記の手続きそのものは、法務局か司法書士にご相談ください。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、裁判所「居住用不動産の処分についての許可」
📦 ③片付けと④見積り:解体と売却を一緒に見る
家財を片付けながら、解体の見積りと売却の見通しを、並べて見ておきます。片付けの進み具合と見積りの中身で、次の判断が変わるからです。
片付けの責任は、家の持ち主の側にあります。環境省は、建物を解体するときに持ち主などが残した物(残置物)の後始末は持ち主などの責任で、解体の前に片付ける必要があるとしています。
片付けを業者に頼むときは、許可を確かめてください。家庭から出たごみ(不用品)を業者が回収するには、市町村の許可(一般廃棄物の処理業の許可)か、市町村からの委託が要ります。福岡市の場合は、「一般廃棄物収集運搬業許可業者」に頼むよう、市が呼びかけています。ほかの市町村は、家のある市町村の案内をご確認ください。
片付けと並行して、見積りをとります。解体の見積りだけ、売却の査定だけでは、どちらが良いかを比べられません。
片付けの進め方は実家じまいの片付けをご覧ください。
先ほどのご家族の場合、つまずいたのは家の中に残った物の片付けでした。片付けの段取りが決まっておらず、ご高齢のご両親だけで進めるのは難しいため、少しずつ進めていくことになりました。片付けがどこまで進むかで解体の費用が変わり、手元に残るお金も変わります。大変ではありますが、できるところから少しずつ進めておくのがよい、と藤木は考えています。
残すか解体するかで迷われたら、両方の見通しを並べて比べるのが近道です。当社では、解体の見積りと売却の査定を、同時にお出しできます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
🏚️ ⑤残して売るか、解体して売るかを決める
見積りがそろったら、家を残して売るか、解体して更地で売るかを決めます。どちらが正解かは、土地ごと・ご家族ごとに違います。
決め手になるのは、主に次の3つです。
- 解体費:更地にするなら、売れる前に払います
- 固定資産税:家を解体すると、税を軽くする「住宅用地の特例」から外れることがあります
- 空き家特例:家を残すか解体するかで、使うための条件が変わります
5つの決め手をくわしく比べた残すか更地にするか決め手5つで、ご自分の場合を当てはめてみてください。
🧾 ⑥解体するなら、届出・石綿・滅失登記
解体するなら、工事の前に届出と石綿(アスベスト)の調査、工事のあとに建物の登記を済ませます。どれも、持ち主の側にも関わる手続きです。
- 建設リサイクル法の届出:建物の解体で床面積が80㎡以上などの工事は、発注者(施主)が、工事に着手する日の7日前までに届け出ます(80㎡未満でも、別の届出が要ることがあります)
- 石綿の事前調査:調べるのは工事を請け負う業者です。施主は、費用を適正に負担するなどして調査に協力します。結果は、原則として工事を始める日までに、書面で説明を受けます
- 建物の滅失登記:登記上の所有者(登記の名義人など)が、建物の「滅失の日」から1か月以内に申請します
名義が亡くなった親のままでも、解体は進められます。当社が提携の司法書士に確かめたところ、名義を書き換えなくても、解体そのものと滅失の手続きは進められます。登記の名義人が亡くなっているときは、相続人が滅失登記を申請できます(不動産登記法第30条)。
ただし、相続人が何人かいる場合、建物を解体するには原則として全員の同意が要ります。ご家族の同意をそろえてから進めてください。
届出・石綿・滅失登記の順番と窓口は、実家の解体の手続きにまとめています。
出典:建設リサイクル法・大気汚染防止法・不動産登記法(e-Gov)
🤝 ⑦売る・引き渡す・申告する
最後に売買の契約と引き渡しを済ませ、税金の申告が要るかを確かめます。売るときには、相続登記が済んでいることが前提です。
相続登記の期限に間に合わないときのために、「相続人申告登記」という仕組みがあります。相続人の1人から申し出ができ、登録免許税(登記のときに納める税)もかかりません。ただし、遺産分割がまとまったあとの登記の義務は、この仕組みでは果たせません。また法務省は、この仕組みでは売却には足りず、別に相続登記が要るとしています。
親が一人で住んでいた家なら、条件しだいで税を軽くする「空き家特例」が使えることがあります。売って得た利益から、最高3,000万円を差し引ける仕組みです(家と土地を相続した人が3人以上で、令和6年1月1日以後に売る場合は2,000万円まで)。
特例の条件は空き家特例3,000万円控除、申告の書類と時期は実家売却の確定申告をご覧ください。税金の判断は、税理士か税務署にご確認ください。
出典:法務省「相続人申告登記について」、国税庁 No.3306
⏰ 守りたい3つの期限を逆算する
実家じまいでは、相続登記・空き家特例・固定資産税の申告の3つの期限から逆算して、段取りを組みます。期限を先に知っておくと、急いで決めて後悔することが減ります。
| 期限 | いつまで | 関わる順番 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内。令和6年4月1日より前の相続は、令和9年3月31日まで(知った日が令和6年4月以降ならその日から3年以内) | ②名義・⑦売る |
| 空き家特例の売る期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。あわせて、特例の期間(令和9年12月31日までの売却)の中であること | ⑤判断・⑦売る |
| 固定資産税の申告 | 福岡市の場合、家を解体したら、1月31日まで(土曜・休日は翌開庁日)に区役所の課税課へ申告します。土地の評価上の地目(宅地などの区分)は、その年の1月1日の現況で決まります | ⑥解体 |
たとえば、相続から2年たって話し合いが始まった場合、空き家特例の売る期限まで、片付け・見積り・解体・売却を残りの期間でこなすことになります。逆算すると、片付けと見積りに使える時間はそれほど長くありません。
ご自分の場合の日付は、相続の開始の日(親が亡くなった日)から数えて、手帳に書き出してみてください。固定資産税は、土地のある市町村の窓口で確かめると安心です(福岡市は物件がある区の区役所課税課、ほかの市町村は役所の固定資産税の窓口)。
出典:法務省、国税庁 No.3306、福岡市 固定資産税(土地)のページ
❓ よくあるご質問
Q. 相続登記がまだでも、片付けや解体の相談を始めてよいですか
はい、始められます。相続登記の前でも、解体の工事と建物の登記の手続きには入れます。ただし、相続人が何人かいるときは、解体には原則として全員の同意が要ります。また売るときは相続登記が要るので、期限も見ながら並行して進めます。
Q. 実家じまいには、どれくらいの期間がかかりますか
ご家族の話し合いや片付けの量で大きく違うため、全体の期間は一概には言えません。参考までに、当社が令和6年から令和8年9月までに解体した建物のうち、着工と完工の日付がそろった180件では、着工から完工までの日数の真ん中の値が17日、30日以内に終わったものが92%でした(建物の登記の期間は含みません)。
Q. どこに相談すればよいか分かりません
名義は法務局か司法書士、税金は税務署か税理士、家の扱いは不動産会社や解体の会社が窓口です。相談先ごとに聞くことを空き家・実家の相談先にまとめています。
📝 この記事のまとめ
- 実家じまいは「方針 → 名義 → 片付け → 見積り → 判断 → 手続き → 売る」の7つの順番で進めます
- 相続登記は義務です。期限は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内です
- 片付けと並行して、解体の見積りと売却の見通しを並べて見ておくと、判断しやすくなります
- 名義を書き換えなくても解体と滅失の手続きは進められますが、売るには相続登記が要ります
- 相続登記・空き家特例・固定資産税の申告、3つの期限から逆算して段取りを組みます
実家には、ご家族が過ごしてきた時間が詰まっています。急がずに、でも期限は見失わずに。7つの順番のどこから始めればよいか迷われたら、いまの状況を伺うところから、一緒に考えさせてください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、法務省・国税庁・環境省・裁判所・福岡市の資料と、当社の工事の記録に基づく一般的な説明です。相続登記の手続きは司法書士か法務局に、税金や特例が使えるかの判断は税理士か所轄の税務署にご確認ください。当社は税や登記の判断をいたしません。最終更新日:2026-10-13。
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