こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
長く家族を守ってきた実家を、解体して次の準備をする。そう決めたとき、次に気になるのが「役所に何を出せばいいのか」ではないでしょうか。解体の手続きは、法律がいくつかに分かれていて、出す人も期限も出し先もばらばらです。迷うのは自然なことです。
結論から申し上げます。実家の解体で関わる手続きは、主に次の4つです。
- 石綿(アスベスト)の事前調査と、その結果の説明(一定の建材があれば届出も)
- 建設リサイクル法の届出(解体する部分の床面積の合計が80㎡以上のとき)
- 建築物除却届(除却=建物を取り除くこと。福岡市では床面積10㎡を超える建物のとき)
- 建物滅失登記(建物がなくなったことを登記に反映する、法務局への申請)
このうち、建設リサイクル法の届出と石綿の届出は、解体を頼む人(発注者)、つまり施主が出すことが法律で決まっています。業者に頼む場合でも、何がいつあるのかを知っておくと、段取りで慌てずに済みます。
📋 誰が・いつまでに・どこへ出すか
| 手続き | 誰が | いつまでに | どこへ・どんなとき |
|---|---|---|---|
| 石綿の事前調査と 書面での説明 | 解体業者(施主から直接工事を請け負う元請業者)が調べ、施主に説明 | 原則として工事の開始の日まで | 業者に頼む解体工事はすべて。施主は調査の費用を適正に負担するなどして協力します |
| 石綿の届出 | 施主(発注者) | 石綿に関わる作業を始める日の14日前まで | 吹付け石綿や、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材がある建物。出し先は都道府県知事(指定都市・中核市などは市長) |
| 建設リサイクル法の届出 | 施主(発注者) | 工事に着手する日の7日前まで | 木材・コンクリートなどを用いた建物で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上(条例で別の基準もあり得ます)。出し先は「建設リサイクル法の届出」の項の表 |
| 建築物除却届 | 除却の工事をする人(施工者) | 福岡市では除却工事の開始の前日まで | 福岡市では床面積10㎡を超える建物。市(建築主事)を経由して県知事へ |
| 建物滅失登記 | 登記上の所有者(亡くなっていれば相続人が申請できます) | 滅失の日から1か月以内 | 登記されている建物。建物の所在地を管轄する法務局へ |
表の中で、施主が自分の名前で出すものと、業者の側がすることが混ざっている点に気をつけてください。たとえば除却届は「除却の工事をする人」が出す届で、建設リサイクル法の届出(施主が出す)とは、出す人が違うことがあります(福岡市「建築物除却届について」)。
📏 お手元の数字で分かれ目を確かめる
手続きが要るかどうかは、主に床面積で分かれます。建物の登記の記録や図面で、床面積を先に確かめておくと、話が早く進みます。
| 床面積の合計(解体する部分) | 建設リサイクル法の届出 | 福岡市の除却届 | 石綿の事前調査・説明(業者に頼む場合) | 滅失登記(建物全体を解体したとき) |
|---|---|---|---|---|
| 10㎡以内 | 対象外(国の基準) | 要らない | 要る | 登記されていれば要る |
| 10㎡超〜80㎡未満 | 対象外(国の基準) | 要る | 要る | 登記されていれば要る |
| 80㎡以上 | 要る | 要る | 要る(業者から知事への報告も) | 登記されていれば要る |
80㎡未満の小さな家なら何もいらない、というわけではありません。業者に頼む解体では、石綿の事前調査と書面での説明を、規模にかかわらず業者が行うことが法律で決まっています。一方、業者から知事への調査結果の報告は、建物の解体では床面積の合計が80㎡以上の工事に限られます(大気汚染防止法・同施行規則第16条の11)。
🔍 それぞれの手続きの中身
石綿(アスベスト)の事前調査と説明
解体の前に、施主から直接工事を請け負う業者(元請業者)が、石綿を含む建材が使われているかを、図面などの書面や目視などの方法で調べます。そのうえで、結果などを書いた書面を施主に渡して説明します。説明の期限は、原則として工事の開始の日までです(大気汚染防止法第18条の15・同施行規則第16条の6)。
施主は、調査の費用を適正に負担するなどして、この調査に協力することが求められています(同法第18条の15第2項)。厚生労働省のサイトは、施主に向けて、工事費用に事前調査費が入っているか、業者が石綿の調査を行う資格(建築物石綿含有建材調査者など)を持っているかを確かめ、調査のあとに報告書の提出を求めるよう勧めています。環境省のチラシも、報告を受けたら報告書を大切に保管するよう呼びかけています(「建物所有者の皆様へ」)。
厚生労働省のサイトは、石綿について「2006 年(平成18 年)9 月から製造・輸入・使用などが禁止されていますが、それ以前に着工した建築物等には防火・保温・断熱等の目的で石綿が使用されている可能性があります」としています。目安は建物の完成した年ではなく着工した時期です。古い家なら石綿がある、と言い切れるものではありません。
調べた結果、吹付け石綿や、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材が使われていれば、施主がその作業を始める日の14日前までに届け出ます(同法第18条の17)。届出をしない、またはうその届出をすると、3か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(同法第34条)。
石綿(アスベスト)の調査や届出などの手続きは、サンミライ開発がサポートします。当社に解体工事をご依頼いただく場合は、事前調査と結果のご説明から、届出が要る建物での手続きの段取りまで、一緒に進めます。何を準備すればよいか分からないときも、お気軽にご相談ください。
建設リサイクル法の届出
コンクリートや木材などを用いた建物で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上なら、施主(発注者)が、工事に着手する日の7日前までに届け出ます(建設リサイクル法第10条)。届け出なかったり、うその届出をしたりすると、20万円以下の罰金の対象です(同法第51条)。
この工事では、契約の前に、業者から届出に書く事項について書面で説明を受けます(同法第12条)。国土交通省の質疑応答集(案)は、届出書には元請業者を書くため、契約の前には届出書を出せないとしています(『建設リサイクル法 質疑応答集(案)』Q50・2023年の資料)。順番は「説明を受ける → 契約 → 届出(着工の7日前まで)→ 着工」です。
福岡市の案内では、「工事を始める日」は実際に現場で解体などの工事を始める日(仮設が必要なら、その仮設工事を始める日)で、7日前までの期日には土日祝・休日・年末年始も含むとしています(福岡市「建設リサイクル法の届出の窓口申請について」)。
| 工事をする場所(福岡県内) | 届出先 |
|---|---|
| 福岡市 | 福岡市(住宅都市みどり局 建築物安全推進課)。電子申請もできます |
| 北九州市・大牟田市・久留米市 | それぞれの市役所 |
| そのほかの市町村 | 県の県土整備事務所(例:筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市は那珂県土整備事務所、糸島市・糟屋郡・古賀市は福岡県土整備事務所。一部は支所) |
建築物除却届(福岡市の場合)
福岡市では、床面積が10㎡を超える建物を解体するとき、除却の工事をする人(施工者)が、建築基準法第15条にもとづいて、除却工事の開始の前日までに、市(建築主事)を経由して県知事に届け出ます(手数料は無料)。建設リサイクル法の届出をしていても、この届は別に要ります。同じ敷地で引き続き建て替えるときは、除却届ではなく建築工事届になります(福岡市の案内)。「前日まで」は福岡市の案内による期限です。ほかの市町村の扱いは、それぞれの窓口でご確認ください。
建物滅失登記
建物を解体して滅失したときは、登記上の所有者が、「滅失の日」から1か月以内に、建物の所在地を管轄する法務局へ建物滅失登記を申請します(不動産登記法第57条)。工事のどの時点が「滅失の日」にあたるかは法律に書かれていないため、迷ったら法務局にご確認ください。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります(同法第164条)。10万円は上限で、正当な理由があれば対象になりません。
法務局の記載例では、申請書に、建物を解体した業者(工事請負人)から交付された「建物滅失証明書」を付けます。業者が法人なら、代表者の資格を証する書面と印鑑証明書も含めますが、申請書に会社法人等番号を書けば省略できます(印鑑証明書は、その法人が登記所に印鑑を登録している場合に限ります。法務局「建物滅失登記申請書」記載例)。
建物滅失登記は、登録免許税がかかる登記の一覧(登録免許税法別表第一)に挙がっていないため、登録免許税はかからないと読めます。ただし、書類づくりを土地家屋調査士に頼めば、その報酬は別にかかります。
🗓️ 解体までの段取り
この順番で進めると、期限に追われにくくなります
名義と床面積を確かめる
建物の登記の名義が今だれになっているか、解体する部分の床面積がどれくらいかを確かめます。80㎡と10㎡が、手続きの分かれ目です。
見積もりと説明を受ける
見積もりのときに、石綿の事前調査の費用が入っているか、調査の資格があるかを聞きます。80㎡以上の工事なら、契約の前に、建設リサイクル法の届出に書く事項の説明を書面で受けます。
契約して、石綿の調査の結果を聞く
業者が石綿の事前調査をし、原則として工事の開始の日までに、結果を書面で説明します。報告書は大切に保管します。届出が要る建材があれば、その作業の14日前までに届け出ます。サンミライ開発にご依頼いただく場合は、これらの手続きもサポートします。
家の中の物を片付け、届出をする
家財の片付けは解体の前に済ませます(実家じまいの片付け)。建設リサイクル法の届出は、着工の7日前までです。
解体工事
近隣の皆様にはどうしてもご負担をおかけする工事です。始まる前に、工事の期間や作業の時間を確かめておきます。
建物滅失証明書を受け取り、登記を申請する
工事が終わったら、業者から建物滅失証明書を受け取り、滅失の日から1か月以内に法務局へ申請します。
石綿の届出と除却届が要るかどうかは、建物によって変わります。福岡市以外の窓口や期限は、工事をする市町村でご確認ください。
⚠️ 気をつけたい場面
登記の名義が、亡くなった親御さんのままのとき
登記上の所有者が亡くなっているときは、相続人が建物滅失登記を申請することができます(不動産登記法第30条)。佐賀地方法務局のチェックリスト(建物滅失)は、相続人の1人からの申請が可能としたうえで、所有者が亡くなったことや、申請する人が相続人であることが分かる戸籍などを付けるよう求めています。
なお、登記の手続きができることと、実家を解体してよいかは別の話です。相続人が何人かいるなら、解体することを先に全員で話しておきます(実家じまいでやってはいけないことの②)。
登記されていない古い建物のとき
佐賀地方法務局のチェックリストには、登記されていない建物は滅失の登記を申請できない、と書かれています。ただし、表題部(建物の所在や床面積などを記録した部分)だけが登記されている建物や、未登記の増築部分がある場合にどうなるかは、この資料からは分かりません。解体したあとに何の手続きもいらない、とも言い切れないので、登記の状態を法務局や土地家屋調査士に確かめてください。
👣 お一人でもできること
解体の相談の前に確かめておくこと
全部を一度に済ませなくて大丈夫です。分からないところは、そのまま業者や窓口に聞いてください。
❓ よくあるご質問
Q. 届出は、施主が自分で役所に行かなければいけませんか
届け出る義務があるのは施主(発注者)です。国土交通省の質疑応答集(案)は、届出は代理人が行うこともでき、行政書士は代理を業として行えるとしています(Q46。2023年の資料で、2026年1月施行の行政書士法の改正より前のものです)。代理人が出すときに委任状が要るかは、窓口ごとに扱いが違うので、届出先で確かめます(Q47)。代理で出しても、届出の義務が施主にあることは変わりません。
Q. 滅失登記は、業者がしてくれるものですか
申請するのは登記上の所有者です。業者は、申請に付ける建物滅失証明書を交付する立場です。申請の書類づくりで分からないことは、法務局や土地家屋調査士に相談できます。
Q. 解体の費用は、どれくらいかかりますか
費用は建物の大きさや造り、石綿の有無などで変わるため、この記事では扱いません。福岡での目安の考え方は、福岡の解体費用の相場でまとめています。
📝 この記事のまとめ
- 実家の解体の主な手続きは、石綿の事前調査と説明、建設リサイクル法の届出、除却届、建物滅失登記の4つです
- 建設リサイクル法の届出(着工の7日前まで)と石綿の届出(作業の14日前まで)は、施主が出すものです
- 床面積80㎡以上なら建設リサイクル法の届出、福岡市では10㎡を超えれば除却届が要ります。石綿の事前調査と説明は、業者に頼む解体なら規模にかかわらず業者が行うことが法律で決まっています
- 解体のあとは、登記上の所有者が、滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請します。名義が亡くなった親御さんのままなら、相続人が申請できます
- 見積もりのときに、石綿の調査の費用・資格・報告書のことを聞いておくと、段取りがなめらかになります
実家の解体は、役割を終えた家とのお別れの準備であり、次の暮らしへの準備でもあります。手続きの順番が見えていれば、気持ちの整理に時間を使えます。どこから手をつければよいか分からないときは、いまの状況を伺うところから、一緒に考えます。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、2026年9月時点の法令(建設リサイクル法・大気汚染防止法・建築基準法・不動産登記法・登録免許税法)と、国土交通省・厚生労働省・環境省・法務局・福岡県・福岡市の資料に基づく一般的な説明です。届出の窓口や期限の数え方は市町村によって異なります。登記は法務局・土地家屋調査士に、届出は各窓口にご確認ください。最終更新日:2026-10-02。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。