こんにちは、株式会社サンミライ開発 不動産事業部の藤木です。
「親から相続したご実家、福岡市内ではないけれど、解体や売却を考えるとどう動けばいいか分からない」 — そんなお悩みを抱える方に向けて、福岡市以外の福岡県内の市町で2026年度(令和8年度)に活用できる解体補助金を、各市町の公式情報でまとめました。
本記事では、上限額・補助率・対象条件と、申請の最大の落とし穴までをまとめてご紹介します。
🏠 なぜ福岡県内で解体補助金が広がっているのか — 制度の背景
空家等対策特別措置法の改正(令和5年12月施行)
2023年(令和5年)12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正では、新たに「管理不全空家」という概念が設けられました。倒壊などの直接的な危険までは至らなくても、適切な管理が行われていない空き家を、市町村が指定できる仕組みです。勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例(1/6減額)が解除される可能性があります(出典: 国土交通省)。
相続登記の義務化(令和6年4月〜)と「もう放置できない」現実
あわせて、2024年(令和6年)4月1日からは相続登記が義務化されました。不動産を相続した日(取得を知った日)から3年以内に登記申請をしないと、10 万円以下の過料の対象となる可能性があります(出典: 東京法務局)。
つまり、相続したご実家は「登記もしない、手も入れない」が許されない時代に入っています。解体・売却・活用のいずれを選ぶにせよ、選択肢を早めに整理しておく必要があります。
⚠ ★交付決定前に契約・着工すると補助対象外 — 最大のNGトラップ
こんなご相談をいただくことがあります。
「補助金が使えると聞いて、すぐに業者と契約して工事を始めてもらったんです。そのあと市役所に行ったら『もう対象外です』と言われて…」(県外在住の相続人の方より)
福岡県内の解体補助金は、ほぼ全自治体で申請の順序を厳格に定めています。一段でも飛ばしてしまうと、上限額の大きい制度であっても、補助金の交付を受けられなくなります。
正しい順序は次の通りです。
事前相談 → 補助金交付申請 → ★交付決定通知 → 契約・着工 → 完了報告 → 補助金交付
★がついた「交付決定通知」を受ける前に、解体業者と契約を結んだり工事に着手したりすると、その時点で補助対象から外れます。太宰府市など、公式ページで明確に注意喚起している自治体もあります。
役割を終えた建物を、次のオーナー様や新しい暮らしへ気持ちよく受け渡すために、申請順序だけはどうか守ってください。近隣の方の安心のためにも、手続き上の不備を残さないことが大切です。
💰 福岡県内(福岡市以外)の解体補助金 一覧表
解体に使える市町の補助は、大きく2種類あります。一つは、危険な空き家などの解体を対象にした「空き家の除却補助」(表A)。もう一つは、旧耐震の木造住宅の耐震化の補助の中にある「除却(解体)の枠」(表B)です。2026年9月に各市町の公式ページで確認した内容を、2つに分けて整理しました。
表A:空き家・老朽危険家屋の除却補助(空き家が対象)
| 自治体 | 制度名 | 上限額 | 補助率 | 令和8年度の受付 | 主な条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 久留米市 | 久留米市老朽危険空家等除却促進事業 | 65万円 | 1/2 | 4/21〜翌1/29(予算額に達した時点で終了) | 木造・使用実態なし・危険度判定の基準を満たすもの・市内業者に発注 |
| 宗像市 | 宗像市老朽空き家等除却促進事業補助金 | 60万円(空家等対策促進区域)/30万円 | 1/3以内 | 5/11〜翌1/29(先着順) | 昭和56年5月31日以前の建築・1年以上使用なし・未登記の家屋や自分で行う解体は対象外 |
| 大牟田市 | 大牟田市老朽危険家屋等除却促進事業 | 60万円 | 1/2 | 期間の記載なし(予算の額に達した場合は終了) | 木造・軽量鉄骨造・評点100点以上・空家特措法の「勧告」を受けた家屋は対象外(中心市街地の対象地区は別制度で上限75万円、長屋・非木造は150万円) |
| 大野城市 | 大野城市老朽危険空き家等除却促進事業 | 50万円 | 1/2 | 申請期限1月下旬(2件程度・ページに年度の記載なし) | 木造・軽量鉄骨造・評定100点以上・使用されていない空き家 |
| 飯塚市 | 飯塚市老朽危険家屋解体撤去補助金制度 | 50万円 | 1/2 | 期間の記載なし(毎年度2月中旬までに工事完了) | 評点100点以上・建て替え目的は対象外・市内業者 |
| 直方市 | 直方市老朽危険家屋等解体撤去費補助金 | 50万円 | 1/2 | 年度の開始日〜1月末日(先着順) | 昭和56年5月31日以前の竣工・木造または軽量鉄骨造・評点100点以上・市内の解体業者 |
| 北九州市 | 老朽空き家等除却促進事業 | 30万円 | 1/3以内(契約額と市の基準額の低い方) | 判定依頼 4/20〜12/21 | 昭和56年5月以前の建築・市場流通が困難・市内業者・更地にする |
| (参考)志免町 | 危険な空き家の解体費用の補助 | 60万円(道路に接していない空き家は120万円) | 1/2 | 4/6〜12/25(先着・5戸程度) | 木造・軽量鉄骨造・評点100点以上・更地にする |
表B:耐震の補助の中の「除却」枠(旧耐震の木造・耐震診断が必要)
耐震の補助の除却枠は、福岡県が市町村を通じて補助している仕組みです(出典: 福岡県 木造戸建て住宅を対象とする耐震化促進の取組み)。相続した空き家の解体に使えるかどうかは、市町で分かれます。いずれも、昭和56年5月以前の木造住宅で、耐震診断で耐震性が不足していると判定されることが前提です。
| 自治体 | 上限 | 補助率 | 相続した空き家の解体 |
|---|---|---|---|
| 筑紫野市 | 60万円 | 除却費と耐震改修費の低い方の60% | 対象(3年以内に取得したもの) |
| 大野城市 | 60万円 | 解体費と耐震改修費の低い方の45% | 対象(2026年8月7日更新のページに記載) |
| 春日市 | 30万円(別に、共同住宅なども対象の除却の補助 20万円) | 低い方の23% | チラシに「空き家含む」とあります。要綱は申請時点の居住を条件にしているため、相続した空き家で使えるかは申請前に都市計画課でご確認ください |
| 太宰府市 | 30万円 | 低い方の23% | 対象 |
| 那珂川市 | 30万円(5件) | 低い方の23% | 対象(相続開始が令和5年1月1日以降) |
| 久留米市 | 30万円 | 23% | 対象(令和8年度から) |
| 飯塚市 | 30万円 | 低い方の23% | 対象(令和7年度から。移住者が購入した空き家も) |
| 篠栗町・新宮町・志免町 | 30万円 | 23% | 対象(志免町は令和8年度の受付を終了) |
| 北九州市 | 30万円(70歳以上は令和8〜10年度に限り50万円) | 23% | 対象に入っていません(申請時点で居住している住宅のみ) |
| 直方市・古賀市・宇美町 | 30万円 | 23% | 対象に入っていません(申請時点で居住していることが条件) |
| 福津市・須恵町・粕屋町 | 30万円 | 23% | 対象に入っていません(居住が条件)。令和8年度の受付状況は公式ページで確認できませんでした |
| 大牟田市・宗像市・久山町 | ― | ― | 除却の枠は、私たちが確認した範囲では見当たりませんでした |
実際にもらえる金額は「解体費用 × 補助率」と「上限額」の低いほうです。表を見るときは、上限額だけでなく補助率もセットでご確認ください。
表を見て注意していただきたいのは、上限額の高さがそのまま実際にもらえる金額の大きさを意味するわけではないという点です。
例えば補助率1/2・上限50 万円の自治体で、解体費用が80 万円かかった場合、交付見込み額は半額の40 万円です。解体費用が120 万円の場合は1/2で60 万円ですが、上限が50 万円で頭打ちとなり50 万円が交付見込みになります。
このように、上限額と補助率の両方を見て、ご自身のケースでの交付見込み額を把握することが大切です。
なお、表Bの除却枠のように、解体費と耐震改修費の低い方に補助率を掛ける制度もあります。
💰 各市町の制度を読むときのポイント
空き家の除却補助(表A)── 危険な空き家を解体するための補助
久留米市の「老朽危険空家等除却促進事業」は、上限65万円・補助率1/2です。令和8年度の受付は4月21日から翌年1月29日までで、予算額に達するとその時点で終わります。市内にある木造の建物で、施工は市内業者であることが条件です。補助金の受け取りを解体業者に委任することもできます(出典: 久留米市)。
宗像市の「老朽空き家等除却促進事業補助金」は、補助率1/3以内で、上限は空家等対策促進区域が60万円、その他の区域が30万円です。令和8年度は5月11日から翌年1月29日まで、先着順で受け付け、予算枠に達すると終わります(出典: 宗像市)。
大牟田市の「老朽危険家屋等除却促進事業」は、市内全域が対象で、上限60万円・補助率1/2です。空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく「勧告」を受けた家屋は対象外です(出典: 大牟田市)。中心市街地の対象地区には別の制度(中心市街地老朽建築物除却促進事業)があり、上限は75万円、長屋や鉄筋コンクリート造などは150万円です(出典: 大牟田市)。
大野城市・飯塚市・直方市は、いずれも上限50万円・補助率1/2です。大野城市は、市の老朽危険度判定で評定100点以上の、使用されていない空き家が対象で、枠は2件程度・申請期限は1月下旬です(出典: 大野城市)。飯塚市は築年数を条件にしていませんが、建て替えを目的とする解体は対象外で、施工は市内業者です(出典: 飯塚市)。直方市は昭和56年5月31日以前に竣工した建物が対象で、受付は年度の初めから1月末日まで(先着順)、工事は市内の解体業者に依頼することが条件です(出典: 直方市)。
北九州市の「老朽空き家等除却促進事業」は、上限30万円で、解体業者との契約金額と市が定める基準額の低い方の1/3以内です。「判定依頼 → 判定 → 補助金交付申請」の3段階を踏む点が他市と異なり、令和8年度の判定依頼は12月21日までです。市内業者に請け負わせること、原則として更地にすることも条件です(出典: 北九州市)。
糟屋郡の志免町にも、危険な空き家の解体費の2分の1(上限60万円、道路に接していない空き家は120万円)を補助する制度があります(令和8年度は4月6日〜12月25日・先着5戸程度)。
耐震の補助の中の除却枠(表B)── 旧耐震の木造住宅の解体に使える補助
もう一つ見落とされやすいのが、耐震の補助の中にある「除却(解体)」の枠です。昭和56年5月以前に建てられた木造戸建て住宅で、耐震診断の結果、耐震性が不足していると判定されたものを、建て替えや住み替えのために解体する場合などに使えます。補助額は、解体費と耐震改修費の低い方の23%(上限30万円)という市町が多く、大野城市は45%・上限60万円(出典: 大野城市)、筑紫野市は60%・上限60万円です(出典: 筑紫野市)。
注意したいのは、相続した空き家の解体に使えるかどうかが、市町で分かれることです。筑紫野市・大野城市・太宰府市・那珂川市・久留米市・飯塚市・篠栗町・新宮町・志免町は、相続した空き家の解体も対象にしています(相続の時期などの条件があります。出典: 太宰府市、那珂川市、久留米市、飯塚市 ほか各市町公式)。一方、北九州市・直方市・古賀市・宇美町・福津市・須恵町・粕屋町は、現在の要綱・案内では申請の時点でその家に住んでいることが条件で、相続した空き家は対象に入っていません(令和8年度から相続した空き家を加えた市もあるため、最新の条件は各市町へ)。春日市はチラシに「空き家含む」とありますが、要綱は申請時点の居住を条件にしているため、相続した空き家で使えるかは申請前に市へご確認ください(出典: 春日市)。
古賀市・福津市・須恵町(耐震の除却枠あり・現在の要綱では居住中の住宅が対象)
古賀市・福津市・須恵町には、耐震の補助の中に除却の枠があります(23%・上限30万円)。ただし3市町とも、現在の要綱・案内では申請の時点でその家に住んでいることが条件で、相続した空き家は対象に入っていません(令和8年度から相続した空き家を加えた市もあるため、最新の条件は各市町へ)。窓口は、古賀市が都市整備課 開発指導係(出典: 古賀市)、福津市が都市計画課 開発建築係です(出典: 福津市)。空き家の解体を対象にした補助は、3市町とも、私たちが確認した範囲では見当たりませんでした(2026年9月時点)。福津市・須恵町は、令和8年度の除却枠の受付状況も公式ページでは確認できませんでしたので、各市町にお問い合わせください。
施工する業者の条件にもご注意ください
補助によっては、市内(町内)の業者が施工することが条件になっています。今回確認した範囲では、久留米市・飯塚市・直方市・北九州市の空き家の除却補助や、北九州市・久留米市・福津市の耐震の除却枠などがそうです(出典: 北九州市 ほか各市町公式)。補助の利用を優先される場合は、業者を決める前に、市町の窓口で施工業者の条件をご確認ください。
📋 申請の流れ — 県内ほぼ共通の6ステップ
自治体ごとに細部は違いますが、解体補助金の申請プロセスはおおむね次の6ステップで進みます。

1. 事前相談 — まずは市の建築課・都市計画課などの窓口に電話でご相談を。「解体補助金を検討している」と伝えれば、対象条件や必要書類を案内してもらえます。新年度4月の予算枠開放直後のご相談がおすすめです。
2. 必要書類の準備 — 市内業者2社以上の見積書を求める自治体もあります。
3. 補助金交付申請 — 市に正式な申請書類を提出します。
4. ★交付決定通知の受領 — ここまでは契約・着工しません。
5. 契約・着工 → 完了報告 — 工事終了後に実績報告書を提出します。
6. 補助金交付請求 → 振込。
前述の通り、ステップ4より前に契約・着工してしまうと補助対象から外れます。
私たちサンミライ開発の現場では、解体工事中の養生・散水・こまめな清掃を徹底し、近隣の方への不安を最小化する取り組みを続けています。補助金の申請順序を守ることと、信頼できる業者と一緒に近隣の方への配慮を尽くすこと。この二つが、役割を終えた建物を次の暮らしへ気持ちよく受け渡すための「未来への準備」だと考えています。
🤔 よくある質問
Q1. 「昭和56年以前」とは具体的にいつですか?
A. 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物(旧耐震基準)を指します。築年は登記簿謄本(建物の表題部)か、毎年届く固定資産税納税通知書で確認できます。なお、築年数を条件にしない制度もあります(飯塚市・大野城市の空き家の除却補助など)。
Q2. 補助率1/2・上限50 万円ならいくら出ますか?
A. 解体費用の半額か50 万円のどちらか低い方が交付見込み額です。例えば解体費80 万円なら40 万円、解体費120 万円でも上限50 万円までで頭打ちとなります。実額は補助率と上限額の両方で決まる仕組みです。耐震の補助の除却枠のように、解体費と耐震改修費の低い方に補助率を掛ける制度もあります。
Q3. 残置物の処分費も補助対象になりますか?
A. 多くの自治体で対象外(解体工事費のみが補助対象)です。残置物処分や廃棄物処理は別費用となるため、事前のお片付けで補助対象額を最大化する工夫が現実的です。
Q4. 予算枠は年度途中で尽きますか?
A. 自治体によります。宗像市のように「先着順・予算枠制」と明記する自治体もあり、年度途中で受付終了になることがあります。新年度4月〜6月の早期相談を推奨します。
Q5. 福岡市の補助金は別にありますか?
A. 本記事は福岡市以外の福岡県内自治体を整理しています。福岡市内の制度については、別記事「【2026年版】福岡市の解体補助金まとめ」で解説していますので、そちらをご参照ください。
Q6. すでに業者と契約・着工してしまった場合はどうなりますか?
A. 残念ながら、交付決定通知より前に契約や着工があった場合、ほとんどの自治体で補助対象外となります。ただし、まずは市の窓口に状況をお伝えください。自治体ごとの個別判断や、似た目的の他の制度を案内してもらえる可能性もあります。次回以降の参考として、お知り合いの方にも申請順序の重要性を共有していただけると安心です。
Q7. 自分で申請できますか?業者に頼むべきですか?
A. 申請者は所有者または相続人ご本人で、書類作成自体はご自身でも可能です。ただし、危険度判定や見積書の取得など、解体業者と並行して進める作業も多くあります。北九州市のように「判定依頼 → 判定 → 補助金交付申請」の3段階を踏む自治体では、書類が複雑になりやすいため、解体業者に相談しながら進めるのが現実的です。
Q8. 福岡市以外に複数の実家を持っている場合はどうなりますか?
A. 補助金は建物1棟ごとに1つの自治体の制度を申請するのが基本です。複数の市町に物件をお持ちの場合は、それぞれの建物について各自治体の制度をご確認ください。同じ制度を同一所有者が繰り返し受けられない自治体もあるため、優先順位をつけて進めることをおすすめします。
✅ まとめ — 制度を知っている業者と一緒に、申請順序を守ること
福岡県内(福岡市以外)の解体補助金は、市町ごとに上限額・補助率・対象条件が異なります。本記事のポイントを整理します。
・空き家の除却補助の上限は30万〜65万円(大牟田市の中心市街地の長屋・非木造は最大150万円、志免町の道路に接していない空き家は120万円)、補助率は1/3〜1/2です。
・耐震の補助の中の除却枠は23%・上限30万円が多く、大野城市は45%・上限60万円、筑紫野市は60%・上限60万円です。相続した空き家に使えるかは市町で分かれます。
・市内(町内)の業者が施工することを条件にしている補助もあります。
・★交付決定通知を受ける前の契約・着工は補助対象外になります。
・予算枠制の自治体が多く、新年度4月の予算開放直後の相談が安全です。
私たちサンミライ開発は、福岡県内で解体工事と不動産売却をワンストップで承る事業者として、補助金申請の順序を踏まえたご相談に対応しています。
最終更新日: 2026年9月24日 / 本記事は2026年度(令和8年度)の制度に基づく解説です。最新情報は各自治体公式サイトでご確認ください。
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