福岡市南区・横手で、約44.8坪の木造平屋建て住宅を解体した施工事例です。ひと続きに広がる、大きな平屋でした。「解体工事」と聞いて思い浮かぶのは、重機が建物を崩していく場面ではないでしょうか。でも実は、重機が入る前に、人の手で進める長い工程があります。この事例は、そこから始まります。
🔨 はじまりは手作業|「内部解体」という工程

解体工事の最初の山場は、実は建物の内側にあります。壁紙、石膏ボード、床材、天井、断熱材、建具、設備機器。これらを重機でまとめて崩してしまうと、木も石膏も金属も、ぜんぶ一緒くたになります。そして、混ざってしまったものは、もう分けられません。だから先に人の手で外して、種類ごとに仕分けていくのです。
この工程には「分別解体」という名前があり、一定規模以上の解体工事では法律にもとづいて行うことが決まっています。ただ、決まりだからやっている、というのとは少し違います。分けたものは資源として次に回り、混ぜたものはただの廃材になる。この差のほうが、私たちには大きいのです。

天井を外した瞬間は、何度立ち会っても特別です。平屋は、天井のすぐ上が屋根です。だからここを外すと、屋根を支える小屋組み、梁の掛け方、大工さんが刻んだ跡が、いちどきに姿を見せます。建てた人の手つきがそのまま残っている場所は、解体のときにだけ顔を出します。この現場では、竹を編んだ化粧天井や、造作でつくられた棚やカウンターも見つかりました。住まわれた方が選び、職人が形にしたものです。触れながら作業していると、この家がどれだけ大事にされてきたかが伝わってきます。

外した内装材は、その場でフレコンバッグや専用の袋に分けて詰めていきます。木材はチップにしてボードや燃料の材料へ、石膏ボードは石膏として再生利用へ、金属類は溶かして再び金属材料へ、コンクリートがらは砕いて再生砕石へ。手間はかかりますが、ここをていねいにやるかどうかで、同じ材料の行き先が変わります。
🚜 養生の中で、屋根から順に

内部解体と足場・養生の設置を終えて、ようやく重機の出番です。ここで大事なのは、囲い込みを保ったまま進めること。粉じんも音も、養生の外へ出さないためです。一気に崩さず、周辺への影響を確かめながら、屋根まわりから少しずつ。重機で取り壊した木材やガラス、金属も、その場でおおまかに種類ごとに分けていきます。

🧱 建物がなくなってからが、長い

建物が見えなくなっても、工事はまだ半ばです。地面の下には、建物を支えていた基礎のコンクリートが残っています。これを重機で砕きながら掘り出していく。地上の解体より地道な工程ですが、次にこの土地を使う方のために欠かせません。掘り進めると、長いあいだ日の光を浴びていなかった土が、ふたたび顔を出します。

基礎を取りきったら、重機で地面をならす整地の工程です。凸凹していた地面が少しずつ平らになり、建物の輪郭が消えて、土地としての姿が現れてきます。
✨ After|擁壁沿いから道路側まで、すみずみをならして

内部解体から重機による外部解体、基礎の撤去、そして整地まで。一つずつ工程を重ねてきたこの現場も、無事に完了を迎えました。擁壁沿いから見ても、道路側から見ても、すみずみまできれいにならされています。周辺の住宅街に馴染むよう、最後まで丁寧に仕上げました。

📷 完工の日に、四方から写真を残す理由

完工の日、私たちは敷地を四方からぐるりと撮影します。工事の前後でどう変わったかを記録として残すためであり、万が一の際に、施主様とご近所の双方を守るためでもあります。
解体工事で起きやすい心配ごとのひとつが、「この傷は工事でついたのか、もともとあったのか」という食い違いです。人の記憶はあいまいですし、悪気がなくても行き違いは起こります。だから記憶ではなく、記録で残しておく。ここで残した写真は、土地を売るときにも、新しく建てるときにも、そのまま次の担当者へ引き継げる材料になります。
重機が動く場面は、たしかに解体工事のいちばん目立つ瞬間です。でも工事の質は、その前の、誰も見ていない手作業でほとんど決まっていると私は思っています。役割を終えた建物に感謝しながら、次の誰かをお迎えする場所へとバトンをつなぐことができました😊
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