こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
「福岡市の実家を相続したので、いずれ売りたい」
「固定資産税の通知や名義のことは、どこで何をすればいいの?」
そんなご相談をいただくことがあります。
先にお伝えします。福岡市で相続した不動産を売る前に整えたいのは、区役所の課税課(固定資産税)と、法務局(相続登記)の手続きです。
固定資産税には福岡市の条例で決まった申告の期限があり、相続登記には国の法律で決まった期限があるためです。窓口と期限を先に知っておけば、売り出すまでの段取りを落ち着いて組めます。
この記事では、次の順にご紹介します。
- 区役所と法務局で行うことの全体(図)
- 区役所の課税課:固定資産税の現所有者の申告と、納税通知書の送り先
- 福岡市の外に住む相続人の納税管理人
- 法務局:相続登記の期限と、福岡市内の管轄
- 売ったあと、空き家特例を使うときの市の確認書
相続した家を売るまでの全体の流れ(遺産分割の話し合いなど)は、実家の相続売却の流れ|売るまで5つの順番にまとめています。この記事は、福岡市の窓口と期限にしぼってお伝えします。
🧭 福岡市で相続した不動産を売るまでに、区役所と法務局で行うこと
区役所の課税課で固定資産税の手続きを、法務局で相続登記を済ませると、売り出しの準備が整います。行うことと期限を、次の図にまとめました。

大事なのは、期限のある3つです。区役所への現所有者の申告(3か月)、市の外に住む方の納税管理人(10日。市長の認定を受ければ不要な道もあります)、法務局への相続登記(3年)。数え始めの日はそれぞれ違いますが、どれも、売る・売らないにかかわらず、相続をきっかけに関わってくる期限です。
5番の確認書は、売ったあとの税金で「空き家特例」を使う方だけの手続きです。まずは、1番から4番のうち、ご自分の家族がどこまで済んでいるかを確かめてみてください。
出典:福岡市市税条例 第44条の5・第45条、不動産登記法(e-Gov 法令検索) 第76条の2、博多区「ご遺族のための手続きガイド」、福岡法務局「管轄区域一覧」、福岡市「空き家の譲渡所得の3000万円控除」
🏛️ 区役所の課税課:固定資産税の「現所有者の申告」は3か月以内です
名義人が亡くなっている家や土地を持っている人(現所有者)は、福岡市では、現所有者だと知った日の翌日から3か月を経過した日までに、申告書を出すことになっています。
固定資産税を納めるのは、毎年1月1日に登記簿などに所有者として載っている人です。ただ、その人が1月1日より前に亡くなっているときは、その日に「現に所有している者」が納めます(地方税法 第343条第2項)。そこで福岡市の市税条例 第44条の5は、現所有者に、自分の住所・氏名、亡くなった名義人との関係などを書いた申告書を、市長に出すよう定めています。
正当な理由がなくて申告しなかったときは、10万円以下の過料(お金を納めさせる行政上の制裁)の決まりもあります(第53条第1項)。額は「情状により、市長が定める」とされています。
申告とは別に、納税通知書の送り先も変えておきましょう。博多区の「ご遺族のための手続きガイド」では、相続人・親族などが、相続人であることがわかる書類(戸籍謄本、遺言書など)と納税通知書を持って、区役所4階の課税課(固定資産税土地第1係)で手続きします。なお、亡くなった方に課税されていた市税は、相続人へ納税義務が継承される、とも書かれています。
このガイドは博多区版です。ほかの区の窓口の階や係、申告書の出し方は、福岡市の区役所の課税課に、どの区の窓口に出すかも含めて確かめてください。相続人が何人かいて、まだ分け方が決まっていないときに、誰が現所有者として申告するかも、そのときに尋ねておくと落ち着いて進められます。
出典:地方税法(e-Gov 法令検索) 第343条第2項、福岡市市税条例 第44条の5・第53条、博多区「ご遺族のための手続きガイド」(博多区版)
✈️ 福岡市の外に住む相続人は、納税管理人を考えます
固定資産税を納める人が福岡市内に住んでいないときは、原則として、納税管理人を定める手続きがあります。
福岡市の市税条例 第45条第1項では、市内に住所などがない納税義務者は、市内に住む人のうちから納税管理人(個人なら、独立の生計を営む人に限るなどの条件があります)を定めて、必要が生じた日から10日以内に市長に申告します。市の外に住む人を納税管理人にするときは、同じく10日以内に申請して、市長の承認を受けます。納税管理人は、納税に関する一切のことを処理する人です。
ただし、第2項には、固定資産税の徴収の確保に支障がないことについて市長の認定を受けたときは、納税管理人を定めなくてよい、という道もあります。どんな場合に認定されるかは、条例からは分かりません。県外にお住まいの方は、区役所の課税課に、ご自分の場合はどうなるかを尋ねてみてください。
遠くにお住まいで、実家の管理そのものに悩まれている方は、遠方の実家の空き家管理|見るところと3つの道もご覧ください。
出典:福岡市市税条例 第45条
🏷️ 法務局:相続登記は3年以内。福岡市内は本局と西新出張所です
相続した不動産を売るには、法務局で相続登記(名義の書き換え)をする必要があります。相続登記は2024年4月から義務になっていて、期限があります。
不動産登記法 第76条の2第1項により、相続で不動産を取得した人は、相続の開始を知り、かつ取得を知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。2024年4月より前の相続で、まだ登記をしていない場合は、令和9年(2027年)3月31日まで(取得を知った日が2024年4月以降なら、その日から3年以内)です。正当な理由がないのに怠ると10万円以下の過料の対象になりますが、期限を過ぎた日に自動で科されるのではなく、登記官が申請を促す催告の手続きがあります。
法務省は、相続人申告登記という簡単な登記をしていても、相続した不動産を売るときは、別に相続登記の申請が必要だとしています。期限や過料のくわしいことは相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前ににまとめています。
| 不動産のある区 | 不動産登記の窓口 |
|---|---|
| 博多区・中央区・南区・東区 | 福岡法務局(本局) |
| 早良区・城南区・西区 | 福岡法務局 西新出張所 |
西新出張所のページには、「登記手続案内は、事前予約制です」とあります。登記の申請の代理や書類の作成を仕事として行えるのは、司法書士と弁護士です。必要な書類や申請のしかたは、法務局か司法書士に確かめてください。
相続登記が済めば、売り出しの準備が整います。あとは、ふつうの家を売るときと同じ流れで進めます。福岡市の外にお住まいで、実家に何度も通えないこともあると思います。鍵をお預かりして、遠方にお住まいでも売却まで進められます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
出典:不動産登記法(e-Gov 法令検索) 第76条の2・第164条、法務省「相続登記の申請義務化について」、法務省「相続人申告登記について」、福岡法務局「管轄区域一覧」、福岡法務局「西新出張所」
📄 売ったあと、空き家特例を使うなら、市の確認書は住宅計画課へ
相続した空き家を売って「空き家特例(3,000万円の特別控除)」を使うときに要る市の確認書は、福岡市の住宅計画課が窓口です。区役所では受け付けていません。
確定申告では、売った不動産のある市区町村が出す「被相続人居住用家屋等確認書」を添えます。福岡市の案内では、窓口は住宅都市みどり局 住宅部 住宅計画課で、「区役所では受付しておりませんのでご注意ください」とあります。
福岡市の案内に書かれていること
確認書は、空き家だったことを確認するための書類で、特別控除が使えることを約束するものではありません。特例に当てはまるかは、住所地を管轄する税務署の判断です。
特例が使えるかどうかの要件は空き家特例3,000万円控除|要件と使えない例に、申告の時期と書類は実家売却の確定申告|必要な書類と時期にまとめています。確定申告の前に、余裕をもって申請しましょう。
出典:福岡市「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円控除)」について
❓ よくあるご質問
Q. 相続登記を早く済ませれば、区役所への現所有者の申告はしなくてよいですか
「しなくてよい」とは言い切れません。福岡市の市税条例は、現所有者に、現所有者だと知った日の翌日から3か月を経過した日までに申告書を出すよう定めています。登記の予定を伝えて、区役所の課税課に確かめておきましょう。
出典:福岡市市税条例 第44条の5
Q. 売った年の固定資産税は、誰に届きますか
固定資産税は、毎年1月1日に所有している人に課税されます。福岡市の案内では、売買などで実際の所有者が変わっていても、1月1日の時点でまだ名義変更の手続きが終わっていなければ、前の所有者が納税義務者になります。売る時期を考えるときの材料にしてください。
Q. 相続のことを、無料で相談できるところはありますか
博多区の手続きガイドには、区役所2階の市民相談室での司法書士相談(毎月第2木曜日・要予約・無料。福岡市内に住むか通勤・通学する方)が載っています。福岡市の外にお住まいの方は対象外なので、お住まいの地域の相談窓口か、司法書士にご相談ください。ほかの区の相談の日程は、それぞれの区役所にお尋ねください。兄弟で分け方の意見が割れているときは、実家売却で兄弟の意見が割れたら|相続の決め方3つもご覧ください。
📝 この記事のまとめ
- 福岡市で相続した不動産を売る前に整えたいのは、区役所の課税課(固定資産税)と、法務局(相続登記)の手続きです
- 現所有者の申告は、現所有者だと知った日の翌日から3か月を経過した日までです(福岡市市税条例 第44条の5)。納税通知書の送り先の変更もあわせて
- 福岡市の外に住むときは、納税管理人を定めて10日以内に申告か申請をします。市長の認定を受ければ定めなくてよい道もあります
- 売るには相続登記が要ります。期限は3年以内(2024年4月より前の相続は令和9年3月31日まで)。博多区・中央区・南区・東区は本局、早良区・城南区・西区は西新出張所です
- 次の一歩は、①図のどこまで済んでいるかを確かめる、②区役所の課税課に申告と送り先を尋ねる、③相続登記の段取りを司法書士に相談する、の3つです
相続した家を売るまでには、区役所と法務局の手続きがいくつか重なります。けれど、窓口と期限が分かれば、一つずつ順番に片付けられます。まずは、期限のある申告と登記から確かめてみてください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、地方税法・不動産登記法(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)、福岡市市税条例、福岡市・博多区・福岡法務局・法務省のページに基づく一般的な説明です。固定資産税の申告や納税管理人については区役所の課税課に、登記については法務局・司法書士に、税金については税務署・税理士にご確認ください。最終更新日:2026-10-21。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。