こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

実家じまいは、多くの方にとって初めての経験です。何から手をつければよいか分からないまま、目の前の片付けや、声をかけてきた業者の話から動き出してしまうことも少なくありません。

結論から申し上げます。実家じまいで避けたいのは、後から取り返しにくい順番で進めてしまうことです。この記事では、法律や公的機関の案内に書かれていることをもとに、次の5つを取り上げます。

  • 親御さんの判断能力の話を、後回しにすること
  • 相続人の一人だけで、解体を決めてしまうこと
  • 相続登記を、期限を知らないまま先送りにすること
  • 家財の回収を、許可を確かめずに頼むこと
  • 売買契約に署名したあとで、無条件でやめられると思い込むこと

どれも、知っていれば避けられることです。一つずつ見ていきます。

📋 避けたい5つと、代わりにしたいこと

避けたいこと何が起きうるか代わりにしたいこと
親御さんの判断能力の話を後回しにする契約の時に意思能力がなければ、その契約は無効です。後見人などが代わりに住まいを売る・解体するには、家庭裁判所の許可が要ります親御さんがお元気なうちに、気持ちと名義を確かめておく
相続人の一人だけで決める建物の解体は、原則として共有者全員の同意が要ります方針を相続人全員で話してから、見積りや契約に進む
相続登記を先送りにする期限を過ぎ、催告にも正当な理由なく応じないと、過料の適用対象になります。売るときは相続登記が要ります期限を日付で確かめ、登記の段取りを先に組む
家財の回収を許可を確かめずに頼む福岡市は、家庭のごみの回収は市の許可業者に頼むよう呼びかけています頼む前に、実家のある市町村の窓口で頼み先の確かめ方を聞く
契約後に無条件でやめられると思い込む自宅を不動産業者に売る契約では、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えません署名の前に、手付解除の期間と違約金の条項を読む
民法・不動産登記法(e-Gov 法令検索)・裁判所・法務省・福岡市・国民生活センターの資料による。2026年9月時点

① 親御さんの判断能力の話を、後回しにする

実家の名義が親御さんのままなら、家を売るかどうか、解体するかどうかを決めるのは、名義人である親御さんご本人です。親御さんの意思を確かめないまま、お子さんだけで話を進めることはできません。

民法には「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」とあります(第3条の2・e-Gov 法令検索「民法」)。ただし、認知症と診断されたら、その時点で契約ができなくなるという意味ではありません。問われるのは、契約をするその時の能力です。

解体業者として、特にお伝えしたいことがあります。判断能力が十分でなくなった方のために、家庭裁判所が選ぶ後見人などが本人に代わって手続きをする場合、裁判所の案内では、本人の住まいを売ったり解体したりするには家庭裁判所の許可が必要とされています。許可が要るもの(案内の言葉では「処分」)には、売却だけでなく「建物取り壊し」も入ります。住まいには、本人が今は病院や施設に入っていて住んでいない家も含まれます。許可を得ないで行った場合、それは無効になる、とも書かれています。

「親は施設に入ったから、家はもう解体しても大丈夫」とは限らない、ということです。手続きには時間もかかり、裁判所の「成年後見制度の概要」では、後見などの申立てから審判まで「おおむね1か月から2か月程度」とされています(鑑定を行う場合は、さらにかかります)。そのあと、住まいの売却や解体の許可を別に申し立てることになり、許可までの期間は案内に書かれていません。

なお、成年後見制度は法律の改正が決まっています(令和8年6月公布。後見と保佐を「補助」の制度に一元化)。施行日はまだ決まっておらず、それまでは今の制度が使われます。親子での話し方の順番や、お元気なうちに選べる任意後見については、実家じまいは親が元気なうちにでお伝えしています。

② 相続人の一人だけで、解体を決めてしまう

親御さんが亡くなり、相続人が何人もいるときに起きやすいのが、実家の近くに住む一人が、よかれと思って話を進めてしまうことです。

民法第251条第1項は、「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。…)を加えることができない」と定めています。実家を相続人で共有している場合について、当社が提携する司法書士に確認したところ、建物の解体には原則として共有者(相続人)全員の同意が必要とのことでした(2026年7月)。

同意がそろえば、相続登記がまだ済んでいなくても、登記の名義を書き換えないまま、解体そのものと、その後の建物滅失登記の手続きは進められる、という説明も受けています。名義の書き換えを待つかどうかと、相続人全員の同意は、別の話です。

ほかの共有者を知ることができない、所在が分からないといった場合のために、裁判所の手続きも定められています(同条第2項)。ご家族の事情に合わせた進め方は、司法書士・弁護士にご相談ください。

③ 相続登記を、期限を知らないまま先送りにする

相続登記(名義を相続人に移す登記)は、令和6年4月1日から義務になりました。法務省の案内では、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に申請することが義務付けられ、正当な理由がないのに申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となる、とされています。

令和6年4月1日より前に始まった相続でも、まだ相続登記をしていなければ対象で、令和9年3月31日までに登記をする必要があります(相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降なら、その日から3年以内)。

過料は、期限を過ぎたら自動で科されるものではありません。登記官がまず期間を決めて申請するよう催告(期限を示して手続きを促すこと)し、それでも正当な理由なく申請しなかった場合に、裁判所へ通知する流れです。罰則の話より大事なのは、実家を売るときは、相続登記が済んでいる必要があるということです。先送りにすると、売りたいときに手続きが間に合わないことがあります。

空き家まわりの過料の話は、空き家放置の罰則|罰金100万円は本当?で整理しています。

④ 家財の回収を、許可を確かめずに頼む

実家じまいでいちばん手間がかかるのは、家財の整理だという方も多いと思います。量が多いと、回収を業者に頼みたくなるものです。

福岡市は、「無許可の回収業者」を利用しないでくださいというページで、いつものごみ出しや市の粗大ごみ受付センターを使わずに第三者に回収を頼む場合は、福岡市の「一般廃棄物収集運搬業許可業者」に頼むよう呼びかけています。「違法業者の例」として、産業廃棄物収集運搬業の許可番号だけ、古物商の許可番号だけでは、家庭のごみ(不用品)の回収はできない、とも書かれています。

同じページには、令和8年1月・2月に、福岡市内で特定商取引法違反と廃棄物処理法違反(無許可での収集運搬)で逮捕される事案があったことも載っています。実家が福岡市以外にある方は、実家のある市町村の窓口で、許可業者の探し方を確かめてください。

長くご家族を支えてきた家財です。感謝とともに手放すためにも、頼み先は確かめてから選びたいところです。

⑤ 売買契約に署名したあとで、無条件でやめられると思い込む

親御さんが自宅を不動産業者に売る場合に、知っておいていただきたいことがあります。

国民生活センターは、「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」(令和3年6月24日)で、消費者が自宅を不動産業者に売る契約には、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えず、売買契約が成立すると無条件では解除できない、と注意を呼びかけています。売主から解除する場合は「手付倍返し」(受け取った手付金の倍額を返してやめる方法)となり、手付解除の期間を過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要になる、とも書かれています。

この資料は、60歳以上の方の自宅の売却の相談をもとにしたもので、相続した空き家や、仲介で個人の方に売る場合を直接取り上げたものではありません。それでも、署名の前に、手付解除の期間と違約金の条項を読むことは、どの売り方でも変わりません。業者に買い取ってもらう場合と仲介で売る場合の違いは、空き家の買取と仲介の違いでお伝えしています。

📅 この順番で進めると、つまずきにくくなります

実家じまいの順番(避けたい5つを避ける並べ方)

親御さんの気持ちと、家の名義を確かめる

親御さんがお元気なうちに、これからの暮らしの希望と家への思いを聞きます。家の名義が誰かも確かめておきます。

相続人全員で方針を話す

相続が起きているなら、売るのか、解体するのか、残すのかを、相続人全員で話します。遠方の方にも、見積りや契約の前に知らせます。

相続登記の期限を日付で確かめる

令和6年4月1日より前に始まった相続でまだ登記をしていなければ、原則として令和9年3月31日までです(相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降なら、その日から3年以内)。売るなら相続登記が要ります。手続きは司法書士に相談できます。

家財の整理は、頼み先を確かめてから

回収を業者に頼むなら、先に実家のある市町村の窓口で、頼み先の確かめ方を聞きます(福岡市は、市の一般廃棄物収集運搬業許可業者に頼むよう呼びかけています)。

売買や解体の契約は、読んでから署名する

契約をやめるときの条項に印をつけ、分からないところは署名の前に質問します。

👣 お一人でもできること

今日からできる確認

相続人が誰か、連絡先とあわせて紙に書き出す
市町村や法務局から届いた文書を、1か所にまとめる
相続人が一人でも申し出られる「相続人申告登記」があることを知っておく(法務省の案内。登録免許税はかかりません。ただし、売るときは別に相続登記が要ります)
家財の回収を頼む前に、実家のある市町村の窓口で、頼み先の確かめ方を聞く
契約書を受け取ったら、手付解除の期間と違約金の条項に印をつける

❓ よくあるご質問

Q. 親が施設に入り、家はもう使っていません。解体してもよいですか

親御さんご本人が判断できる状態なら、名義人である親御さんが決めることです。判断能力が十分でなくなり、後見人などが代わりに手続きをする場合は、施設に入っていて今は住んでいない家も「居住用不動産」に含まれ、建物の解体(案内の言葉では「建物取り壊し」)にも家庭裁判所の許可が必要です(裁判所の案内)。

Q. 相続人申告登記をしておけば、実家を売れますか

売れません。法務省の案内では、相続人申告登記は権利関係を示すものではないため、相続した不動産を売るときは、別に相続登記の申請が必要とされています。

Q. 相続人の一人の所在が分かりません。解体は進められますか

建物の解体は、原則として共有者全員の同意が必要です。所在が分からない共有者がいる場合のための裁判所の手続きもありますが、使えるかどうかは事情によります。司法書士・弁護士にご相談ください。

📝 この記事のまとめ

  • 家を売る・解体すると決めるのは名義人です。後見人などが代わりに住まいを売る・解体する場合は、家庭裁判所の許可が要ります
  • 相続人が何人もいるとき、建物の解体は原則として共有者全員の同意が要ります
  • 相続登記は、相続の開始と取得を知った日から3年以内(令和6年4月1日より前の相続は原則として令和9年3月31日まで)。売るときは相続登記が要ります
  • 家財の回収は、頼み先を確かめてから頼みます(福岡市は一般廃棄物収集運搬業許可業者に頼むよう呼びかけています。ほかの市町村は窓口へ)
  • 自宅を不動産業者に売る契約では、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えません。署名の前に、手付解除の期間と違約金の条項を読みます

やってはいけないことを並べると、身構えてしまうかもしれません。けれど、どれも順番を少し入れ替えるだけで避けられることです。家族を長く支えてきた家の次の役割を、私たちも、いまの状況を確かめるところから一緒に考えます。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、2026年9月時点の法令(民法・不動産登記法)と、裁判所・法務省・福岡市・国民生活センターの資料に基づく一般的な説明です。成年後見・相続・登記の手続きは家庭裁判所・司法書士・弁護士に、家財の回収はお住まいの市町村の窓口にご確認ください。最終更新日:2026-09-28。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

💬 解体工事・不動産のご相談はお気軽に!

「解体工事って初めてで不安…」「費用はどれくらいかかるの?」「ご近所にご迷惑がかからないか心配💦」── そんなお悩みはありませんか?解体は一生に何度もあることではありません。分からないことがあって当然です。

ご相談・お見積りは完全無料。無理な営業はいたしませんので、どんな小さなことでも安心してお問い合わせください🙋‍♂️

▶︎ 無料相談・お問い合わせはこちら

お電話でも:092-609-9764(担当:藤木)

株式会社サンミライ開発
〒815-0075 福岡県福岡市南区長丘5丁目24−26−1F
TEL:092-609-9764(担当:藤木)
公式サイト:https://sanmirai.jp