こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
お店や事務所の退去、改装の前に「スケルトン解体」という言葉を耳にして、内装解体と何が違うのか、届出は要るのか、と迷われていませんか。この記事は、そうした方に向けて書きました。
先にお伝えします。建設リサイクル法の届出の扱いを分けるのは、「スケルトン解体」「内装解体」という呼び名ではありません。国の質疑応答集(案)では、柱・壁・はりなど、建物を支える部分に手を入れるかどうかで分けています。
一方、石綿(アスベスト)の事前調査は、内装の撤去でも行われます。この記事では、次のことを順にご紹介します。
- 手続きが分かれる「建物を支える部分」とは何か(図)
- 内装解体とスケルトン解体の違いを、見積書で確かめる方法
- 建設リサイクル法の届出が要る工事の規模
- 内装の撤去でも行う、石綿の事前調査
- 借りた店舗・事務所を返すときの、原状回復の決まり
退去や改装の期日に間に合わせるために、頼む前に確かめておきたいことをまとめました。
🏛️ 届出の扱いを分けるのは、呼び名より「建物の骨組みに手を入れるか」です
国の質疑応答集(案)では、スケルトン解体でも内装解体でも、建設リサイクル法での扱いを、建物を支える部分(構造耐力上主要な部分)を解体するかどうかで分けています。

建設リサイクル法は、建物の全部または一部を解体する工事を「解体工事」、それ以外の工事を「新築工事等」と分けています。国土交通省の「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」は、建物の解体工事を、構造耐力上主要な部分の全部または一部を解体する工事だとしています。そして、一部を解体する工事でも、その部分の解体を行わない工事は「修繕・模様替等工事」(直したり、内装を変えたりする工事)として扱う、としています。
構造耐力上主要な部分とは、同じ質疑応答集に引かれた建築基準法施行令の定義では、基礎・壁・柱・土台・床版・屋根版・はりなどのうち、建物の重さや地震などを支えるものです。
たとえば、天井や床の仕上げだけを取り除く工事と、柱や建物を支える壁まで取り除く工事とでは、同じ「解体」と呼ばれても、法律の上では扱いが違うことがあります。
なお、「スケルトン解体」「内装解体」という言葉を定めた条文は、当社が確かめた法令の中には見当たりませんでした。質疑応答集も「(案)」とある国の資料で、法令そのものではありません。ご自分の工事がどちらに当たるかは、工事の中身しだいです。迷うときは、届出先の県や市の窓口にお確かめください。
出典:建設リサイクル法 第2条第3項(e-Gov 法令検索)、国土交通省「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」Q11・Q24
📋 スケルトン解体と内装解体の違いは、見積書の「範囲」で確かめましょう
内装解体とスケルトン解体の違いは、言葉で決めずに、見積書に書かれた「どこまで取り除くか」で確かめるのがおすすめです。
呼び名を定めた条文は、当社が確かめた法令には見当たらず、同じ言葉でも、指す範囲が会社によって同じとは限らないからです。そして前の見出しのとおり、建物を支える部分に手を入れるかどうかで、届出の考え方が変わります。
同じ質疑応答集は、改修の工事でも、建物を支える壁や柱などを解体する工事を伴うなら「解体工事」になり、解体工事業者の登録が要る、としています。登録が要るのは、建設業の許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)を受けていない業者です。建設業法では、1件500万円未満の軽微な工事だけを請け負う業者は、建設業の許可が要りません。ただし、解体工事業者の登録には、金額で外れる決まりは見当たりません。許可か登録のどちらかを持っているかを、見ておきましょう。
見積りのときに、確かめておきたいこと
建設業の許可は、土木工事業・建築工事業・解体工事業のどれかを受けていれば、解体工事業者の登録は要りません。どちらが優れているかは、法律には書かれていません。
見積書の範囲が分かれば、届出や石綿の調査の話も、具体的に進められます。
出典:国土交通省「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」Q12、建設リサイクル法 第21条第1項(e-Gov 法令検索)、建設業法 第3条第1項(e-Gov 法令検索)・同施行令 第1条の2、福岡市「自宅や所有物件のリフォーム・解体工事を行うときは」
📝 建設リサイクル法の届出:解体工事は80㎡、修繕・模様替等は1億円が目安です
建設リサイクル法の届出が要るのは、建物を支える部分を解体する「解体工事」なら、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の工事です。支える部分に手を入れない修繕・模様替等なら、請負代金1億円以上の工事が対象です。
届出の対象になる工事の規模は、建設リサイクル法の施行令が「解体工事は80㎡、新築工事等(修繕・模様替などを含む)は1億円」と定めています。どちらの工事に当たるかの考え方は、前の見出しのとおり国の質疑応答集(案)によります。対象になるのは、コンクリートや木材などの決められた資材を使った建物の工事です。県が条例で別の基準を定めることもできるので、工事の場所の県の決まりもあわせて見ておきましょう。
| 支える部分を解体する(解体工事) | 支える部分に手を入れない(修繕・模様替等) | |
|---|---|---|
| 届出の対象になる規模 | 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上 | 請負代金が1億円以上 |
| 届け出る人 | 工事を頼む方(発注者)。業者に頼まず自分で工事をするときは、その方 | 同じ |
| 期限 | 工事に着手する日の7日前まで | 同じ |
たとえば、国の質疑応答集(案)では、柱や壁など床面積を測れない部分だけを解体するときは、床面積をゼロとしてもよい(80㎡の数え方に入れなくてよい)、としています。また、同じ業者が工事を2つ以上の契約に分けて請け負っても、正当な理由がなければ、1つの契約とみなして規模を数えます。
届出先は、法律の上では都道府県知事ですが、建築主事を置く市の区域では、市が届出を受け付けます(例外もあります)。工事の場所の届出先は、工事を頼む業者か、県・市の窓口でお確かめください。
「内装の解体だから届出は要らない」と決めつけず、工事の範囲と規模を業者と話し合ってから判断しましょう。家一軒を解体するときの届出の順番は、実家の解体の手続き|届出・石綿・滅失登記の順番でもご紹介しています。内装の解体のご相談やお見積りについては、内装解体のページもあわせてご覧ください。
出典:建設リサイクル法 第9条・第10条第1項(e-Gov 法令検索)、同施行令 第2条・第9条(e-Gov 法令検索)、国土交通省「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」Q24
⚠️ 内装の撤去でも、石綿(アスベスト)の事前調査は行われます
内装だけの撤去でも、石綿の事前調査は行われます。調べるのは工事を直接請け負う業者(元請業者)で、工事を頼む方は、結果の説明を書面で受けます。
大気汚染防止法では、建物を解体する工事だけでなく、改造・補修の工事でも、元請業者が石綿を含む建材が使われているかを調べることになっているためです。福岡市のページも、建材を傷つける作業を含む工事なら、小さな工事でも事前調査が必要だと案内しています。
調べ方は、設計図などの書面と、目で見て確かめる方法が基本です。着工した日が平成18年(2006年)9月1日以後だと書面で分かる建物は、書面で着工日を確かめるだけでよいとされています(その建物だけの工事の場合)。
また、一定の規模以上の工事では、元請業者が調査の結果を市に報告します。建物を解体する工事なら床面積の合計80㎡以上、改造・補修の工事なら請負代金100万円以上で、石綿があるかないかに関係なく報告します。内装の撤去がどちらの基準になるかは、工事を請け負う業者にお確かめください。
工事を頼む方が、確かめておきたいこと(福岡市の発注者向けのページより)
福岡市のページの「ポイント」から抜き出したものです。費用の負担や資料の提供で調査に協力することは、工事を頼む方の役目とされています。
内装の工事を頼むときは、石綿の調査の進め方と結果の説明の時期を、見積りの段階で聞いておきましょう。石綿の工事については、アスベストの解体のページでもご紹介しています。
出典:大気汚染防止法 第18条の15(e-Gov 法令検索)、大気汚染防止法施行規則 第16条の5・第16条の11(e-Gov 法令検索)、福岡市「自宅や所有物件のリフォーム・解体工事を行うときは」
🏪 借りた店舗・事務所を返すとき:民法の決まりと、契約書の書き方を見ておきましょう
借りた店舗や事務所を返すときにどこまで元に戻すかは、民法の決まりに加えて、賃貸借の契約書に何と書かれているかを見る必要があります。スケルトンの状態に戻す必要があるかは、民法の条文だけでは決まりません。
民法621条は、借りた方は、借りたあとに生じた損傷を、賃貸借が終わったときに元に戻す義務を負う、と定めています。ただし、通常の使い方で生じた傷みや、年月による変化は、ここでいう損傷から除かれています。借りた方の責任によらない損傷も除かれます。
敷金について、民法622条の2は、賃貸借が終わって物件を返したときに、借りた方が負う支払いの額を差し引いた残りを返す、と定めています。
たとえば、退去の期日が決まったら、まず契約書の「返すときの状態」の書き方を読み、どこまで取り除くかを貸主と話し合っておくと、工事の範囲を決めやすくなります。契約の読み方で迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
退去・改装の期日から逆算した、準備の順番
契約書の「返すときの状態」を見る
借りた店舗・事務所なら、どこまで元に戻すかの書き方を、まず読んでおきます。
見積りで、範囲・許可か登録・石綿の調査の費用を聞く
建物を支える部分に手を入れるか、業者が許可か登録を持っているか、事前調査の費用が入っているかを聞いておきます。
届出が要る工事なら、着手の7日前までに届け出る
建設リサイクル法の届出は、工事を頼む方が、工事に着手する日の7日前までに出します。
工事の開始の日までに、石綿の調査の結果の説明を書面で受ける
説明は、原則として工事の開始の日までに行うこととされています。受け取った資料は保管しておきましょう。
建設リサイクル法・同施行令、大気汚染防止法・同施行規則、民法をもとに当社作成。工事の日数は含めていません。
期日から逆算して、この順番で準備を進めましょう。
出典:民法 第621条・第622条の2(e-Gov 法令検索)
❓ よくあるご質問
Q. スケルトン解体の費用は、いくらくらいですか
この記事では、金額はお示ししていません。どこまで取り除くか、建物の作りや広さによって、事情が違うためです。費用は、お見積りでご確認ください。
Q. 2006年より後に建てた建物なら、石綿の調査はいりませんか
いりません、とは言えません。着工した日が2006年(平成18年)9月1日以後だと書面で分かる建物は、書面で着工日を確かめるだけでよいとされています。ただ、その確認も事前調査の一部です。基準は完成した年ではなく、着工した日です。
Q. 普通に使って古くなった分まで、退去のときに直さないといけませんか
民法621条では、通常の使い方で生じた傷みと、年月による変化は、元に戻す損傷から除かれています。ただし、契約書に別の定めがあるときの扱いは、この条文だけでは言えません。契約書を読み、迷うときは専門家にご相談ください。
出典:大気汚染防止法施行規則 第16条の5(e-Gov 法令検索)、民法 第621条(e-Gov 法令検索)
📝 この記事のまとめ
- 国の質疑応答集(案)では、建設リサイクル法の扱いを、呼び名ではなく、柱・壁・はりなど建物を支える部分に手を入れるかで分けています
- どこまで取り除くかは、言葉で決めずに見積書の範囲で確かめましょう
- 建設リサイクル法の届出は、解体工事なら床面積80㎡以上、修繕・模様替等なら請負代金1億円以上が対象です。届け出るのは工事を頼む方で、着手の7日前までです
- 内装の撤去でも、元請業者が石綿の事前調査を行い、結果を書面で説明します
- 借りた店舗・事務所をどこまで戻すかは、民法の決まりに加えて、契約書の書き方を見ておきましょう。退去の期日から逆算して準備しましょう
長く商いや仕事を支えてくれたお店や事務所を返すときは、次の方へ引き継ぐ準備でもあります。工事の範囲と手続きを先にそろえておけば、期日に向けて落ち着いて進められます。解体の手続きで分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、建設リサイクル法・同施行令、国土交通省「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」、大気汚染防止法・同施行規則、福岡市のページ、民法に基づく一般的な説明です。個々の工事が届出の対象になるかは、届出先の県・市の窓口にご確認ください。賃貸借の契約の解釈は、弁護士などの専門家にご相談ください。最終更新日:2026-10-23。
解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。