こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

相続をきっかけに、兄弟や親族と土地や家を「共有」している。自分の分だけでも手放したいけれど、ほかの共有者と話がまとまらない。そんなときに気になるのが、「自分の持分(もちぶん=共有している物の中で、それぞれが持つ割合)だけを売れるのか」ということだと思います。

先にお伝えします。持分を売買できるのは、その持分を持つご本人です。ほかの共有者が代わりに売ることはできません。一方、土地や家の全体を売るには、共有者全員の同意が要ります。ただし、持分だけを売るときにほかの共有者の同意が要るかどうかを言い切った国の説明は、当社が確かめた範囲では見つかっていません。

どの道を選ぶかで、要るものも、手元に残るお金の見通しも変わります。この記事では、次のことを順に整理します。

  • 持分の売買と、全体の売却で、誰の同意が要るか
  • 共有から抜ける3つの道(図にしました)
  • 持分を売ったあと、残る共有者との関係はどうなるか
  • 相続した実家の共有で、先に確かめること
  • 連絡がつかない共有者がいるときの制度

🏠 共有持分の売買は持ち主ご本人が行い、全体を売るには全員の同意

共有持分の売買ができるのは、その持分を持つご本人です。土地や家の全体を売るときは、共有者全員の同意が必要です。

法務省のサイトに載っている、民法の見直しを話し合った部会の資料は、「共有持分の売買や抵当権の設定等の処分をすることができるのは共有者本人に限られ、他の共有者が持分の処分をすることはできない」と整理しています。そのうえで、全体を売るなどのときは、全共有者の同意が必要なのは当然だ、としています。

たとえば、兄弟3人が3分の1ずつ持つ土地なら、土地全体を売るには3人全員の同意が要ります。一方、ご自分の3分の1の持分の売買は、ご自分が売り主として行うものです。ほかの兄弟が、あなたの持分を代わりに売ることはできません。

では、ご自分の持分だけを売るときに、ほかの共有者の同意が要るのか。この点をはっきり書いた国や裁判所の説明は、当社が確かめた範囲では見つかっていません。この記事では断定しませんので、ご自分の場合は、売る前に司法書士・弁護士に確かめましょう。

もう一つ、知っておきたいことがあります。法務省の資料は、持分だけを売って得る代金よりも、不動産の全体を売って持分に応じて受け取る代金の方が、高額になりやすいと書いています。手放す前に、まず「全員で全体を売れないか」を話し合ってみる価値があります。

出典:法務省のサイトに載っている「民法・不動産登記法部会資料27 共有制度の見直し(通常の共有における共有物の管理)」、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」

🔀 共有から抜ける3つの道|全員で売る・分ける・持分を譲る

共有から抜ける道は、大きく3つです。①全員で全体を売って代金を分ける、②共有物を分ける、③持分を譲る。どの道が合うかは、共有者どうしの話し合いの状況で変わります。

共有から抜ける3つの道の図。先に確かめること:相続した実家で遺産分割がまだのときは、まず相続人どうしの遺産分割の話し合いから(まとまらなければ家庭裁判所へ)。道1 全員で全体を売り、代金を分ける:共有者全員の同意が要る。持分だけを売るより全体を売って分ける方が代金が高くなりやすい(法務省の資料)。道2 分ける:まず話し合い、まとまらないときは裁判所に請求できる(5年以内の分けない約束があるときなどを除く)。道3 持分を譲る:ほかの共有者に引き取ってもらうか、ほかの方に売る。持分を売買できるのは持分を持つご本人。同意が要るかなどの当てはめは司法書士・弁護士へ
共有から抜ける3つの道(民法 第256条・第258条・第258条の2・第907条、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」、法務省のサイトに載っている「民法・不動産登記法部会資料27」をもとに当社作成)

なお、法務省の資料は、改正前の民法で、ほかの共有者の持分を取得する方法として、判決による分割・全員の協議(合意)による分割・任意の持分の譲渡を挙げています。

共有から抜ける3つの道

全員で全体を売り、代金を分ける

共有者全員の同意があれば、土地や家の全体を売り、代金を持分に応じて分けられます。持分だけを売るより代金が高くなりやすいので、話し合いができるなら、まず考えたい道です。

分ける(共有物の分割)

民法は「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」と定めています(5年を超えない期間で「分けない」と約束した場合などを除きます)。まずは共有者どうしの話し合いで分け方を決めます。話し合いがまとまらない、または話し合いができないときは、裁判所に分割を請求できます。ただし、相続した実家で遺産分割がまだのときは、この裁判所への分割の請求はできません(下の節)。

持分を譲る

ほかの共有者に持分を引き取ってもらう方法と、ほかの方に売る方法があります。持分の売買ができるのは、持分を持つご本人です。同意が要るかどうかなど、ご自分の場合の当てはめは、司法書士・弁護士に確かめてから進めましょう。

民法 第256条・第258条、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」、法務省のサイトに載っている「民法・不動産登記法部会資料27 共有制度の見直し(通常の共有における共有物の管理)」をもとに当社作成

裁判所に分割を請求したときは、裁判所が、土地そのものを分ける方法や、ある共有者がほかの共有者の持分を取得してお金で調整する方法で分割を命じることがあります。そうした方法で分けられないときや、分けると価値が大きく下がるおそれがあるときは、競売を命じることもできる、と民法は定めています。話し合いがまとまらなければ競売になる、と決まっているわけではありません。

どの道でも、最初の一歩は、共有者どうしの話し合いです。裁判所の手続きを考えるときは、弁護士にご相談ください。

出典:民法 第256条・第258条、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」

🤝 持分を売ったあと、残る共有者との関係はどうなるか

持分を売ったあとも、土地や家は共有のままです。残る共有者は、持分を譲り受けた方と、民法の共有の決まりに沿って使い方を決めていくことになります(当社の読み)。

法務省のサイトに載っている部会の資料は、持分を譲り受けた人を「現共有者」と書いています。民法の共有のおもな決まりは、次のとおりです。

民法の共有のきまり誰が決められるか・何ができるか
共有物を使うことそれぞれが、全部について持分に応じて使える
変更を加えること(形や働きを大きく変えないものは除く)ほかの共有者の同意が必要
管理に関すること持分の価格に従って、その過半数で決める(人数ではありません)
保存行為(何が当たるかは専門家にご確認ください)それぞれの共有者ができる
分けることそれぞれの共有者が、いつでも分割を請求できる(分けない約束がある場合などを除く)
民法 第249条・第251条・第252条・第256条(2026年11月時点の条文)をもとに当社作成

売ったあとの関係がどうなるかの当てはめは、司法書士・弁護士にご相談ください。持分を売る前に、まずほかの共有者に「全体を一緒に売らないか」「持分を引き取ってもらえないか」を相談しておくと、売ったあとの関係がこじれにくくなります。

出典:民法 第249条・第251条・第252条・第256条、法務省のサイトに載っている「民法・不動産登記法部会資料27 共有制度の見直し(通常の共有における共有物の管理)」

🏚 相続した実家の共有は、まず遺産分割の話し合いから

親から相続した実家で、遺産分割(相続人どうしで、誰が何を受け継ぐかを決めること)がまだなら、まず遺産分割の話し合いから始めます。

民法は、共有している物やその持分が相続財産で、相続人どうしで遺産分割をすべきときは、上の「裁判所への分割の請求」はできない、と定めています。遺産分割は相続人どうしの話し合い(協議)で決め、まとまらないとき、または話し合いができないときは、家庭裁判所に請求できます。

兄弟で意見が割れたときの進め方は、実家売却で兄弟の意見が割れたら|相続の決め方3つに、売るまでの全体の順番は、実家の相続売却の流れ|売るまで5つの順番にまとめています。

登記で、いまの名義と持分を確かめておくことも大切です。そろえる書類は、相続登記の必要書類|実家を売る前にそろえるをご覧ください。

また、古い家が建ったままの共有の土地では、「解体してから売るか」も話題になります。当社が提携の司法書士に確かめたところ、建物の解体は、原則として共有している人全員の同意が必要、とのことでした。一部の共有者だけで解体を進める前に、全員で話し合いましょう。

建物を残して売るか、解体して売るかで迷われたら、両方の見通しを並べて比べるのが近道です。解体の見積りと売却の査定を、同時にお出しできます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

出典:民法 第258条の2・第907条

🔎 連絡がつかない共有者がいるときは、裁判所の制度がある

必要な調査をしても、どこにいるのか分からない共有者がいるときは、裁判所の手続きで、その方の持分を取得したり、全体を売ったりする制度があります。ただし、条件がそろったときに使える制度です。

所在等不明共有者(どこにいるか分からない共有者)がいるときの2つの制度

  • その方の持分を、ほかの共有者が取得する(民法 第262条の2)。裁判所が所在等が不明と認めることが必要で、法務省の資料では、時価に当たるお金を供託(法務局などにお金を預けること)をする流れが示されています
  • その方の持分を特定の方へ譲る権限をもらう(民法 第262条の3)。ほかの共有者の全員が、自分の持分の全部を同じ方へ譲ることが条件です
  • どちらも、持分が相続財産で遺産分割をすべきときは、相続が始まってから10年を過ぎないと使えません

気をつけたいのは、2つめの制度は「自分の持分だけを売る」ための制度ではないことです。法務省の資料は、ほかの共有者の一部が持分を譲ることを拒めば、条件がそろわず譲渡できない、としています。反対している共有者がいるときに使う制度でもありません。

申し立てる先は、不動産のある場所を受け持つ地方裁判所です。手続きの流れは、東京地方裁判所の説明が参考になります。ご自分の場合は弁護士・司法書士にご相談ください。

出典:民法 第262条の2・第262条の3、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」

❓ よくあるご質問

Q. 共有者のひとりが実家に住んでいます。住んでいない共有者は何か言えますか

一概には言えません。民法は、それぞれの共有者が、全部について持分に応じて使えるとしたうえで、使っている共有者は、別に取り決めがある場合を除き、ほかの共有者に、自分の持分を超えて使った分の対価を返す義務を負う、と定めています。取り決めの有無や、遺産分割がまだかどうかなどで変わりますので、ご自分の場合は弁護士にご相談ください。

出典:民法 第249条

Q. 持分を買った方は、登記をしないといけませんか

法務省のサイトに載っている部会の資料は、共有者の一人が自分の持分を譲ったとき、登記がなければ、買った方はほかの共有者に対して、持分を取得したことを主張(法律の言葉では「対抗」)できない、とする判例(最高裁 昭和46年6月18日)を紹介しています。なお、同じ資料は、相続による持分の移り変わりには、この判例は及ばないと考えられる、としています。これは、相続した持分の登記が要らないという意味ではありません。登記の手続きや今の扱いは、司法書士にご相談ください。

出典:法務省のサイトに載っている「民法・不動産登記法部会資料3 共有制度の見直し(1)」

📌 この記事のまとめ

  • 共有持分の売買ができるのは、持分を持つご本人です。土地や家の全体を売るには、共有者全員の同意が要ります
  • 持分だけを売るときの同意の要否を言い切った国の説明は、当社が確かめた範囲では見つかっていません。売る前に司法書士・弁護士に確かめましょう
  • 共有から抜ける道は、全員で売る・分ける・持分を譲るの3つ。持分だけより、全体を売って分ける方が代金は高くなりやすいです
  • 相続した実家で遺産分割がまだなら、まず遺産分割の話し合いから。解体も、提携の司法書士に確かめた範囲では、原則として全員の同意が必要です
  • 所在が分からない共有者がいるときは、裁判所の制度があります。ただし条件があり、相続財産なら10年の決まりもあります

共有の土地や家は、家族の思い出と一緒に受け継がれてきた大切な財産です。共有者どうしの関係を守りながら、次のオーナー様へ気持ちよく引き継げるように、分からないことがあればお気軽にご相談ください。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、民法、法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」、法務省のサイトに載っている民法・不動産登記法部会の資料(資料3・資料27)、東京地方裁判所の説明(2026年10月29日・11月5日に確認)に基づく一般的な説明です。持分の売却に同意が要るか、どの道が使えるかなど、ご自分の場合の判断は、司法書士・弁護士にご確認ください。最終更新日:2026-11-06。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

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