こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

古い家を解体してから土地を売ったら、その解体費用は税金の計算で差し引けるのか。この問いを、国税庁の資料で確かめます。

結論から申し上げます。国税庁は、土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用を、売った利益から差し引ける「譲渡費用」に挙げています(国税庁 No.3255)。ただし、条件は「売るために直接かかった費用」であることです。

  • 税金がかかるのは、売った代金ではなく、代金から取得費と譲渡費用を引いた利益(譲渡所得)です
  • 解体費用は、土地を売るために直接かかった費用であれば、譲渡費用に入ります
  • 固定資産税や修繕費のような、維持や管理のための費用は入りません
  • 相続した家なら、空き家特例(最高3,000万円の控除)が使える場合もあります

最後の判断は、税理士か所轄の税務署にお任せください。ここでは、相談の前に知っておくと話が早い仕組みを、国税庁の言葉で整理します。

🧮 お手元の数字で出せること:計算の式

土地や建物を売ったときの税金は、給与などの所得とは分けて計算します(分離課税)。式は次のとおりです(国税庁 No.1440)。

中身
収入金額売った代金。売った年の固定資産税・都市計画税のうち、売った日から年末までの分を買主から受け取った場合は、その額も入ります
− 取得費親御さんなどが買ったときの代金や手数料など(建物は、年数がたって値打ちが減った分=減価償却費に当たる額を引きます)
− 譲渡費用売るために直接かかった費用(仲介手数料、測量費、契約書の印紙代、取壊し費用など)
− 特別控除額空き家特例などの要件に当てはまる場合
= 課税譲渡所得金額この額に税率をかけます
出典:国税庁 No.1440・No.3202。固定資産税の精算金は「税金の立替え」ではなく、収入金額に入ります

差し引ける額が大きいほど、税金のかかる利益は小さくなります。だからこそ、何が取得費と譲渡費用に入るかを知っておくことが大切です。

🏗️ 解体費用が「譲渡費用」になる仕組み

国税庁は、譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定めています。そのうえで、譲渡費用の例として次のものを挙げています(No.3255)。

  • 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
  • 印紙税で売主が負担したもの
  • 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
  • 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用と、その建物の損失額
  • すでに契約した物件を、さらに有利な条件で売るために支払った違約金

原文には「その建物の損失額」(国税庁の手引では「取壊し損」)も挙がっています。計算の方法はこのページには書かれていません。

一方で、譲渡費用にならないものも、はっきり書かれています。

譲渡費用になる譲渡費用にならない
売るために直接かかった費用(仲介手数料・測量費・印紙代・取壊し費用など)修繕費や固定資産税など、その資産の維持や管理のためにかかった費用
売った代金の取立てのための費用
出典:国税庁 No.3255・No.3202、『令和7年分 譲渡所得の申告のしかた』p.21

草刈りや見回りのような維持・管理の費用は、譲渡費用になりません。家財の片付けの費用については、このページに記載がありません。迷う費用は、領収書を取っておいて税務署で確かめると安心です。

⚠️ 気をつけたい3つの場合

1. 売る目的のない解体

条件は「売るために」「直接」です。売るつもりのない時期に解体した費用が当たるのか、解体から売るまでに何年空いてよいのかは、国税庁のこれらのページには書かれていません。解体してしばらく土地を持ち、あとで売る場合は、早めに確かめておくと安心です。

2. 買主が解体する場合

建物を残したまま売り、買主の負担で解体する場合に、その費用を売主が差し引けるとは、国税庁のページからは言えません。どちらが解体するかで手元に残るお金も変わるので、古家付き土地の解体費用は誰が払うや古家付き土地の買取|仲介手数料と手取りで比べるもあわせてご覧ください。

なお、国税庁の「取得費となるもの」には、建物付きの土地を買って、おおむね1年以内に建物を解体するなど、初めから土地の利用が目的だった場合の建物の購入代金や取壊しの費用が挙がっています(No.3252)。これは買った側の取得費の話で、相続した家を売主が解体する場合の話ではありません。

3. 売って損が出た場合

土地や建物を売って損が出ても、一定の居住用財産の場合を除いて、給与など土地建物の売却以外の所得と差し引きすることはできません(国税庁『令和7年分 譲渡所得の申告のしかた』p.20)。

👪 相続した古家付き土地で、知っておくこと

親御さんから相続した土地と家を売る場合、取得費と所有期間の数え方に特徴があります(国税庁 No.3270)。

  • 取得費:親御さんが買ったときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。相続のときの評価額ではありません。相続のときに払った登記費用や不動産取得税も取得費に含まれます(業務に使っていない場合)
  • 取得費が分からないとき:先祖伝来の土地や、買った時期が古いなどで分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます。たとえば3,000万円で売ったなら150万円です(No.3258)。この場合、相続人が払った登記費用などは取得費に含められません
  • 所有期間:原則として、親御さんが取得した時期をそのまま引き継ぎます。売った年の1月1日に5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です
区分所得税住民税
長期(売った年の1月1日に所有期間が5年超)15%5%
短期(同じく5年以下)30%9%
出典:国税庁 No.3202・No.3208・No.3211。このほか、所得税の2.1%の復興特別所得税をあわせて納めます

さらに、相続した家が昭和56年5月31日以前に建てられ、相続の直前に亡くなった方のほかに住んでいた人がいなかった家などの要件に当てはまれば、空き家特例で、令和9年12月31日までの売却について、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の売却で、家と敷地を取得した相続人が3人以上なら2,000万円)を差し引ける場合があります(国税庁 No.3306)。この特例には、解体してから土地を売る道と、家を残して売る道(売る時に耐震基準を満たす場合や、売った年の翌年2月15日までに解体か耐震改修が済む場合)があります。解体すれば使える、というものではなく、売る期限や、売るまで土地を貸したりしていないことなど、要件が細かく決まっています。解体してから売るか迷うときは、解体費用の扱いとあわせて、この特例の道も一緒に確かめておくと判断しやすくなります。要件と売る期限、確認書の段取りは、空き家特例3,000万円控除|要件と使えない例でまとめています。

🗓️ 申告の時期から逆算する

譲渡所得の申告は、売った年の翌年の2月16日から3月15日の間に行います(国税庁 No.3102。年によっては、曜日の関係で終わりの日がずれます)。売った日は、原則として買主に引き渡した日ですが、契約の効力が生じた日(一般的には契約を結んだ日)で申告することもできます。

解体と売却の年が分かれることもあります。解体の費用をいつ払ったか、いつ引き渡したかが分かる書類を、売った年の分の申告まで手元にまとめておくと、計算のときに慌てずに済みます。

👣 お一人でもできること

相談の前に、手元に集めておくとよい書類

親御さんが土地や家を買ったときの売買契約書・領収書(取得費の基になります)
相続のときに払った登記費用・不動産取得税の領収書
解体工事の契約書と領収書(工事の時期と金額が分かるもの)
仲介手数料・測量費・売買契約書の印紙代の領収書
売買契約書と、固定資産税の精算金の額が分かる書類

見つからない書類があっても、そろった分だけで相談できます。取得費が分からない場合の扱いもあります。

❓ よくあるご質問

Q. 解体費用は、売る前の年に払っても差し引けますか

国税庁のページには、解体から売るまでの期間の決まりは書かれていません。条件は、売るために直接かかった費用であることです。解体と売却の年が分かれる場合は、個別の判断になります。

Q. 相続税の評価額を取得費にできますか

できません。相続した土地建物の取得費は、親御さんなどが買ったときの購入代金などを基に計算します。分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます(No.3258)。

Q. 空き家の管理にかかった費用は引けますか

修繕費や固定資産税のような、維持や管理のための費用は譲渡費用になりません(No.3255)。

📝 この記事のまとめ

  • 古家付き土地を売ったときの税金は、代金から取得費と譲渡費用(と特別控除)を引いた利益にかかります
  • 土地などを売るために建物を取り壊したときの取壊し費用は、譲渡費用として国税庁に挙げられています。条件は「売るために直接」かかったことです
  • 固定資産税や修繕費などの維持・管理の費用は、譲渡費用になりません。買主が負担した解体費用を売主が引けるとは言えません
  • 相続した土地建物の取得費は親御さんが買ったときの代金が基で、分からなければ売った金額の5%にできます
  • 相続した家なら空き家特例が使える場合もあります。判断は税理士か所轄の税務署へ

長く家族を守ってきた家とお別れして、土地を次のオーナー様へ引き継ぐとき、手元にいくら残るかは大切な判断の材料です。まずは、親御さんが買ったときの書類と、解体の契約書・領収書を一つの封筒にまとめておくところから始めてみてください。解体と売却の順番に迷ったときは、いまの状況を伺うところから、一緒に考えます。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と『令和7年分 譲渡所得の申告のしかた』に基づく一般的な説明です。費用が譲渡費用や取得費に当たるかの判断は、税理士か所轄の税務署にご確認ください。当社は税の判断をいたしません。最終更新日:2026-10-05。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

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