こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
ご実家が空き家になったものの、遠くに住んでいて、なかなか様子を見に行けない。そんなご相談を考えている方に向けて書きました。
先にお伝えします。遠方の実家の管理には、「自分で通って見回る」「管理を人に頼む」「管理の手間をなくす準備(売る・解体して売る)を始める」の3つの道があります。どの道でも、国の指針が示す「見るところ」は同じです。
この記事では、次の順にご紹介します。
- ・遠方の実家の管理で見ること(図)
- ・見回りのときに確かめたいところ
- ・自分で通えないときに、頼む道
- ・管理をしないと、どうなるか(法律と福岡市の条例)
- ・管理を続けるか、手放す準備を始めるか
遠くに住んでいると、どうしても足が遠のきます。国の指針も、遠方に住んでいる場合は、管理の意識が薄れやすいと書いています。責める話ではありません。できることから、一緒に整理しましょう。
🔍 遠方の実家の管理は「定期的な見回り」と「災害のあとの確認」が柱です
空き家になった実家の管理は、一定の頻度で見回り、傷みがあれば直すことが柱です。あわせて、地震や大雨のあとには、傷みが出ていないかを確かめます。

国の基本指針は、「空家等の管理は所有者等が行うことが基本である」としています。理由として、空き家は、不具合が見つかりにくいため、傷みが早く進みやすいことを挙げています。そのため、一定の頻度で点検し、破損があれば修繕すること、定期的に通気や換気をすることが必要だとしています。
また、地震、強風、大雨などのあとには、傷みが出ていないかの確認が必要で、強風や大雨の前にも、兆しがないかを確かめておくのが望ましい、とあります。ふだんの管理としては、郵便物などの確認・整理や、冬の給水管の元栓を閉めることも挙がっています。
福岡市の「放置空家対策」のページでは、国土交通省の空き家管理のリーフレットを案内しています。そこには、定期的に行う管理として、通気や換気、排水設備の通水(排水口に水を流すこと)、敷地内の清掃、庭木の枝の剪定、郵便物等の確認・整理が並んでいます。
「何か月に1回」という回数の決まりは、指針にはありません。ご自分の家の傷み方や、季節に合わせて決めていきましょう。
出典:国土交通省・総務省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(令和8年9月3日改正)、福岡市「福岡市の放置空家対策」、国土交通省リーフレット「空き家の所有者・管理者のみなさまへ」
📋 見回りのときに確かめたいところ
見回りでは、建物の傷み・入られた形跡・庭木・においや虫を見ておきます。国の指針が、点検するところの例を具体的に挙げているからです。
指針は、管理の目的を、保安上の危険を防ぐ、衛生上の害を防ぐ、景観の悪化を防ぐ、周りの生活環境への悪い影響を防ぐ、の4つに分けています。その例の中から、見回りで目にとまりやすいものを、確認表にしました。
見回りのときの確認表(国の指針の例から)
指針では、どの項目も「点検するところの例」として書かれています。傷みが見つかったら、修繕などを考えます。
見つけた傷みを直すには、専門の知識が要ることもあります。無理をせず、「見る」と「直す」を分けて考えると、通う日の負担が軽くなります。
出典:国の基本指針 三の2「管理の指針」、国土交通省リーフレット
🚗 自分で通えないときは、管理を人に頼むことも考えられます
遠方で自分では通えないときは、定期的な見回りも含めて、管理を事業者などに頼むことも考えられます。国の指針が、そう書いているからです。
指針は、点検や補修には専門性が要るものもあるため、空き家の管理を行う事業者、点検を行う事業者、補修工事を行う事業者などに委託することが考えられる、としています。さらに、「遠隔地に所在するなど」、やむを得ず所有者が自分で管理できない場合は、定期的な管理も含めて委託することが考えられる、としています。
あわせて、空家法には「空家等管理活用支援法人」という仕組みがあります。市町村長が指定する法人で、委託を受けて、空き家の状態を定期的に確かめるなどの仕事をします。実家のある市町村が指定しているかどうかは、その市町村にお確かめください。
| 道 | 向いている場合 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 自分で通う | 車や電車で通える距離に住んでいる | 回数が減りがち。災害のあとにすぐ行けるか |
| 事業者などに頼む | 遠方で、自分では通えない | 見回り・点検・補修のどれを頼むかを分けて考える |
| 手放す準備を始める | この先も使う予定がない | 売る・解体して売る、の見通しを並べてから決める |
指針の書き方は「考えられる」です。頼むことが決まりになっているわけではありません。ご家族の距離や体力、この先の使い道に合わせて、選んでいきましょう。
出典:国の基本指針 三の2、空家等対策の推進に関する特別措置法 第23条・第24条(2026年10月時点の条文)
⚖️ 管理をしないと、どうなるか(法律と福岡市の条例)
法律は、空き家の適切な管理に「努める」ことを求める努力義務で、管理しないこと自体に罰則はありません。ただし、放っておいて傷みが進むと、市町村から指導や勧告を受けることがあります。
空家法第5条は、所有者や管理者に、周りの生活環境に悪い影響を及ぼさないよう、適切な管理に「努める」ことを求めています。一方、福岡市の条例第3条は、所有者等は、空き家の適切な管理を「行わなければならない」と定めています。ここでいう適切な管理とは、ほかの人の生命・身体・財産に被害を生じさせないよう管理すること、と条例の中で範囲が区切られています。また、条例に罰則の条文はありません。福岡市以外の市町(佐賀県内を含む)は、それぞれの市町の決まりをご確認ください。
空家法第13条では、そのまま放っておけば「特定空家等」になるおそれがある空き家を「管理不全空家等」とし、市町村長が所有者に指導できるとしています。指導のあとも状態が改善されず、おそれが大きいと認めるときは、勧告できます。
勧告を受けると、その敷地は、固定資産税の「住宅用地特例」(人が住むための家の敷地の税負担を軽くする特例)の対象から外れます。指導だけでは外れません。また福岡市の条例では、勧告に正当な理由なく従わないとき、市長が、空き家の所在地や所有者の氏名などを公表できるとしています。
放置したときの流れは空き家を放置するとどうなるに、罰則のうわさについては空き家放置の罰則|罰金100万円は本当?に、くわしくまとめています。
傷みを早めに見つけて直しておくことが、指導や勧告を受けないためのいちばんの備えです。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法 第5条・第13条(2026年10月時点の条文)、福岡市空家等の適切な管理に関する条例 第3条・第6条、国土交通省「空家法とは」
🏠 管理を続けるか、手放す準備を始めるか
この先も実家を使う予定がなければ、管理を続ける負担と、売る・解体して売るの見通しを並べてみるのがおすすめです。管理は、使い道が決まるまでの「つなぎ」でもあるからです。
管理を続けるあいだは、通う手間や、頼む場合の費用、固定資産税がかかり続けます。空き家の固定資産税の考え方は、空き家の固定資産税をご覧ください。
並べてみたいこと
売るまでの流れは、空き家売却の流れにまとめています。
遠方にお住まいの方にとって、売るときに何度も帰省できるかは気になるところだと思います。当社では、鍵をお預かりして、遠方にお住まいでも売却まで進められます。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
見通しが並ぶと、「いつまで管理を続けるか」の目安も、ご家族で話しやすくなります。
❓ よくあるご質問
Q. 冬のあいだ、気をつけることはありますか
国の指針は、ふだん行うことが望ましい管理として、冬の給水管の元栓を閉めることを挙げています。国土交通省のリーフレットにも、冬の場合の管理として載っています。冬に帰るのが難しいときは、その前の見回りで済ませておくと安心です。
Q. 福岡市に、空き家の相談窓口はありますか
福岡市のページによると、福岡市住宅相談コーナーで、司法書士による「空き家相談」が行われています。毎月第2木曜日の午後1時から3時、「相談日前日の午前12時まで」の予約制(先着順)で、費用は無料とあります(電話 092-711-4808)。過去1年以内に相談した方は利用できない、とも書かれています。ただし、このページの更新日は2020年6月10日です。今も同じ内容かは、お電話でお確かめください。ほかの相談先は、空き家・実家の相談はどこへにまとめています。
Q. 実家じまいの全体の順番も知りたいです
片付け・名義・売却などの順番は、実家じまいの手順|7つの順番と3つの期限にまとめています。管理は、その順番が進むまでの間の大切な準備です。
出典:国の基本指針 三の2、国土交通省リーフレット、福岡市「空き家相談」(ページ更新日 2020年6月10日・確認日 2026年10月14日)
📝 この記事のまとめ
- ・遠方の実家の管理には、自分で通う・人に頼む・手放す準備を始める、の3つの道があります
- ・管理の柱は、一定の頻度での見回りと、地震・強風・大雨のあとの確認です。回数の決まりはありません
- ・通えないときは、定期的な管理も含めて、事業者などに頼むことも考えられます(国の指針)
- ・法律は努力義務で罰則はありませんが、傷みが進むと指導・勧告があり、勧告を受けると住宅用地特例が外れます
- ・使う予定がなければ、管理を続ける負担と、売る・解体して売るの見通しを並べてみましょう
遠くにある実家のことは、気になりながらも、後回しになりやすいものです。見るところが分かるだけでも、次に帰るときの段取りが立てやすくなると思います。管理を続けるか、売るか、解体して売るか、迷われたときは、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、空家等対策の推進に関する特別措置法(2026年10月時点の条文)、国の基本指針(令和8年9月3日改正)、福岡市空家等の適切な管理に関する条例、福岡市「福岡市の放置空家対策」「空き家相談」、国土交通省のリーフレット・「空家法とは」に基づく一般的な説明です。個別の空き家が管理不全空家等に当たるか、法律や税の当てはめは、実家のある市町村・弁護士・司法書士・税理士にご確認ください。最終更新日:2026-10-20。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。