こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
親御さんが亡くなり、兄弟姉妹で実家を相続したものの、「売りたい」「残したい」で意見が分かれていませんか。
先にお伝えします。兄弟の意見が割れたときは、まず兄弟で話し合い、まとまらなければ家庭裁判所の調停を使えます。調停が不成立なら、自動的に審判に移ります。民法と裁判所の手続きが、そう定めているからです。
あわせて大切なのが、決まるまでの間に、一部の兄弟だけで売却や解体を進めないことです。この記事では、次の順にご紹介します。
- 意見が割れたときの道(図)
- 兄弟の一部だけで、売ったり解体したりできるか
- 話し合いをまとめるために、そろえたい材料
- 家庭裁判所の調停の申し立て方
- 決まるまでの間に気をつけたいこと(相続登記の期限など)
どの道を選ぶにしても、兄弟の関係はこれからも続きます。こじれる前に、全体の道筋を一緒に確かめておきましょう。
🧭 実家のことで兄弟の意見が割れたら、まず話し合い、次に調停
実家をどうするかで兄弟の意見が割れたら、まずは相続人どうしの話し合い(遺産分割の協議)で決めます。まとまらなければ家庭裁判所の調停(または審判)の手続きを使え、調停が不成立なら自動的に審判に移ります。

民法は、相続人は遺言で禁じられている場合などを除き、「いつでも、その協議で」遺産を分けられる、と定めています。そして、協議がまとまらないときや協議ができないときは、家庭裁判所に分割を請求できる、としています。
裁判所の案内によると、調停では、双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料を出してもらったりしながら、解決案を示したり助言をしたりして、合意を目指して話し合いが進められます。話し合いがまとまらず調停が不成立になると、自動的に審判の手続きが始まり、裁判官が、遺産の種類や性質その他一切の事情を考慮して審判をします。
たとえば、兄は「誰も住まないから売りたい」、妹は「思い出があるから残したい」という場合も、最初の場は兄弟の話し合いです。いきなり裁判所に行くのではなく、まずは話し合いの材料をそろえるところから始めます。
家庭裁判所の調停も、合意を目指す話し合いの場です。まずは兄弟で、何を決める必要があるのかを書き出してみましょう。
出典:民法 第907条(2026年10月時点の条文)、裁判所「遺産分割調停」
⚖️ 兄弟の一部だけで、売却や解体を進める前に
話がまとまる前に、一部の兄弟だけで実家の売却や解体を進めないことが大切です。建物の解体は、原則として共有している人全員の同意が必要とされ、売却に誰の同意が要るかも、状況によって変わるからです。
民法では、共有している物に「変更」を加えるには、ほかの共有者の同意が必要です(形や働きを大きく変えないものは除きます)。また、建物の解体については、条文とは別に、当社が提携の司法書士に確かめたところ、原則として共有者全員の同意が必要とのことでした。
| 民法の共有のきまり | 誰が決められるか |
|---|---|
| 変更を加えること | ほかの共有者の同意が必要 |
| 管理に関すること | 持分(それぞれの持ち分)の価格に従って、その過半数で決める(人数ではありません) |
| 保存行為(何が当たるかは専門家にご確認ください) | それぞれの共有者ができる |
ここで気をつけたいのは、「兄弟の過半数が賛成すれば売れる・解体できる」とは言えないことです。売ることや解体が、表のどれに当たるのか、相続の途中の実家にどう当てはまるのかは、条文だけでは決まりません。
兄弟のうち誰かが先に進めたいときは、動く前に、弁護士・司法書士に「全員の同意が要るか」を確かめましょう。そのひと手間が、兄弟の関係を守ることにもつながります。
出典:民法 第251条・第252条
🗂 話し合いをまとめるために、そろえたい材料
話し合いをまとめる近道は、「売る」「残す」それぞれの見通しを、同じ物差しで並べることです。意見が割れるとき、兄弟それぞれが思い描いている前提が違っていることがあるからです。
たとえば、売りたい側は「売ればいくら手元に残るか」を、残したい側は「残すと、誰が管理し、何がかかるか」を気にしています。どちらか片方の数字だけで話すと、平行線になりがちです。
話し合いの前に、兄弟でそろえたいこと
見通しの数字は、同じ前提で並べると比べやすくなります。
売る・残す・解体して売るで迷われたら、両方の見通しを並べて比べるのが近道です。解体の見積りと売却の査定を、同時にお出しできます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
材料がそろうと、「どちらが正しいか」ではなく「どれを選ぶか」の話し合いに変わります。
🏛 まとまらないときは、家庭裁判所の調停へ
兄弟で話し合ってもまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てられます。相続人の1人からでも申し立てられ、ほかの相続人全員が相手方になります。
裁判所は、遺産の分け方について相続人の間で話し合いがつかない場合に、家庭裁判所の調停または審判の手続きを利用できる、と案内しています。
遺産分割調停の要点
申し立てる人
相続人(共同相続人)などです。1人もしくは何人かが、ほかの相続人全員を相手方として申し立てます。
申し立てる先
相手方のうちの1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です。
費用
亡くなった方1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料は裁判所ごとに異なります。
必要な書類
立場によって違います。裁判所のページでご確認ください。
不成立になったら
自動的に審判の手続きが始まります。
調停にどのくらいの期間がかかるかは、事情によって違うため、この記事ではお答えできません。申し立てる前に、弁護士や、申し立てる先の家庭裁判所に相談すると安心です。
出典:裁判所「遺産分割調停」
⏳ 決まるまでの間に、気をつけたいこと
話し合いが長引いても、相続登記の期限は進みます。相続した不動産の名義の手続きには、3年の期限があるからです。
法務省によると、相続で不動産を取得した相続人は、相続の開始があったことと、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。遺産分割が成立したときは、成立した日から3年以内に、その内容の登記も必要です。
期限内に話し合いがまとまりそうにないときは、「相続人申告登記」という仕組みもあります。3年以内に申し出れば、最初の登記の義務は果たしたことになります。相続人の1人が単独で申し出ることができ、登録免許税はかかりません。ただし、遺産分割が成立したあとの登記と、実家を売るときの相続登記は、別に必要です。
詳しくは相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前にをご覧ください。登記の手続きそのものは、司法書士にご相談ください。
話し合いの最初に「相続登記の期限はいつか」を兄弟で共有しておくと、先送りを防げます。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」、法務省「相続人申告登記について」
❓ よくあるご質問
Q. 実家に住んでいる兄弟に、家賃を求められますか
一概には言えません。民法には、共有している物を使う人は、別に合意がある場合を除き、自分の持分を超えて使った分の対価を返す義務を負う、という決まりがあります。ただ、相続の途中の実家にどう当てはまるかは、事情によって違います。弁護士にご相談ください。
Q. 法定相続分のとおりに分けないといけませんか
いいえ。遺産の分け方は、相続人の話し合い(協議)で決められます。遺言で分割が禁じられている場合などは除きます。
Q. 少し時間をおいてから決めることもできますか
はい。相続人どうしで、5年以内の期間を決めて、遺産を分けない約束(契約)をすることができます。ただし、その期間の終わりは、相続が始まった時から10年を超えられません。
出典:民法 第249条・第907条・第908条(2026年10月時点の条文)
📝 この記事のまとめ
- 兄弟の意見が割れたら、まず話し合い(遺産分割の協議)。まとまらなければ家庭裁判所の調停を使え、不成立なら自動的に審判に移ります
- 建物の解体は、原則として共有している人全員の同意が必要とされています。一部の兄弟だけで進めないことが大切です
- 「売る」「残す」「解体して売る」の見通しを同じ物差しで並べると、話し合いがまとまりやすくなります
- 調停は相続人の1人からでも申し立てられます。法律の判断は弁護士・司法書士、売った場合・残した場合の見通しは不動産会社へ
- 話し合いの間も、相続登記の3年の期限は進みます。期限を兄弟で共有しておきましょう
実家は、兄弟それぞれに思い出のある場所です。だからこそ意見が分かれるのは、自然なことだと思います。どちらが正しいかを決める前に、売った場合・残した場合の見通しを並べて、同じ材料で話し合ってみてください。分からないことがあって当然です。法律の判断は専門家へ。売却や解体の見通しについては、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、民法(2026年10月時点の条文)、裁判所「遺産分割調停」、法務省「相続登記の申請義務化について」「相続人申告登記について」に基づく一般的な説明です。遺産の分け方、共有している不動産の売却や解体に誰の同意が要るかなど、法律の判断は弁護士・司法書士・家庭裁判所にご確認ください。最終更新日:2026-10-16。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。