こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
古い家が建ったままの土地(古家付き土地)を、不動産業者に買い取ってもらう。相続した実家の土地などで、こうした売り方を考える方もいらっしゃると思います。
そのとき、いちばん気になるのは「いくらで買い取ってもらえるのか」、そして「仲介手数料はかかるのか」ではないでしょうか。
結論から申し上げます。業者に直接買い取ってもらい、間に仲介の会社が入らなければ、仲介手数料はかかりません。同じ金額で売れるなら、仲介手数料の分だけ、手元に残るお金が多くなります。だからこそ、買取の価格は、仲介で売った場合の「手元に残るお金」と並べて比べるのがおすすめです。
この記事では、仲介手数料がいくらになるものなのか、買取ではなぜかからないのか、そして契約の前に確かめたいことを順にお伝えします。
💴 仲介手数料は、いくらかかるものか
仲介手数料は、不動産会社に売買の仲介(法律の言葉では「媒介」)を頼み、契約がまとまったときに払う報酬です。宅地建物取引業法第46条は、売買の代理又は媒介に関して業者が受け取れる報酬の額は国土交通大臣が定める、としていて、その上限が国土交通省の告示に決められています。
| 売買代金のうち | 上限の割合(消費税込み) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
たとえば、売買代金が1,000万円なら、上限は次のように計算します(計算は当社によるものです)。
- 200万円 × 5.5% = 11万円
- 200万円 × 4.4% = 8万8,000円
- 600万円 × 3.3% = 19万8,000円
- 合わせて 39万6,000円(消費税込み)が、売主が払う仲介手数料の上限です
これは「上限」で、この額より低い報酬にすることもできます。また、代金が800万円以下の宅地や建物(告示の言葉では「低廉な空家等」。空き家に限らず、使っている家や土地も含みます)の売買の仲介では、仲介にかかる費用を考えて、上の計算より高い報酬を受け取れる特例があり、上限は「30万円の1.1倍」(計算すると33万円)とされています(国土交通省の概要・令和6年7月1日から)。特例を使うときは、仲介を頼む契約(媒介契約)を結ぶときにあらかじめ、報酬の額を説明して合意する必要がある、とされています(国土交通省の通達の概要)。
古家付き土地は、この特例に当たる価格帯になることもあります。たとえば代金が500万円なら、通常の計算の上限は23万1,000円(消費税込み)ですが、特例を使うと、説明と合意のうえで33万円までの報酬になることがあります(計算は当社によるものです)。
🤝 業者が直接買い取れば、仲介手数料はかからない
法律が報酬の額を決めているのは、業者が売買の代理又は媒介をする場合です(宅地建物取引業法第46条)。業者が自分で買主になって土地を買い取る取引は、売主と買主の間を取り持つ「媒介」ではありません。ですから、業者が直接買い取り、間に仲介の会社が入らない場合は、仲介手数料はかかりません。
ひとつ気をつけたいのは、買い取る業者と売主の方の間に、別の不動産会社が仲介として入る場合です。たとえば、ある不動産会社に相談し、その会社が買取業者を探して紹介する形なら、紹介した会社への仲介手数料がかかることがあります。「買取」と聞いただけで手数料ゼロと決めず、契約書の案で、買主は誰か、仲介の会社が入っているかを確かめておきます。
買取と仲介の、手数料のほかの違いは、空き家の買取と仲介の違いでお伝えしています。
⚖️ 「高く買い取ってもらえるか」は、手元に残るお金で比べる
買取の価格は、業者ごと、土地ごとに違います。この記事で相場の金額をお示しすることはできませんが、比べ方ならお伝えできます。
仲介で売る場合、売れた金額から仲介手数料を払います。買取で仲介の会社が入らなければ、仲介手数料は払いません。ですから、比べるのは、提示された金額そのものではなく、手数料などを差し引いたあとに手元に残るお金です。
| 仲介で売る場合 | 業者が直接買い取る場合(仲介なし) | |
|---|---|---|
| 受け取る金額 | 売れた金額 | 買取の金額 |
| 仲介手数料 | かかる(上の計算の上限まで) | かからない |
| 手元に残るお金の目安 | 売れた金額 − 仲介手数料 − ほかの費用 | 買取の金額 − ほかの費用 |
たとえば、仲介なら1,000万円で売れる見込みの土地でも、仲介手数料の上限の39万6,000円を差し引くと、960万4,000円です。仲介なしの買取なら、この仲介手数料の分は差し引かれません(ほかの費用は、どちらでも別に考えます。計算は当社によるものです)。金額を見比べるときは、こうして同じ物差しにそろえてから比べてみてください。
あわせて、買取の金額が「どんな条件での金額か」もそろえておきます。建物や家財を残したままの引き渡しか、引き渡しの時期はいつか、といった条件が違うと、金額だけでは比べられないからです。条件の違いは、現況渡しと更地渡しの違いも参考になさってください。
📝 契約の前に確かめたい3つ
金額と手数料に納得したら、契約書の案を読みます。買主が業者になる契約では、次の3つを確かめておきます。
① クーリング・オフは使えず、無条件ではやめられない
国民生活センターは、消費者が自宅を不動産業者に売る契約には、宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えず、売買契約が成立すると無条件では解除できないと注意を呼びかけています。売主から解除する場合は「手付倍返し」(受け取った手付金の倍額を返してやめる方法)となり、手付解除の期間を過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要になる、とも書かれています(国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」・令和3年6月24日。「自宅」の売却の相談をもとにした資料です)。手付の額と、手付で解除できる期限は、署名の前に確かめます。
② 違約金には、消費者を守る決まりがある
個人の方(事業として契約する場合を除きます)が事業者と結んだ契約で、解除に伴って個人の方が払う損害賠償の予定額や違約金は、合わせた額のうち、同じ種類の契約の解除で事業者に通常生じる損害(平均的な損害)の額を超える部分が無効になります(消費者契約法第9条)。ただし、何%なら超えるのかは条文からは決まりません。同じ条では、事業者が違約金などを請求する場面で説明を求められたときは、算定の根拠の概要を説明するよう努めることとされています。違約金の額が気になったら、署名の前に、どう決めた額かを尋ねてみてください。
③ 「責任を負わない」特約は、範囲を読む
買取の契約で、売主の方が、売ったあとの責任を負わないとする特約(契約書に書き加える個別の取り決め)を結ぶこと自体は、宅地建物取引業法第40条では制限されていません。第40条は、業者が自ら売主となる売買で、売った土地や建物が契約の内容に合わなかったときの責任について、買主に不利な特約を制限する決まりです。買取では個人の方が売主で、業者は買主なので、この決まりは関係しません。
ただし、「買取なら一切責任を負わない」とは言えません。責任を負わない特約をしても、知りながら告げなかった事実などについては責任を免れない、という決まりがあります(民法第572条)。特約が何について(建物か、土地か、地面の下のものも含むか)のものかを確かめ、知っていることは伝えておきます。地面の下のものをめぐる裁判例は、古家付き土地の売却で起きやすいトラブルで紹介しています。
🗓️ 買取を考えるときの段取り
業者に買い取ってもらうときの順番
仲介で売った場合の手元に残るお金を、目安で出す
売れる見込みの金額は、仲介の会社に査定を頼むと目安がわかります。そこから仲介手数料の上限(この記事の計算のしかた)を引いておきます。これが比べるときの物差しになります。
買取の金額を、条件をそろえて聞く
建物や家財を残したままか、引き渡しの時期はいつかをそろえて、金額を聞きます。
買主は誰か、仲介の会社が入るかを確かめる
契約書の案で確かめます。仲介の会社が入るなら、報酬の額も確かめます。
契約書の案を、署名の日より前に受け取る
その場で署名せず、案を持ち帰って読める日程にしてもらいます。遠方にお住まいなら、郵送やメールで案を送ってもらいます。
手付・違約金・「責任を負わない」特約に印をつける
分からない所は、署名の前に聞きます。ご家族にも案を見てもらうと安心です。
👣 お一人でもできること
今日からできる確認
その場での署名を求められても、急いで決める必要はありません。
❓ よくあるご質問
Q. 買取なら、本当に仲介手数料はかかりませんか
業者が自分で買主になり、間に仲介の会社が入らなければ、仲介手数料はかかりません。法律が報酬を決めているのは、代理又は媒介の場合だからです。ただし、別の不動産会社が買取業者を紹介し、仲介として間に入る場合は、その会社への報酬がかかることがあります。契約書の案で、仲介の会社の欄を確かめてください。
Q. 800万円以下の土地だと、仲介手数料は33万円になるのですか
33万円は特例の「上限」です(30万円の1.1倍)。特例は、仲介にかかる費用を考えて、通常の計算より高い報酬を受け取れるというもので、いつもその額になるわけではありません。特例の額にするには、媒介契約を結ぶときにあらかじめ、報酬の額の説明と合意が必要とされています。
Q. 業者から直接「買い取りたい」と電話がありました
話を聞いたうえで、決めるのは後からでかまいません。業者に売る契約には宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えず、署名したあと無条件ではやめられません。その場で署名せず、仲介で売った場合の手取りとも比べてから決めても遅くありません。相談先は、空き家・実家の相談先の記事でまとめています。
📝 この記事のまとめ
- 業者が直接買い取り、間に仲介の会社が入らなければ、仲介手数料はかかりません。同じ金額なら、その分だけ手元に残るお金が多くなります
- 仲介手数料の上限は、代金の200万円以下の部分5.5%・400万円以下の部分4.4%・それを超える部分3.3%(消費税込み)で計算します。代金800万円以下では、媒介契約のときの説明と合意があれば、33万円を上限に通常の計算より高い報酬を受け取れる特例があります
- 買取の価格は、仲介で売った場合の手取りと、条件をそろえて比べます
- 買取でも、別の会社が仲介として入れば、その会社への報酬がかかることがあります
- 業者に売る契約に宅地建物取引業法のクーリング・オフは使えません。手付・違約金・「責任を負わない」特約は、署名の前に読みます
長く家族を見守ってきた家と土地を、次の方へ引き継ぐ売り方を選ぶ場面です。金額だけで決めず、手元に残るお金と条件をそろえて比べることで、納得して決めやすくなります。私たちも、いまの状況を伺うところから、一緒に考えます。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、2026年9月時点の法令(宅地建物取引業法・民法・消費者契約法)と、国土交通省の告示、国民生活センターの資料に基づく一般的な説明です。手数料の計算例は上限の目安で、実際の報酬の額や買取の金額は、それぞれの会社にご確認ください。最終更新日:2026-09-29。
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