こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

相続した土地は3年以内に売ると税金が安くなる、と聞いたことはありませんか。この話の元になっているのは、国税庁の「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(以下、取得費加算)です。どんな人が、いつまでに売れば使えるのかを、国税庁の言葉で確かめます。

結論から申し上げます。相続した土地を一定の期間内に売った場合、払った相続税のうち一定の金額を、その土地の取得費に足すことができます(国税庁 No.3267)。取得費が増えるぶん、税金のかかる利益(譲渡所得)が小さくなります。

  • 使えるのは、その財産を取得した人に相続税がかかっている場合だけです
  • 期限は「相続から3年」ではなく、相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです
  • 足せる額には計算の式があり、この特例を使わずに計算したその土地の譲渡益が上限です
  • 空き家特例(最高3,000万円の控除)とは、同じ家・敷地で重ねて使えません

最後の判断は、税理士か所轄の税務署にお任せください。ここでは、相談の前に知っておくと話が早い仕組みを整理します。

🧮 この特例で変わるのは「取得費」

土地を売ったときの税金は、売った代金そのものではなく、代金から取得費と譲渡費用を差し引いた利益にかかります(国税庁 No.3202)。

中身
収入金額売った代金
− 取得費親御さんなどが買ったときの代金などが基。取得費加算は、ここに相続税の一部を足す特例です
− 譲渡費用仲介手数料や、売るために建物を解体した費用(国税庁の言葉では「取壊し費用」)など
− 特別控除額空き家特例などの要件に当てはまる場合
= 課税譲渡所得金額この額に税率をかけます
出典:国税庁 No.1440・No.3202・No.3267

ここで一つ、混同しやすい点があります。相続した土地の取得費は、相続のときの評価額ではなく、親御さんがその土地を買ったときの代金などを基に計算します(国税庁 No.3270)。取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることもできます(No.3258)。取得費加算は、その取得費に、払った相続税の一部を上乗せする仕組みです。

取得費と譲渡費用の中身は、古家付き土地売却の税金|解体費用は差し引けるかで詳しくまとめています。

✅ 使える人の3つの要件

国税庁は、次の3つを要件に挙げています(No.3267)。

要件国税庁の原文
(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること
(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること
(3)その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
出典:国税庁 No.3267(令和8年4月1日現在法令等)

いちばん大事なのは(2)です。相続税の申告は、取得した財産の価額の合計が基礎控除の範囲内であれば、申告も納税も要りません(国税庁 No.4205)。この場合は「相続税が課税されている」に当たらないため、取得費加算は使えません。まずは、ご自身に相続税がかかったかどうかを確かめるところからです。

🗓️ 期限の数え方:「相続から3年」ではありません

(3)の期限の起点は、相続の日ではなく相続税の申告期限です。相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内です。たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が申告期限になります(No.4205)。

相続から売却・申告までの順番

相続が始まる

亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)が起点になります。

相続税の申告期限

その翌日から10か月以内。この期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限とみなされます。

売る期限

相続税の申告期限の翌日以後、3年を経過する日まで。目安として、相続からおよそ3年10か月です(10か月と3年をつないだ当方の計算で、国税庁の言い方ではありません)。

譲渡所得の確定申告

売った年の翌年の2月16日から3月15日の間(年によって、曜日の関係で終わりの日がずれます)。取得費加算は、この申告で書類を添えて受けます。

出典:国税庁 No.3267・No.4205・No.3102。売る期限の正確な日は、申告期限の日から数えて税務署で確かめてください。

なお、相続から3年以内に売っても、所有期間が短い扱い(短期)になるとは限りません。相続した土地の所有期間は、原則として親御さんなどが取得した時期を引き継いで数えます(No.3270)。売った年の1月1日に、親御さんの取得から数えて5年を超えていれば長期の扱いです。相続の日から5年を数えるわけではありません。

🧾 足せる額の計算

取得費に足せる相続税の額は、次の式で計算します(No.3267)。

取得費に加算する相続税額

= その方の相続税額
× その方の相続税の課税価格の計算の基礎とされた、売った財産の相続税評価額
÷(その方の取得財産の価額 + その方の相続時精算課税適用財産の価額 + その方の純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産の価額)

出典:国税庁 No.3267 の算式。生前に贈与を受けていた場合は、分母に入れる贈与財産の数え方に決まりがあります(同ページの注1・注2)。

言葉が多いので、架空の数字で当てはめてみます(当方の計算です)。その方の相続税額が300万円、売った土地の相続税評価額が2,000万円、その方が相続で取得した財産の価額が6,000万円(贈与はなし)だったとします。

計算
取得費に足せる額300万円 × 2,000万円 ÷ 6,000万円 = 100万円
結果取得費が100万円増え、税金のかかる利益(譲渡所得)がその分だけ小さくなります(譲渡益が100万円以上ある場合)
架空の数字による当方の計算。実際の数字は、相続税の申告の内容によって変わります

ただし、足せる額には上限があります。計算した額が、この特例を使わないで計算した譲渡益(売った金額から取得費と譲渡費用を引いた額)を超える場合は、その譲渡益の額までです。また、売った財産ごとに計算します(No.3267)。利益が出ない売却では、この特例で差し引ける額もありません。

⚠️ 空き家特例とは重ねられません

親御さんが一人で住んでいた家と土地を相続して売る場合は、空き家特例(最高3,000万円の控除)の要件に当てはまることもあります。ただし、空き家特例の要件の一つが「売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと」です(国税庁 No.3306)。国税庁の手引も、空き家特例を受ける場合は取得費加算の特例などを重ねて受けることはできない、としています(『令和7年分 譲渡所得の申告のしかた』p.28)。

同じ家・敷地では、どちらか一方を選ぶことになります。どちらを使うほうがよいかは、相続税の額や売る金額、要件に当てはまるかで人によって変わります。両方の候補がある方は、売る前に専門家に確かめておくと安心です。

👣 お一人でもできること

売る前に確かめておくこと

ご自身が納める相続税額があったか
亡くなった日と、相続税の申告期限の日。そこから売る期限を数える
計算に使う数字(ご自身の相続税額・売る土地の相続税評価額・相続で取得した財産の価額)。相続税の申告を税理士に頼んだ方は、その税理士に尋ねると早く分かります
親御さんが土地を買ったときの売買契約書・領収書(取得費の基になります)
親御さんが一人で住んでいた家なら、空き家特例の候補にもなるか

申告では、「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」と「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」などを添えます(国税庁 No.3267)。

❓ よくあるご質問

Q. 相続税がかからなかった場合も使えますか

使えません。要件の一つが「その財産を取得した人に相続税が課税されていること」です(No.3267)。

Q. 期限を過ぎて売った場合は

この特例の要件(3)に当たらなくなります。期限は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。

Q. 相続税評価額を、そのまま取得費にできますか

できません。取得費は、親御さんなどが買ったときの代金などを基に計算します(No.3270)。取得費加算で足せるのは、評価額ではなく、相続税の額のうち式で計算した部分です。

📝 この記事のまとめ

  • 取得費加算は、払った相続税の一部を、相続した土地の取得費に足せる特例です。税金のかかる利益が小さくなります
  • 使えるのは、その財産を取得した人に相続税がかかっている場合だけです
  • 期限は、相続税の申告期限(通常は亡くなった日の翌日から10か月)の翌日以後3年を経過する日まで。目安はおよそ3年10か月です
  • 足せる額は式で計算し、この特例を使わずに計算した譲渡益が上限です。確定申告で書類を添えて受けます
  • 空き家特例とは同じ家・敷地で重ねられません。どちらを使うかは税理士か税務署へ

相続のあとは、気持ちの整理がつかないまま、手続きの期限だけが近づいてくることがあります。売るかどうかを決める前でも、亡くなった日と相続税の申告期限を書き出して、売る期限を一度数えてみてください。それだけで、急ぐべきか、ゆっくり考えてよいかが見えてきます。土地を次のオーナー様へ引き継ぐ段取りに迷ったときは、いまの状況を伺うところから、一緒に考えます。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と『令和7年分 譲渡所得の申告のしかた』に基づく一般的な説明です。特例が使えるか、どの特例を選ぶかの判断は、税理士か所轄の税務署にご確認ください。当社は税の判断をいたしません。最終更新日:2026-10-06。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

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