こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
実家の解体を頼もうと見積書を見たら、「石綿事前調査」という項目があった。何を調べるのか、なぜ払うのか、よく分からない。そんな方も多いのではないでしょうか。
先にお伝えします。家の解体やリフォームの前には、石綿(アスベスト)が使われているかの事前調査が要ります。調べるのは工事を請け負う業者ですが、施主にも確かめておきたいことが5つあります。
施主(工事を注文する人)は、法律で、調査の費用を適正に負担するなどして調査に協力することになっているためです。福岡市も、工事の発注者に向けて、確かめるポイントを案内しています。この記事では、市のポイントをもとに、法律で決まっている現場の掲示を加えて5つに整理し、工事の流れに沿ってご紹介します。
- 見積に調査の費用が入っているか・資格者が調べるか
- 結果の説明の書面を受け取ったか
- 一定規模以上の工事で、業者が市へ報告しているか
- 現場に調査の結果が掲示されているか
- 石綿があったときの届出と、作業完了の報告
確かめることが分かっていれば、業者に何を聞けばよいかもはっきりします。ご自分の工事に置き換えながら読み進めてみてください。
🏠 解体前の石綿の事前調査は業者がします。施主は協力して5つを確かめます
石綿の事前調査は、施主から直接工事を請け負う業者(元請業者)がします。施主は、調査の費用を適正に負担し、資料を渡して協力しながら、5つのことを確かめます。

大気汚染防止法は、建物の解体・改造・補修を伴う工事で、元請業者が、石綿を含む建材が使われているかを調べ、結果を書面で施主に説明することを定めています。あわせて、施主には、調査の費用を適正に負担するなどして調査に協力することを求めています。
福岡市のページも、工事の発注者に、調査に必要な費用の適正な負担と、設計図書(建てたときの図面や仕様書)や改修に関する資料の提供などで協力するよう案内しています。そのうえで、確かめることをポイントにまとめています。この記事では、それに現場の掲示を加えて5つにしました(上の図)。
調査が要るのは、古い建物に石綿が使われていることがあるからです。厚生労働省のサイトは、石綿は2006年(平成18年)9月から製造・輸入・使用などが禁止されていますが、「それ以前に着工した建築物等には防火・保温・断熱等の目的で石綿が使用されている可能性があります」としています。
見積を頼む段階で、この5つを業者に聞いておくと安心です。解体の届出や登記もふくめた手続き全体の順番は、実家の解体の手続き|届出・石綿・滅失登記の順番で整理しています。
出典:大気汚染防止法(第18条の15第1項・第2項)、福岡市「自宅や所有物件のリフォーム・解体工事を行うときは」、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「発注者・施主」
💴 確かめる1:見積に調査の費用が入っているか・資格者が調べるか
見積を受け取ったら、石綿の事前調査の費用が入っているか、調べるのは資格を持つ人かを確かめます。
福岡市のページは、事前調査は資格者が行う必要があるとし、見積に事前調査の費用が含まれているかを確認するよう呼びかけています。建物の解体などの事前調査は、令和5年10月1日から「建築物石綿含有建材調査者等の有資格者」が行うことになりました。厚生労働省のサイトも、工事の業者を選ぶ参考として、工事費用に事前調査費が入っているか、石綿の調査を行う資格(建築物石綿含有建材調査者など)を持っているかを確かめるよう勧めています。
調査は、設計図書などの書面と、目視で行います。それでも石綿の有無が分からないときは、分析をするか、石綿があるものとみなして対策をとります。市のリーフレットは、書面の調査だけで「石綿使用なし」と判断してはいけない、としています。工事をする事業者は、労働者を守るための決まり(石綿障害予防規則)でも、解体する部分のすべての材料を調べ、その記録を3年間保存します。
見積のときに業者に聞くこと(市と厚生労働省の案内から)
費用の額は、建物の大きさや造り、調べ方によって変わるため、この記事では扱いません。
家に設計図書や建築確認の書類が残っていれば、探して業者に渡しましょう。調査の手がかりになります。
出典:福岡市(ポイント1)、福岡市「大気汚染防止法の改正について」、福岡市 石綿のリーフレット(p.2)、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト、石綿障害予防規則 第3条
📄 確かめる2:結果の説明の書面を受け取り、保管しておく
調査が終わると、業者から結果の説明を書面で受けます。その書面は受け取って、保管しておきましょう。
元請業者は、調査の結果を書面で施主に説明することが義務になっているためです。説明は、原則として工事を始める日までに行われます(飛散性の高い建材があり、その建材に関わる作業を工事の開始から14日以内に始めるときは、その作業の14日前まで)。
書面には、調査の結果のほか、次のようなことが書かれます。
- 調査を終えた年月日と、調査の方法
- 資格者が調べたときは、その人の名前と、資格を持っていることが分かる事項
- 石綿を含む建材があるときは、その種類・使われている場所と面積、作業の種類・期間・方法
福岡市のページは、事前調査が資格者によって行われたかを確かめ、説明の資料を受け取って保管しておくよう呼びかけています。環境省のチラシも、業者から受けた事前調査の結果の報告書を大切に保管するよう呼びかけています。どちらも「お願い」で、施主に保管の義務があるわけではありませんが、あとで工事のことを確かめるときの手がかりになります。
書面を受け取ったら、調べた人の資格と、石綿があったかどうかを確かめてから、工事の書類といっしょにしまっておきましょう。
出典:大気汚染防止法施行規則(第16条の6・第16条の7)、福岡市(ポイント2)、環境省「建物所有者の皆様へ」(福岡市のサイトに掲載)
🏛️ 確かめる3:一定規模以上なら、業者が市へ報告しているか
建物の解体で床面積が80㎡以上、改造・補修で請負代金が100万円以上の工事は、業者が調査の結果を報告します(福岡市では市長へ)。報告しているかを確かめましょう。
元請業者は、一定規模以上の工事について、事前調査の結果を報告することが義務になっているためです。福岡市では、令和4年4月から、工事の前に市長へ報告することになりました。報告は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」で行います。
| 工事の種類 | 市への報告が要る規模 |
|---|---|
| 建物の解体 | 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上 |
| 建物の改造・補修(リフォーム) | 請負代金の合計が100万円以上 |
この報告は、石綿があってもなくても要ります。また、80㎡未満の解体でも、事前調査・書面での説明・記録・現場の掲示は要ります。規模で分かれるのは、市への報告だけです。
石綿の調査は、業者が法律どおりに進めているかを、施主が外から確かめられる場面でもあります。解体工事のご相談やお見積りについては、アスベスト解体のページもあわせてご覧ください。
見積や契約のときに、「市への報告が要る工事ですか」と聞いておくと、報告の有無を確かめやすくなります。
出典:大気汚染防止法施行規則(第16条の11)、福岡市「大気汚染防止法の改正について」、福岡市 石綿のリーフレット(p.3)、福岡市(ポイント3)
🪧 確かめる4:現場に調査の結果が掲示されているか
工事が始まったら、現場に石綿の事前調査の結果がA3以上の大きさで掲示されているかを見てみましょう。
元請業者は、工事をするとき、調査の結果などを現場の見やすい場所に掲示し、調査の記録の写しを現場に備えておくことになっているためです。掲示板の大きさは、A3(42.0cm×29.7cm)以上と決められています。
掲示には、業者の名前や住所、調査を終えた日、調査の方法などが書かれます。石綿を含む建材があれば、その種類も書かれます。法律は、掲示するものを「調査の結果」としていて、石綿の有無で分けていません。
掲示するのは業者で、施主ではありません。また、建設業の許可などを示す標識とは別のものです。
現場の前を通るときに、掲示があるかを一度見ておきましょう。
出典:大気汚染防止法(第18条の15第5項)、同施行規則(第16条の9・第16条の10)、福岡市 石綿のリーフレット(p.3)
⚠️ 確かめる5:石綿があったときの届出と、作業完了の報告
飛散しやすい石綿の建材があったときは、その建材に関わる作業を始める日の14日前までに、発注者(施主)が届け出ます。作業が終わったら、業者から完了の報告を書面で受けます。
届出が要るのは、吹付け石綿や、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材が使われている場合です。届け出るのは発注者と法律で決まっていて、福岡市のページも、飛散性の高い石綿の場合は、発注者が除去作業開始日の14日前までに「特定粉じん排出等作業実施届」を出す必要がある、としています。14日前は、工事全体の着工日ではなく、その作業を始める日から数えます。
石綿を含む建材があっても、これらにあたらないもの(石綿を含む成形板など)だけなら、この届出の対象には入っていません。ただし、事前調査や書面での説明、一定規模以上の報告などは要ります。届出の書類をどう作って出すかは、業者と市の窓口に確かめましょう。福岡県内のほかの市町村や佐賀県では、工事をする市町村や県の窓口でご確認ください。
福岡市のページは、石綿があるときには、施工方法や工期、工事費などについて、作業の決まりを守ることを妨げるような条件を業者に付けないよう配慮することも、発注者に求めています。急ぎたい事情があっても、工期や費用を無理に縮めないことが大切です。福岡市のページは、石綿が飛び散ると、作業する人や周りの方が吸い込んで健康被害が生じるおそれがある、としています。調査・届出・作業の決まりは、ご近所に石綿を飛ばさないための手順でもあります。
除去の作業が終わると、元請業者は施主に、作業の完了を書面で報告します。福岡市のページは、その報告書を受け取って保管しておくよう呼びかけています。
説明の書面で石綿が「あり」となっていたら、届出が要る建材か、届出はいつまでか、完了の報告書をいつもらえるかを、業者に確かめましょう。
出典:大気汚染防止法(第18条の17)、福岡市(発注者の責務・ポイント4・5)、環境省「建物所有者の皆様へ」
❓ よくあるご質問
Q. 古い家には、どれも石綿が使われていますか
そうとは限りません。福岡市のページのよくある質問でも、含まれているとは限らず、建築時期や使われた建材によって違う、とされています。だからこそ、工事の前に調べます。
Q. 2006年9月以降に建てた家なら、調査はいりませんか
調査は要ります。ただし、方法がかんたんになります。2006年9月1日以降に着工したことが設計図書などの書面で明らかなら、目視の調査はせず、書面で着工日を確かめるだけでよいとされています。基準は完成した年ではなく、着工した日です。
Q. 壁に穴をあけるくらいの小さなリフォームでも、調査は要りますか
建材を傷つける作業がふくまれるなら、要ります。福岡市のよくある質問では、電動ドリルでビスを打つなどの小規模な工事でも、建材を損傷させる作業がふくまれる改修・解体工事なら事前調査が必要、とされています。
Q. 石綿がありそうな部分を、自分で取り外してもよいですか
おすすめできません。福岡市のページは、石綿が飛び散って吸い込むと健康被害のおそれがあるため、専門の業者へ相談するよう勧めています。
出典:福岡市(よくある質問)、大気汚染防止法施行規則(第16条の5)、福岡市 石綿のリーフレット(p.2)
📝 この記事のまとめ
- 解体や改修の前の石綿の事前調査は、元請業者がします。施主は費用の適正な負担や資料の提供で協力します
- 見積に調査の費用が入っているか、資格者が調べるかを確かめます
- 結果の説明の書面を受け取り、保管しておきます。説明は原則として工事を始める日までです
- 解体で床面積80㎡以上、改造・補修で100万円以上の工事は、業者が市へ報告します。現場にはA3以上の掲示が出ます
- 飛散しやすい石綿の建材があれば、施主が作業の14日前までに届け出ます。完了の報告書も保管しておきます。どれも、ご近所に石綿を飛ばさないための手順です
石綿の事前調査は、長いあいだ家族を守ってきた家と、まわりの暮らしの両方を大切にしながらお別れの準備を進めるための手順です。確かめる5つを手元に置いておけば、業者に何を聞けばよいかが分かります。調査や工事の進め方で分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、大気汚染防止法・同施行規則・石綿障害予防規則、福岡市の工事の発注者向けのページ(2026年10月16日更新)・大気汚染防止法の改正のページ・石綿のリーフレット、環境省のチラシ、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトに基づく一般的な説明です。ご自分の工事で届出や報告が要るかは、工事をする業者と、市町村・県の窓口にご確認ください。最終更新日:2026-10-23。
解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。