福岡市早良区・賀茂で、両側を隣地のブロック塀に挟まれた敷地の木造2階建て住宅を解体した施工事例です。この事例でお伝えしたいのは、解体は「壊す」ではなく「分ける」仕事だということ。そして、境界の塀をどうするかは、急がずに確かめてから決めたほうがよいということです。
🪵 木は木で、まとめておきます

解体で出るものを量で並べると、いちばん上に来るのは木材です。柱、梁、根太、下地——家のかたちを内側から支えていた木が、役目を終えてこうして一か所に集まります。木は木だけでまとめておく。それだけで、このあとチップに加工され、ボードや燃料の材料として次の場所へ回っていきます。
ところが、ここに石膏ボードやプラスチックが紛れ込むと、山ごと混合廃棄物として扱うしかなくなります。同じ一本の柱が資源になるか廃材で終わるかは、分けたか混ぜたか、それだけで決まってしまうのです。

🚜 重機は、先端を付け替えて役割を変えます

現場をご覧になった方から「重機がずいぶん入れ替わりますね」と言われることがあります。台数が多い日もあるのですが、よく見ていただくと同じ一台が、腕の先だけを替えて別の仕事をしていることに気づかれるはずです。
- つかんで運ぶ ── 木材や廃材をまとめて持ち上げる
- はさんで分ける ── 混ざったものを材料ごとに取り分ける
- 砕く ── コンクリートを割って小さくする
- すくう ── 土をならす、がらを寄せる
料理人が包丁を使い分けるのと同じで、工程に合わせて先端を交換します。私たちが「解体=壊す」ではなく「分ける」作業だと申し上げるのは、こういうところに理由があります。壊すだけなら、道具を替える必要はありません。分けるために、わざわざ付け替えているのです。

この敷地は、左右をお隣のブロック塀に挟まれています。基礎を割る工程はどうしても振動が出ますから、塀に近づくほど重機の力を落とし、最後は手作業に切り替えて仕上げました。時間はかかります。それでもお隣の塀を傷めないことまで含めて「工事の内容」だと考えています。
✨ After|基礎まで撤去して、更地になりました

上屋を解き、足場を外し、基礎を割ってコンクリートがらを搬出し、地面をならして——この状態になりました。工事で出た木材・石膏ボード・金属・コンクリートがらは、種類ごとに分けて運び出し、再資源化へつないでいます。

🧱 塀は「残す」か「撤去する」か

この敷地では、境界のブロック塀がそのまま残っています。やり残しではなく、はじめにお決めいただいた受託範囲に沿った仕上がりです。解体のご相談でよくいただくのが「塀はどうすればいいですか」というご質問なので、少しだけ書かせてください。
出発点は、工事の話ではありません。その塀が誰のものかを確かめるところから始まります。ご自身の敷地の内側に立っているのか、境界線をまたいでいるのか、それともお隣が建てたものなのか。もし双方で使っている塀を片方の判断だけで撤去してしまうと、そのあとの話がずいぶん複雑になります。さらに、その土地を売るご予定があるかどうかでも答えは変わります。急いで決めていいことは、ひとつもありません。どこまで撤去するかで費用も工程も動きますので、お見積りの段階で遠慮なくお尋ねください。

残すと決めた塀は、いまの状態を写真に残してお渡しします。天端の欠け、ひび、汚れ。もとからあったものを「工事の前からのもの」として記録しておくと、あとで「この傷は工事でついたのか」と迷う場面がなくなります。残すという判断も、記録があってはじめて安心して選べるものだと思っています。

工事のあいだ、ご近所の皆様には作業音や車両の出入りでご不便をおかけしました。ありがとうございました🙏
建物の一生は屋根の上から始まり、地面の下で終わります。最後まで道具を持ち替えながら、ひとつずつ分けて、次へ渡す。そして、残すと決めたものはきちんと残す。この土地が次の役割へ進むとき、その判断がそのまま引き継がれていきます😊
📚 あわせて読みたい