福岡市南区和田で、自然石の石垣の上に建つ木造2階建て住宅を解体した施工事例です。前面道路より一段高い敷地。だからこそ、建物がなくなったあとの傾斜の整え方にも気をつかいました。あわせて、意外と知られていない「更地の仕上げには段階がある」というお話も、この記事でご紹介します。
🏠 Before|石垣と庭木に見守られた、高台のお住まい

道路から見上げると、高低差のある敷地に堂々と構える姿がとても印象的で、長いあいだ大切に住まわれてきたことが伝わってきます。正面にまわると、手入れの行き届いた庭木と自然石の石垣が出迎えてくれました。中でも目を引くのが、玄関先の立派な黒松。枝ぶりの一本一本に、これまでのお手入れの積み重ねが感じられます。

玄関へは外階段を上がっていく造りで、1階部分には車を納められるビルトインガレージが組み込まれています。高台ならではの工夫が詰まったお住まいでした。役割を終えたこのお住まいを、感謝の気持ちを込めてお預かりします。
🤝 着工前|一軒ずつご挨拶してから、始めます

解体工事では、どうしても音やほこり、車の出入りなどでご近所の皆様にご負担をおかけします。だからこそ着工の前に一軒ずつお伺いし、工事の内容と期間の見通しをお話ししてから始めることにしています。長く住まいが寄り添って建つエリアだからこそ、工事中もお気付きの点をすぐにお声がけいただける、顔の見えるお付き合いを何より大切にしたいと考えています。
今回の現場は高低差のある敷地で、道路との間には石垣と外階段があります。だからこそ、重機や車両の動きはいつも以上に慎重に。メッシュ養生シートでしっかりと囲い、こまめな散水で粉じんを抑え、道路まわりの清掃も欠かしません。
🔨 解体|瓦は、職人が手作業で降ろすところから
工事はまず、屋根の瓦を職人が手作業で降ろすところから始まりました。なぜ手作業なのか——それは、瓦を他の建材と分けて運び出すためです。最初に人の手でていねいに降ろしておくことで、種類ごとの分別がしやすくなり、まわりへの粉じんも抑えられます。ひと手間かかりますが、大切にしている工程です。

瓦を降ろし終えたあとは、重機による建物本体の解体へ。2階の屋根や外壁が外れると、中からは在来工法ならではの木造軸組があらわになりました。柱や梁の一本一本に、このお住まいが重ねてきた年月が刻まれているようです。

重機を使う場面でも、一気に進めるのではなく、周りの状況を確かめながら少しずつ。石垣と庭木に見守られてきたこの場所を、次にこの土地に関わる方へ気持ちよく受け取っていただけるように整えていく——それが私たちの解体だと考えています。工事で出た木材・瓦・コンクリートがらは種類ごとに分けて運び出し、再資源化へつないでいます。
⛰️ 高低差のある敷地だからこそ|建物がなくなってからが、気のつかいどころ

この敷地の特徴は、前面道路より一段高いこと。建物がなくなると、その高低差がはっきりと姿を見せます。ここでいちばん気をつかったのが、土がむき出しになる部分でした。雨で崩れたり、道路へ流れ出したりしないよう、傾斜のつけ方を確かめながら整えています。
🤔 意外と知られていない話|「更地」の仕上げには、段階があります

「更地」と一言で言っても、実は仕上げ方が一つではありません。
- 砕石を敷いて締め固める仕上げ:地面がしっかりして、車を停めたり資材を置いたりしやすくなります
- 土のまま整える仕上げ:そのあと建物を建てる予定なら、こちらで十分なことも多くあります
どこまで仕上げるかは、土地の次の予定に合わせて決めるもの——ここは意外と知られていないところかもしれません。今回は土のままの状態でお引き渡しし、敷地の外周にはロープと杭を立てて、通行される方が誤って立ち入らないようにしています。
工事が終わったあとの敷地に立つと、家があったころの気配がまだ残っています。土地は、住まいの記憶を土の下にしまって、次の役割を待っている——解体を終えた現場では、いつもそんなことを思います😊
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