こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
解体の見積書を手元に並べて、
「どこを見比べればいいのか分からない」
そう感じている方は少なくありません。
先にお伝えします。解体業者を選ぶときは、合計の金額より先に、見積書の中身を見ると安心です。とくに見てほしいのは、内訳と、「別途」と書かれたものです。
合計が近くても、何が入っていて、何が入っていないかは見積書ごとに違うからです。当社が今年作った建物の解体の見積書16件を見直すと、16件すべてで、合計の下に「別途」のものを並べていました(見積書のひな型に入っている注記です)。
当社も、福岡で解体工事をしている会社です。この記事では、自社の見積書を例に、見積書で確かめたい7つと、気をつけたいところをお伝えします。
📋 解体業者の選び方は、見積書の7つで比べます
見積書を受け取ったら、次の7つを順に見ていきます。何社かの見積書を比べるときも、この7つを同じ順で見ると比べやすくなります。
見積書で確かめる7つ
法律の条文と、厚生労働省・福岡県の案内、当社の見積書をもとに、当方で並べたものです
🪪 ① 業者の名前と、登録・許可の番号
見積書の業者の名前と、解体工事業の「登録」か建設業の「許可」の番号を確かめます。どちらかがあれば、この点は確かめられたことになります。
「許可」は建設業法、「登録」は建設リサイクル法の仕組みです。解体工事業を営むには、工事をする区域の都道府県知事の登録を受けることになっています(建設リサイクル法第21条)。ただし、建設業法の土木工事業・建築工事業・解体工事業のどれかの許可を受けた業者は、この登録の対象から外れます。ほかの業種の許可だけでは外れません。
参考までに、当社(株式会社サンミライ開発)の建設業の許可番号は、福岡県知事許可(般-7)第117520号です。
見積書に番号が見当たらなければ、「登録か許可の番号と、許可なら業種を教えてください」とひと言たずねておくと確かです。
出典:建設リサイクル法(e-Gov)、建設業法(e-Gov)。2026年10月時点の条文
🧾 ② 内訳と、工程ごとの日数があるか
見積書は、合計だけでなく、工事の種類ごとの内訳と、工程ごとの日数が書かれたものをお願いします。内訳があれば、何社かの見積書を同じ項目どうしで比べられます。
建設業法は、建設業者に、工事の種類ごとの材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業と日数を書いた見積書を作るよう努めることを求めています(第20条第1項)。そして、注文する人から求められたら、契約が成立するまでに、その見積書を渡さなければならないとしています(同条第4項)。許可を受けた建設業者なら、内訳のある見積書は「頼めば出してもらえるもの」です。
たとえば当社の見積書では、建物そのものの解体(「解体工事」)と、塀や庭木などの撤去(「付帯構造物その他設備撤去」)を、別の項目に分けて書いています。
解体費用の目安は福岡の解体費用の相場にまとめています。
出典:建設業法 第20条(e-Gov)。2026年10月時点の条文/当社の見積書(2026年3〜8月に作った建物の解体の見積書16件を、項目ごとに数えたもの)
🏡 ③ 建物のほかに、敷地の何が入っているか
内訳では、建物のほかに、敷地にある塀や庭木、土間のコンクリートなどが入っているかを見ます。建物以外の項目が並ぶことが多いからです。
当社の見積書16件で、建物の解体とは別に、次の撤去の項目が入っていた件数を数えました。
| 見積書の項目(敷地のもの) | 16件のうち |
|---|---|
| 庭木の伐採と根の撤去 | 14件 |
| 土間コンクリートの撤去 | 14件 |
| ブロック塀の撤去 | 13件 |
| 倉庫・小屋の撤去 | 10件 |
| 庭石・灯籠の撤去 | 9件 |
| カーポートの撤去 | 6件 |
見積書の項目と、敷地にあるものを一つずつ照らし合わせてみてください。敷地にあるのに項目が見当たらないものは、見積りに入っているのか、別なのかを、たずねておくと行き違いを防げます。
出典:当社の見積書(2026年3〜8月に作った建物の解体の見積書16件を、項目ごとに数えたもの)
📌 ④ 「別途」と書かれたもの(合計に入っていないもの)
見積書で特に気をつけたいのは、「別途」と書かれたものです。合計の金額には入っていない費用だからです。
当社の見積書16件は、すべて、合計の下に「※本見積以外の工事はご協議をお願いします。」と断ったうえで、別途のものを並べていました。並んでいたのは、たとえば次のものです。
| 見積書の書き方 | どんなものか | 16件のうち |
|---|---|---|
| 地下埋設物及び瓦礫類撤去 | 地面の下に埋まっていたものや、がれきの撤去 | 16件 |
| 残土鋤取り・埋戻しは別途 | 土をすき取ったり、埋め戻したりする作業 | 16件 |
| 交通誘導員は別途 | 工事の車の出入りなどを誘導する人 | 16件 |
| 隣接家屋調査費用は別途 | となりの家の様子を調べる費用 | 16件 |
| アスベスト撤去費は別途 | 石綿を含む建材を取り除く費用(⑤) | 16件 |
| 生活残置物廃棄物処分は別途 | 家の中に残った家財の片付け | 15件 |
ただし、これらの行は当社の見積書のひな型(見積書のもとになる書式)に最初から入っている注記です。どの現場でも、これだけの追加の費用がかかるという意味ではありません。たとえば「地下埋設物及び瓦礫類撤去」は、16件とも見積書の「1台」あたりの単価だけを書き、数量と金額の欄は空けていました。
交通誘導員やとなりの家の調査のように、ご近所に関わる項目もあります。「別途」のものは、出てきたときの単価と、そのときの連絡のしかたを聞いておくと、あとで慌てずにすみます。家財の片付けの進め方は実家じまいの片付けをご覧ください。
出典:当社の見積書(2026年3〜8月に作った建物の解体の見積書16件を、項目ごとに数えたもの)
🧪 ⑤ 石綿(アスベスト)の調査の費用と、撤去の費用
石綿は、「事前調査の費用」と「撤去の費用」を分けて見ます。調査は解体の前に業者がするもので、撤去は石綿を含む建材があった場合のものです。
大気汚染防止法は、施主から直接工事を請け負った業者(元請業者)に、解体する建物に石綿を含む建材があるかどうかを調べ、結果を書面で施主に渡して説明するよう求めています(第18条の15第1項。説明は原則として工事を始める日まで)。施主の側も、調査の費用を適正に負担するなどして、調査に協力することになっています(同条第2項)。
厚生労働省は、施主に向けて、次のことを確かめるよう参考として勧めています。
- 工事の費用に、事前調査の費用が入っているか
- 業者が、石綿の調査を行う資格(建築物石綿含有建材調査者など)を持っているか
- 調査が終わったら、石綿事前調査結果報告書を出してもらう
当社の見積書では、16件すべてで、撤去の費用を「アスベスト撤去費は別途」の行にしていました。撤去が要るとなったときにどう決めるかも、あわせて確かめてください。
出典:大気汚染防止法(e-Gov)、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「発注者・施主」/当社の見積書(2026年3〜8月に作った建物の解体の見積書16件を、項目ごとに数えたもの)
🔁 ⑥ 追加になる条件と、そのときの決め方
見積りの時点で分からないことがあれば、追加になる条件と、そのときの決め方を確かめておきます。あとで「聞いていなかった」とならないためです。
たとえば、家の中に入れない、まだ人が住んでいる、といった場合は、家の中の量が見積りの時点では分かりません。当社の見積書でも、一括見積サイトの書式の見積書が残っている5件のうち3件に、こうした理由で家財の片付けの費用を別途とする一文を書いていました。そのうち2件は、引っ越しや退去のあとに改めて見積もると書いていました。
建設業法は、契約書に、工事の変更や延期のときの工期・代金の変更の決め方や、工事で第三者(たとえばご近所)が損害を受けたときの賠償金の負担の決め方などを書いて、施主と業者が渡し合うよう定めています(第19条第1項)。
「どんなときに追加になりますか」「そのときは、どう連絡をもらって、どう決めますか」の2つは、見積りの段階でたずねておきましょう。解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。
出典:建設業法 第19条(e-Gov)/当社の見積書(2026年3〜8月に作った建物の解体の見積書16件を、項目ごとに数えたもの)
♻️ ⑦ 届出と、廃材の行き先の説明
見積書とあわせて、建設リサイクル法の届出と、廃材の行き先(マニフェスト)の説明があるかも確かめます。届出は施主の側の手続きで、マニフェストは主に業者の側の手続きです。
木材やコンクリートなどを使った建物で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の工事などは、施主(発注者)が、工事に着手する日の7日前までに届け出ます(建設リサイクル法第10条第1項)。工事を請け負おうとする業者は、届出に書く事項のうち主なものを、書面で施主に説明することになっています(第12条第1項)。福岡県内では、北九州市・福岡市・大牟田市・久留米市の工事はそれぞれの市、そのほかは県の県土整備事務所が届出先です(佐賀県の工事は、工事の場所の県・市の窓口にご確認ください)。80㎡未満でも、別の届出が要ることがあります。
廃材の運搬や処理をほかの業者に任せるときは、廃材を出す事業者が、引き渡しと同時にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を渡し、処理が終わると写しで確かめます(廃棄物処理法第12条の3)。何段階かの請負なら、この事業者は元請業者です(施主ではありません)。「マニフェストの写しで、廃材の行き先を見せてもらえますか」と聞いてみると、廃材の扱いを確かめるきっかけになります。
解体のあとの建物の滅失登記(建物がなくなったことを登記する手続き)まで含めた順番は、実家の解体の手続きにまとめています。届出と廃材の行き先まで説明してくれるかも、見積書と並べて比べてください。
出典:建設リサイクル法(e-Gov)、福岡県「建設リサイクル法第10条の届出及び第11条の通知について」、廃棄物処理法(e-Gov)
❓ よくあるご質問
Q. いちばん安い見積りを選んでもよいですか
一概には言えません。金額の差が、内訳や「別途」のものの違いから来ていることがあるためです。建設業法は、建設業者が見積書の材料費などを、通常必要と認められる額より著しく低くしないよう定めています(第20条第2項)。合計だけでなく、内訳と「別途」のものをそろえて比べてください。
Q. 解体の工事は、どれくらいの日数がかかりますか
建物の大きさや構造で変わります。参考までに、当社の令和6年から令和8年9月9日時点までの現場一覧で、着工と完工の日付がそろった建物の解体180件では、着工から完工までの日数の真ん中の値が17日、30日以内が92%でした(建物の登記の期間は含みません)。
📝 この記事のまとめ
- 解体業者を選ぶときは、合計の金額より先に、見積書の中身(内訳と「別途」のもの)を見ます
- 業者の名前と、解体工事業の登録か建設業の許可(土木・建築・解体のどれか)の番号を確かめます
- 内訳と工程ごとの日数、建物のほかに敷地の何が入っているかを、敷地と照らし合わせます
- 「別途」と書かれたものは合計に入っていません。出てきたときの単価と決め方を聞いておきます
- 追加になる条件と決め方、届出と廃材の行き先も、見積りの段階で確かめておきます
長い間ご家族を守ってきた家とのお別れは、何度もあることではありません。見積書の言葉が分からないのは当然のことです。気になる項目を一つずつ確かめながら、納得できる形で進めてください。どこから見ればよいか迷われたら、いまの状況を伺うところから、一緒に考えさせてください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、建設業法・建設リサイクル法・廃棄物処理法・大気汚染防止法(2026年10月時点の条文)と、厚生労働省・福岡県の案内、当社の見積書と工事の記録に基づく一般的な説明です。見積書の項目や書き方は業者ごとに違います。ご自分の工事に法令がどう当てはまるかは、工事の場所の窓口(県・市)にご確認ください。最終更新日:2026-10-09。
解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。