こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

相続した事務所ビルや、店舗の入った建物を、建て替えや売却のために解体したい。木造の家の解体と同じように頼めばよいのだろうか。そう思って調べている方もいらっしゃると思います。

先にお伝えします。ビルや店舗の解体でも、石綿(アスベスト)の事前調査は、木造の家と同じように要ります。建設リサイクル法の届出も、解体する部分の床面積が80㎡以上なら同じです。そのうえで、業務用のエアコンや冷凍冷蔵の機器のフロン類と、事業者が保管するPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の期限という、木造の住まいではふつう出てこない決まりが加わります。

事業に使ってきた建物には、業務用の機器や、事業者として保管しているものがあるためです。この記事では、施主(工事を頼む建物の持ち主)が確かめることを、次の順に整理します。

  • ビルの解体は、木造の家と何が違うか
  • 業務用エアコン・冷凍冷蔵機器のフロン類の確認と書面
  • フロン類の回収の頼み方と、引取証明書
  • 事業者が保管するPCB廃棄物の期限
  • 石綿の事前調査と、建設リサイクル法の届出

ご自分の建物に当てはめながら読み進めてみてください。

🏢 ビルの解体は、木造の家と何が違う?

違いは、業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器のフロン類と、事業者が保管するPCB廃棄物の2つです。石綿の事前調査と建設リサイクル法の届出(80㎡以上の解体)は、建物の種類にかかわらず同じように確かめます。

フロン類の決まり(フロン排出抑制法)が対象にしているのは、業務用のエアコンと冷蔵・冷凍の機器(冷蔵・冷凍の自動販売機を含む)で、家庭用のルームエアコンや冷蔵庫は対象の外です。ただし、これは機器の話です。家の解体なら確認が要らない、というわけではありません(確認から外れるのは、機器が設置されていないことが明らかなものだけです)。PCBの期限の決まりも、事業活動に伴って保管している事業者に向けたものです。

確かめること誰がするかビル・店舗で気をつけること
① 業務用の機器のフロン類の確認と書面解体を直接請け負おうとする元請業者(工事を頼む機器の管理者は、確認に協力・書面を保存)機器がなかったときも、書面で説明を受けます
② フロン類の回収と引取証明書機器の管理者が自ら頼むか、解体業者などに委託引取証明書の写しがないと、機器は引き渡せません
③ PCB廃棄物の期限PCB廃棄物を保管している事業者高濃度のものを除くPCB廃棄物は、令和9年3月31日まで
④ 石綿の事前調査と、建設リサイクル法の届出事前調査は元請業者。届出は発注者(施主)木造の家と同じ。届出は解体する部分の床面積が80㎡以上のとき
フロン排出抑制法・PCB特別措置法と施行令・建設リサイクル法、環境省・経済産業省の資料、福岡市のページをもとに当社作成

なお、管理者は機器の所有者など、機器の使い方を管理する責任のある人です。テナントが持ち込んだ機器があるときは、誰の機器かを業者といっしょに確かめておきましょう。事務所や店舗で使っていた機器でも、メーカーが家庭用として売っているものは対象になりません。業務用かどうかは機器のステッカーで確かめ、分からなければメーカーに問い合わせるよう、国の資料は案内しています。

まずは、建物に業務用のエアコンや冷凍冷蔵の機器があるか、事業で保管しているPCBのものがあるかを思い出しておきましょう。

出典:フロン排出抑制法 第2条第3項、環境省・経済産業省「フロン排出抑制法の概要【建物解体業者及び廃棄物・リサイクル業者編】」(p.5)、PCB特別措置法 第2条第5項・第14条

❄️ 業務用エアコン・冷凍冷蔵機器のフロン類|元請業者が確かめて書面で説明します

ビルや店舗の解体を頼むときは、解体を直接請け負おうとする元請業者が、業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器があるかを確かめ、その結果を書面で施主に説明します。工事を頼む施主(機器の管理者)は確認に協力し、受け取った書面を保存します。

ビルの解体で、業務用エアコン・冷凍冷蔵機器のフロン類がどう進むかの図。1 解体を直接請け負おうとする元請業者が、業務用の機器があるかを確かめ、施主は確認に協力する。家庭用のルームエアコン・冷蔵庫は対象の外。2 結果を書面で説明する。機器がなかったときも書面で説明し、施主は書面を保存する(国の資料では3年)。3 機器があれば、施主が自らフロン類の回収の業者に頼むか、解体業者などに引き渡しを委託する。4 回収の業者からの引取証明書を、施主が確かめて保存する。どちらの道でも、引取証明書の写しがないと解体業者は機器を引き渡せない
ビルの解体と、業務用エアコンのフロン類(フロン排出抑制法と、環境省・経済産業省の資料をもとに当社作成)

フロン排出抑制法が、元請業者に確認と書面での説明を、工事を頼む側(機器の管理者)に確認への協力と書面の保存を求めているためです。保存の期間を、国の資料は「3年間」としています。発注者は原本を、元請業者は写しを、それぞれ保存します。

この確認から外れるのは、機器が設置されていないことが明らかなものだけです。国の資料は、その例として東屋や鉄塔・煙突・橋などを挙げています。建物に機器がなかったときも、「機器がなかった」という結果を書面に書いて、発注者に説明するとされています。

説明の書面で見ておきたいこと(国の資料の記入事項の例)

解体工事の名称と場所
業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器が「あり」か「なし」か
「あり」のときは、空調か冷凍冷蔵かの種別ごとの台数
「なし」のときは、その理由

様式は決まっていません。記入事項がそろっていればよいとされています(環境省・経済産業省の資料 p.10)

見積りや打ち合わせの段階で、「業務用のエアコンや冷凍冷蔵の機器の確認の書面は、いつもらえますか」と聞いておきましょう。受け取った書面は、工事の契約書類といっしょに保管しておくと安心です。

出典:フロン排出抑制法 第2条第8項・第42条、環境省・経済産業省の資料(p.8〜p.12)

🧾 フロン類の回収は2つの道|どちらでも引取証明書が要ります

機器があるときは、フロン類の回収を、機器の管理者(ふつうは施主)が自ら専門の業者(第一種フロン類充塡回収業者)に頼むか、解体業者などに委託します。どちらの道でも、回収の業者が出す「引取証明書」が要ります。

フロン排出抑制法が、機器を手放す管理者に、フロン類を回収の業者に引き渡すか、引き渡しを設備業者や解体業者などに委託することを求めているためです。管理者は、届いた引取証明書で回収が終わったことを確かめて保存します。

フロン類の回収の2つの道

① 施主が自ら頼む

施主(または施主から頼まれた人)が、フロン類の回収の業者に回収を頼みます。施主から回収依頼書を渡します。

② 解体業者などに委託する

施主が、フロン類の引き渡しを解体業者などに委託します。施主から委託確認書を渡します。

どちらでも

回収の業者からの引取証明書が、施主の手元に届きます。国の資料は、解体業者が工事の発注者から引取証明書の写しをもらうよう求めています。

フロン排出抑制法 第43条・第45条、環境省・経済産業省の資料(p.6・p.13・p.14)をもとに当社作成

国の資料は、引取証明書などで回収が済んだことを確かめられない機器は引き渡せない、としています。

どちらの道にするかを、解体の見積りの段階で業者と決めておきましょう。引取証明書は、受け取ったら保存しておきます。

出典:フロン排出抑制法 第43条・第45条・第45条の2、環境省・経済産業省の資料(p.6・p.8・p.13・p.14)

⚡ PCB廃棄物の期限|高濃度のものを除くPCB廃棄物は令和9年3月31日まで

事業活動に伴ってPCB廃棄物を保管している事業者は、高濃度のものを除くPCB廃棄物について、令和9年3月31日までに、自ら処理するか、処理を委託することが求められています。

PCB特別措置法が、保管事業者(その事業活動に伴ってPCB廃棄物を保管する事業者)に、政令で定める期間内の処理を求め、施行令がその期間を「令和九年三月三十一日まで」としているためです。高濃度のPCB廃棄物は、これとは別の期間が定められています。

この決まりは事業者に向けたものです。ビルを解体するときに、その事業の中で保管しているものがあれば、解体の段取りとは別に、期限の中で処理を進める必要があります。どの機器や部品がPCBを含むかは、この記事では挙げません。

保管しているものに思い当たることがあれば、解体の見積りの前に業者に伝えて、扱いを相談しておきましょう。

出典:PCB特別措置法 第2条・第10条・第14条、同施行令 第7条

🔍 石綿の事前調査と、建設リサイクル法の届出は木造と同じ決まりで確かめます

石綿の事前調査と建設リサイクル法の届出は、ビルでも木造の家と同じ決まりです。事前調査は元請業者が行い、届出(80㎡以上の解体)は施主が行います。

福岡市のページは、解体工事などを行う場合は石綿の事前調査が必要で、元請業者は結果を書面で発注者に説明することが義務付けられている、としています。建物の解体で、解体する部分の床面積が80㎡以上のときは、元請業者が事前調査の結果を行政へ報告します(報告先は法律の文言では都道府県知事で、福岡市内では福岡市長)。施主が確かめることは、解体のアスベスト事前調査|施主が確かめる5つにまとめました。

建設リサイクル法では、コンクリートや木材などを使った建物で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の解体は「対象建設工事」になります。発注者は、工事に着手する日の7日前までに届け出ます。届出先は、法律の文言では都道府県知事ですが、建築主事を置く市町村の区域では、市町村長が受け付けるものがあります。都道府県が条例で別の基準を定めることもできます。工事を直接請け負おうとする業者は、届け出る事項を、書面で施主に説明します。手続きの順番は、実家の解体の手続き|届出・石綿・滅失登記の順番でも整理しています。

店舗の内装だけを解体して、建物は残す場合は、スケルトン解体とは|内装解体との違いと届出もあわせてご覧ください。

ビルや店舗の解体では、フロン類とPCBの話に、石綿と届出の書面が重なります。見積りの段階から業者といっしょに確かめていきましょう。解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。

出典:福岡市「自宅や所有物件のリフォーム・解体工事を行うときは」、建設リサイクル法 第9条・第10条・第12条、同施行令 第1条・第2条・第9条

❓ よくあるご質問

Q. フロン類を回収したあとの機器しかないときも、確認の書面は要りますか

はい、要ります。国の資料によると、2020年3月までは、回収済みの機器しかない建物は「設置されていないことが明らか」として確認が不要とされていました。2020年4月からは、回収済みの機器しかない場合も、事前の確認が必要になりました。

Q. 騒音や振動の届出は、施主が出すのですか

届出が要る場合、福岡市では、施主ではなく元請業者が出します。くい打機や一定の大きさのバックホウ、ブレーカー(手持式を除く)などを使う作業(その日に終わるものを除く)は「特定建設作業」とされ、法律は指定地域の中で行うときに届出を求めています。福岡市は、届出義務者を工事を統括管理する元請業者とし、作業開始の7日前までの届出を求めています。工事が当たるかは、場所(指定地域かどうか)、使う機械の種類や大きさ、日数で変わります。市は、作業の前に周辺の住民へ工法や日程を説明するようにも呼びかけています。

出典:環境省・経済産業省の資料(p.9)、福岡市「特定建設作業の届出について」(2023年12月1日更新)

📝 この記事のまとめ

  • ビルや店舗の解体では、業務用エアコン・冷凍冷蔵機器のフロン類と、事業者が保管するPCB廃棄物の期限が加わります
  • フロン類は、元請業者が機器の有無を確かめて書面で説明します。機器がなくても書面があり、施主が保存します(国の資料では3年)
  • 機器があれば、回収は施主が自ら頼むか、解体業者などに委託します。どちらでも引取証明書が要ります
  • 高濃度のものを除くPCB廃棄物の期限は、令和9年3月31日です(保管している事業者の義務)
  • 石綿の事前調査は木造の家と同じく要ります。建設リサイクル法の届出も、解体する部分が80㎡以上なら同じです

見積りのときに業者に聞いておきたい3つ

業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の確認の書面は、いつもらえるか
フロン類の回収は、自分で頼むか、解体業者などに委託するか
建設リサイクル法の届出と、石綿の事前調査の結果の説明は、誰がいつ行うか

事務所や店舗として長く働いてきた建物には、そこで使われてきた機器や、事業の記録が残っています。ひとつずつ書面で確かめていくことが、建物とのお別れを落ち着いて進める近道です。書面のそろえ方や段取りで分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、フロン排出抑制法、環境省・経済産業省の資料、PCB特別措置法と施行令、建設リサイクル法と施行令、福岡市のページに基づく一般的な説明です。ご自分の建物の機器や保管しているものの扱いは、元請業者や、機器のメーカー、県・市の窓口にご確認ください。最終更新日:2026-10-30。

解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。

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