こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

「実家を解体したいけれど、費用は誰が払うのだろう」
「兄弟で分けるとしたら、どう決めればいいのか」
そんなご相談をいただくことがあります。

先にお伝えします。実家の解体費用を誰がどう出すかは、まず相続人どうしで話し合って決めるのが出発点です。

相続人が何人かいるとき、実家は相続人みんなの共有になります。解体するかどうかも、費用の出し方も、共有している相続人どうしの話になります。費用に関わる条文はあっても、解体費用がそれに当たるかまでは書かれていません。

この記事では、次のことを順にご紹介します。

  • 解体費用を負担するのは誰か
  • 兄弟で分けるときに知っておきたい2つの条文
  • 名義が親や祖父のままでも、解体は進められること
  • 手元にお金がないときの3つの道

読み終えるころには、ご兄弟で何から話せばよいかが見えてくるはずです。

👪 実家の解体費用は、まず相続人どうしで決めます

実家の解体費用をどう出すかは、まず相続人どうしで決めます。相続人が何人かいれば、実家はその人たちの共有になるためです。

民法には、次の決まりがあります。

  • 相続人が数人あるときは、相続した財産は、その人たちの共有になる(第898条)
  • 各相続人は、相続分(それぞれの取り分)に応じて、亡くなった方の権利と義務を受け継ぐ(第899条)

たとえば、親が亡くなり、兄弟3人が相続人になったとします。この場合、実家は3人の共有になり、解体するかどうかも、費用の出し方も、3人で話し合って決めることになります。

一方で、遺産分けの話し合い(遺産分割)で「長男が実家を受け継ぐ」と決めたあとは、誰が受け継いだかで扱いが変わり得ます。この条文だけでは一概に言えないので、司法書士に確かめておくと安心です。まずは、相続人が誰なのか、遺産分割が済んでいるかを確かめるところから始めてみてください。

出典:民法(e-Gov 法令検索) 第898条・第899条(2026年10月時点の条文)

⚖️ 兄弟で分けるときに知っておきたい2つの条文

費用に関わる条文は2つありますが、解体費用がそれに当たるかまでは書かれていません。分け方は話し合いで決め、迷ったら専門家に確かめるのが安心です。

条文書いてあること(原文の要点)解体費用との関係
民法 第253条各共有者は、その持分(共有している割合)に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う解体費用が「管理の費用」に当たるかは、条文に書かれていない
民法 第885条相続財産に関する費用は、その財産の中から支払う(ただし、相続人の過失によるものは除く)解体費用が「相続財産に関する費用」に当たるかは、条文に書かれていない
当てはめの判断は、弁護士・司法書士にご確認ください

条文が直接の答えにならない分、ご兄弟の話し合いが大切になります。たとえば「相続分の割合で分ける」「実家が売れたら、その代金から精算する」など、決め方はいくつか考えられます。

決めた割合と、誰がいつ立て替えるかは、メモでもよいので書いて残しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。離れて住むご兄弟とも、同じ内容を共有しておきましょう。話し合いがまとまらないときや、法律の当てはめで迷うときは、弁護士か司法書士が相談先になります。

出典:民法(e-Gov 法令検索) 第253条第1項・第885条(2026年10月時点の条文)

🏷️ 名義が親や祖父のままでも、解体は進められます

登記の名義を書き換えなくても、解体そのものと、そのあとの滅失登記(建物がなくなったことの登記)の手続きは進められます。ただし、解体するには、原則として相続人(共有者)全員の同意が必要です。

名義が親や祖父のままでも解体を進める流れの図。1 相続人全員で話し合い同意する(原則)、2 解体工事(名義を書き換えなくても進められる)、3 滅失登記(相続人の誰か1人が法務局へ申請)。注意:名義を書き換えなくてよいことと、一部の兄弟だけで決めてよいことは別の話
名義を書き換えずに進めるときの流れ(当社の提携司法書士への確認による。当社作成)

当社が提携する司法書士に確かめた内容です。滅失登記は、相続人の誰か1人が法務局へ申請すればよい、とのことでした。

当社でも、建物が亡くなった方の名義のままのご実家で、相続人であることを証明できる書類をそろえていただき、名義を書き換えずに解体と滅失登記へ進める段取りをしている例があります。

気をつけたいのは、「名義を書き換えなくてよい」ことと「一部の兄弟だけで決めてよい」ことは、別の話だという点です。一人でも反対しているご兄弟がいれば、先に話し合いを重ねてください。

解体の届出や滅失登記の順番は、実家の解体の手続き|届出・石綿・滅失登記の順番にまとめています。

💡 手元にお金がないときの3つの道

解体費用を先に用意できなくても、①家を残したまま売る、②売却代金から精算する、③解体の補助を調べる、の3つの道があります。

解体費用で困りやすいのは、売れる前に払う形になるときです。払う時期や形を変えれば、手元のお金が少なくても段取りを組めます。

① 家を残したまま売る

家を残したまま「古家付き土地」として売りに出せば、解体費を先に用意しなくて済みます。売主と買主のどちらが解体費を払うかは、古家付き土地の解体費用は誰が払うをご覧ください。残すか更地にするかの決め手は古家付き土地売却|残すか更地にするか決め手5つにあります。

② 解体費を売却代金から精算する

更地にしてから売りたいときは、当社では、解体費を売却代金から精算する形もご相談いただけます。ご兄弟で費用を先に出し合うのが難しいときにも、話し合いの選択肢の一つになります。

③ 解体の補助を契約の前に調べる

解体の補助には、耐震の補助の中の「除却(解体)」の枠と、空き家の除却の補助があります。福岡県では、県が市町村を通じて、古い木造の戸建ての「建替え等に伴う除却(解体)」の費用を補助しています。主な要件は、昭和56年5月以前に建てられた木造の戸建てであること、耐震診断で倒壊の危険性があると判断されたこと、耐震性のある住宅を確保した上で解体すること、などです。実施しているか、額、条件は市町村ごとに違います。空き家の除却の補助は別の制度で、建築年の要件がないものもあります。

市(補助の種類)補助の額(原文の要点)相続した空き家・条件
福岡市(耐震の除却枠)除却工事の経費の23%・上限30万円(延べ床面積による上限もあり)使える(相続開始日から3年を経過する日の属する年の翌年3月までに行う工事)。交付決定の通知のあとに契約
筑紫野市(耐震の除却枠)除却費か耐震改修費の低いほうの60%・上限60万円使える(3年以内に取得したもの)。受付は11月30日までで、予算額に達した時点で終了
久留米市(空き家の除却補助)除却工事費用の2分の1・上限65万円(受付は令和9年1月29日まで)市内にある木造の建物(建築年の要件はない)。市内業者に発注予定で、契約と着工の前
北九州市耐震の除却枠は、申請の時点で住んでいる住宅が対象耐震の除却枠は使えない。空き家の除却補助が別にある(3分の1以内・上限30万円・市内業者)
確認日:2026年9月23日(令和8年度)。解体したあと土地を売る場合に使えるかは、契約の前に市町村へご確認ください

表にない市町村でも、補助がないとは限りません。空き家の担当だけでなく、耐震の担当の窓口にも聞いてみてください。

出典:福岡県 木造戸建て住宅の性能向上改修、福岡市、筑紫野市、久留米市、北九州市の各ページ

どの道が合うかは、解体の見積りの額と、売れる見通しを並べてみると決めやすくなります。解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。

❓ よくあるご質問

Q. 相続放棄した兄弟も、解体費用を払うのですか

一概には言えません。民法第940条は、相続を放棄した人が、放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、相続人などに引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければならない、と定めています。ただ、これは「保存」の義務で、解体費用を払う義務があるかどうかは、この条文からは決まりません。迷われたら、弁護士・司法書士にご相談ください。

Q. 兄弟の一人が解体に反対しています。先に進めてもよいですか

おすすめしません。解体するには、原則として共有者全員の同意が必要です。反対の理由を聞き、売却や時期の見直しも含めて話し合うところからです。まとまらないときは、弁護士が相談先になります。

Q. 祖父の名義のままの実家でも、解体できますか

提携する司法書士からは、名義を書き換えなくても解体と滅失登記は進められる、と聞いています。ただ、祖父の代からの相続では、相続人が誰で何人になるかを確かめる必要があります。誰の同意が要るかを、まず司法書士にご相談ください。

Q. 解体費用はどれくらいかかりますか

福岡での金額の目安は、福岡の解体費用の相場にまとめています。

📝 この記事のまとめ

  • 実家は相続人の共有になるので、解体費用をどう出すかは、まず相続人どうしで話し合って決めます
  • 費用に関わる条文(民法第253条・第885条)はありますが、解体費用に当たるかまでは書かれていません。当てはめは弁護士・司法書士へ
  • 名義が親や祖父のままでも、解体と滅失登記は進められます。ただし解体には、原則として相続人全員の同意が必要です
  • お金がないときは、家を残したまま売る・売却代金から精算する・解体の補助を契約の前に調べる、の3つの道があります
  • 次の一歩は、①相続人と遺産分割の状況を確かめる、②解体の見積りを取る、③契約の前に市町村の耐震と空き家の窓口に聞く、の3つです

家族の思い出が詰まった実家だからこそ、費用の話は切り出しにくいものです。ご兄弟それぞれの事情を持ち寄り、無理のない形を一緒に考えさせてください。役目を終えた家を、気持ちよく送り出すお手伝いができれば幸いです。

本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、民法の条文(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)、福岡県・各市の公式ページ(2026年9月23日確認)に基づく一般的な説明です。解体費用を誰がどれだけ負担するか、相続放棄した方の扱いなど、法律の当てはめは弁護士・司法書士にご確認ください。補助の条件・受付期間・予算は年度の途中でも変わることがあるため、市町村の窓口でご確認ください。最終更新日:2026-10-09。

解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。

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