こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
「親が住んでいたのはマンション。実家じまいの記事を読んでも、一戸建ての話ばかりで、自分の場合が分からない」
そんなふうに感じていませんか。
先にお伝えします。実家がマンションのときは、一戸建てと違う点が3つあります。
- 区分所有建物の登記がある場合、相続した空き家の3,000万円控除(空き家特例)が使えないこと
- 管理費や修繕積立金など、持っている間の負担があること
- ご自分の判断だけでは、建物を解体できないこと
マンションの部屋は、区分所有法では「区分所有権」の対象になります。ご自分の部屋の部分(専有部分)以外の建物の部分は「共用部分」になり、ほかの持ち主と関わる形になるためです。
この記事では、3つの違いを、条文と国税庁の案内をもとに順に整理します。読み終えるころには、売る時期を考えるとき、何から確かめればよいかが見えやすくなります。
🧾 空き家特例(3,000万円控除)は、区分登記のあるマンションには使えません
相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除は、「区分所有建物登記がされている建物」には使えません。国税庁の案内に、対象になる家屋の要件として書かれています。
国税庁の案内では、特例の対象になる家屋は、次の3つの要件すべてに当てはまるものとされています。
| 記号 | 要件(原文の要点) | マンションのとき |
|---|---|---|
| イ | 昭和56年5月31日以前に建築されたこと | 建築の日で決まる(築年数ではない) |
| ロ | 区分所有建物登記がされている建物でないこと | 区分登記があると、ここで対象外 |
| ハ | 相続の開始の直前に、亡くなった方以外に住んでいた人がいなかったこと | 同居の家族がいた場合などは対象外になり得る |
福岡国税局のチェックシート(令和7年分用)にも、区分所有建物である旨の登記がされている二世帯住宅やマンションは、特例を受けられない、という注意書きがあります。つまり、一戸建てに見える二世帯住宅でも、区分登記があれば同じです。
気をつけたいのは、「マンションは一切使えない」でも「区分登記がなければ使える」でもない点です。家屋の要件は3つすべてが必要で、ほかの要件もあります。まずは、登記事項証明書で、区分所有建物の登記がされているかを確かめるところから始めましょう。
特例の細かい要件は、空き家特例3,000万円控除|要件と使えない例にまとめています。
出典:国税庁 タックスアンサー No.3306(令和8年4月1日現在法令等)、福岡国税局の特例のチェックシート(令和7年分用)
💴 管理費・修繕積立金など、持っている間の負担は規約で決まります
マンションは、持っている間、共用部分の負担を、規約に別段の定めがない限り持分に応じて負います。ふだん「管理費」「修繕積立金」と呼ばれるお金が、この負担に当たると読めます(当方の読みです。条文に「管理費」の言葉はありません)。
条文には、次の決まりがあります。
- 区分所有法 第19条:各共有者は、規約に別段の定めがない限り、持分に応じて、共用部分の負担を負う
- 民法 第896条:相続人は、相続が始まった時から、亡くなった方の財産に属した一切の権利と義務を引き継ぐ(ただし、その方だけに関わるものは除く)
額や払う時期は、そのマンションの管理規約で決まります。この記事では、金額には触れません。

亡くなった方に払い残しがあったときの扱いは、条文だけでは決められません。民法第896条は一般的な引き継ぎの決まりです。相続放棄や、遺産分割での負担の分け方の当てはめは、司法書士か弁護士にご確認ください。
もうひとつ知っておきたいのが、次の持ち主への影響です。区分所有法の第7条と第8条は、共用部分や敷地などについて、規約や集会の決議に基づく請求が残っているとき、その請求は、部屋を買った人など、次の持ち主にも行うことができる、と定めています。相続した方の引き継ぎは、上の民法第896条の話になります。
ただし、これは請求できる相手の話です。「払いが残っていると売れない」と決めている条文ではありません。売る前に、管理会社に、毎月の額と、払いが残っていないかを聞いておくと安心です。
出典:区分所有法(e-Gov 法令検索) 第7条・第8条・第19条、民法 第896条(2026年10月時点の条文)
🏢 マンションの実家じまいでは、ご自分の判断だけでは解体できません
マンションの建物は、持ち主ひとりの判断では解体できません(条文からの当方の読みです)。区分所有法が、建物を取り壊す話を「集会の決議」で決める形にしているためです。建物ごと取り壊す話で、部屋の中だけを解体するリフォームとは別です。
| 決議 | 条文 | 中身(原文の要点) | 必要な賛成 |
|---|---|---|---|
| 建替え決議 | 第62条第1項 | 建物を取り壊し、敷地に新しく建物を建てる | 区分所有者と議決権の各5分の4以上 |
| 取壊し決議 | 第64条の8第1項 | 建物を取り壊す | 区分所有者と議決権の各5分の4以上 |
建替え決議のための集会は、会日の少なくとも2か月前に通知を出す、と決められています(第62条第6項。この期間は規約で伸ばせます)。決める手順が、一戸建てとは大きく違います。
このため、一戸建てで考える「残すか、解体して更地にするか」の2択は、マンションにはそのまま当てはまりません。売る時期の目安は、この記事では書きません。上の3つを確かめたうえで、不動産会社に相談して決めましょう。
売るかどうか、売るならいつにするかで迷われたら、まず今の状況を整理するところからです。売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。
出典:区分所有法(e-Gov 法令検索) 第62条・第64条の8(2026年10月時点の条文)
❓ よくあるご質問
Q. マンションの部屋を持つとは、法律ではどういうことですか
区分所有法は、一棟の建物の中で、独立した住居などとして使える部分を、それぞれ所有権の目的にできると定めています(第1条)。その所有権が「区分所有権」で、対象の部分が「専有部分」です。専有部分以外の建物の部分などは「共用部分」で、専有部分を持つための敷地の権利は「敷地利用権」と呼ばれます(第2条)。「マンション」という言葉そのものは、条文にはありません。
Q. 売るとき、買う人にはどんな説明がされますか
宅建業者が入る売買では、宅建士が、管理に関する事項を書面で説明することになっています(宅建業法 第35条第1項第6号)。施行規則 第16条の2には、たとえば、修繕の積立ての規約の内容と積み立てられている額、所有者が負担する通常の管理費用の額、管理を委託されている方の氏名と住所、維持修繕の実施状況の記録、が並んでいます。売る前に、管理規約と、これらが分かる書類が手元にあるかを確かめておくと、話が進めやすくなります。
宅建業者が入らない個人どうしの売買には、この条文は当たらないと読めます(当方の読みです)。
Q. マンションの部屋でも、相続登記は必要ですか
相続で不動産の所有権を取得した相続人は、相続の開始を知り、かつ取得を知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。いきなり科されるのではなく、登記官からの催告が先にあります(不動産登記法 第76条の2・第164条)。マンションの部屋も、区分所有法 第1条のとおり所有権の目的になるので、同じ考え方になると読めます(当方の読みです)。期限や手続きは、相続登記の義務化|期限は3年・実家を売る前ににまとめています。
出典:区分所有法、宅建業法、宅建業法施行規則、不動産登記法(e-Gov 法令検索・2026年10月時点の条文)
📝 この記事のまとめ
- 空き家特例(3,000万円控除)は、区分所有建物登記がされている建物には使えません。家屋の要件は3つすべてが必要で、ほかの要件もあります
- 共用部分の負担は、規約に別段の定めがない限り持分に応じて負い、額と時期は管理規約で決まります。相続した方は、民法第896条で権利義務を引き継ぎます
- 共用部分などについての請求は、部屋を買った人など、次の持ち主にも行えます。売る前に、管理会社へ払いの残りを聞きましょう
- 建物を取り壊すかどうかは、集会の決議で決まります。「解体して更地にして売る」は、ご自分の判断ではできないと読めます(当方の読み)
- 次の一歩は、①登記事項証明書で区分登記と名義を確かめる、②管理規約と毎月の額を確かめる、③不動産会社に売却の相談をする、の3つです
親御さんが暮らしたお部屋を手放すのは、気持ちの整理も要ることです。急がず、今の状況を整理するところから始めれば大丈夫です。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、区分所有法・民法・宅建業法・宅建業法施行規則・不動産登記法の条文(2026年10月時点・e-Gov 法令検索)、国税庁タックスアンサー No.3306(令和8年4月1日現在法令等)、福岡国税局の特例のチェックシート(令和7年分用)に基づく一般的な説明です。税の当てはめは税務署・税理士へ、管理規約や決議の当てはめは管理組合・管理会社・弁護士へ、相続や登記の手続きは司法書士へご確認ください。最終更新日:2026-10-19。
売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。