こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。

親の家が空き家になって何年か経つ。気にはなっているけれど、何から手をつければよいか分からない。そんなご相談を、最近よくいただきます。

結論から申し上げます。空き家を持っていること自体に罰則があるわけではありません。ただ、管理が行き届かない状態が続くと、市町村から助言や指導を受けることがあり、勧告を受けると土地の固定資産税の軽減が外れます。倒壊などのおそれがある「特定空家等」として命令を受け、それに従わない場合は50万円以下の過料、その先には行政代執行が行われることもあり、その費用は所有者の負担です。
とはいえ、放置してしまうのは怠けているからとは限りません。ご相談を受けてきた私の実感では、見通しが立たないことが大きいようです。この記事では、放置が続いたときに起きることと、今日からできる最初の3歩をお伝えします。

📊 「放置・何も考えていない」は20.7%

全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が2026年9月23日に公表した『2026 住宅居住白書』では、ご自身またはご家族(ご両親等)の家が空き家になっている、または将来なる可能性があると答えた方が37.2%でした。

その方たち(1,859人)に、いまどのような検討をしているかを複数回答で尋ねたところ、「話し合いの必要を感じつつもまだ行っていない」が35.0%、「放置・何も考えていない」が20.7%でした。白書によれば、「放置・何も考えていない」は前年から2.0ポイント上がっています。

全宅連『2026 住宅居住白書』p.21のグラフ。空き家について現在どのような検討をしているか(複数回答、n=1859)。話し合いの必要を感じつつもまだ行っていない35.0%、放置・何も考えていない20.7%、家族(親子)で話し合いを進めている18.1%、売却する手続きを進めている18.0%、賃貸する手続きを進めている15.1%、相続する手続きを進めている13.3%、取り壊しの検討をしている10.9%。緑が2026年、灰色が2025年
出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会『2026 住宅居住白書』p.21(2026年9月23日公表)公式PDF

調査の概要:全国の20〜65歳の男女5,000名/インターネット調査/2026年7月30日〜8月5日(全国宅地建物取引業協会連合会『2026 住宅居住白書』)。グラフの緑は2026年、灰色は2025年の結果です。

なお、この1,859人には、まだ空き家になっていない「これから空き家になるかもしれない家」がご自身やご家族にある方も含まれます。「空き家の2割が放置されている」という意味ではありません。それでも、売却(18.0%)や賃貸(15.1%)の手続きを進めている方より、手をつけられていない方のほうが多いことは読み取れます。

⚖️ 空き家を放置すると、どう進んでいくのか

空き家への対応は、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」に沿って、市町村が段階的に進めます。ここでは、福岡市の案内(出典:福岡市「福岡市の放置空家対策について」)をもとに整理します。

段階どんな状態のときか所有者にとって何が起きるか
管理不全空家等「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」指導を受け、改善されなければ勧告。勧告を受けると、土地の固定資産税・都市計画税の軽減(住宅用地の特例)の対象から外れます。この区分には命令はありません
特定空家等「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」など助言・指導 → 勧告 → 命令。勧告で軽減の対象から外れるのは同じです
命令のあと特定空家等への命令に従わない場合50万円以下の過料。さらに行政代執行が行われると、その費用は所有者の負担です

言葉を少しかみ砕くと、勧告は「改善のための具体的な措置を、正式に求めること」、命令は「従う義務が生じる指示」、行政代執行は「市町村が所有者に代わって工事などを行い、その費用を所有者に求めること」です。

もう一つ大事なのは、どちらの区分の説明にも「おそれのある状態」という言葉が入っていることです。いま危険でなくても、そのまま放置すればそうなりそうだ、と判断されれば対象になり得ます。

勧告の効果について、福岡市の案内には「住宅用地に対する固定資産税又は都市計画税の課税標準の特例の適用を受けている場合にあっては、勧告により、当該敷地について、当該特例の対象から除外されることとなります」とあります。建物が建っていても、土地の軽減だけが外れる、ということです。

固定資産税がどれくらい変わり得るか、お手元の納税通知書で見当をつける方法は、空き家の固定資産税の記事でお伝えしています。どの年度から扱いが変わるかは福岡市のページに記載がないため、個別には区役所課税課でご確認ください。

福岡市では、命令も実際に出ています

福岡市は、勧告のさらに先にあたる命令を出した事例を公表しています。令和8年9月15日に東区馬出、令和8年7月28日に博多区博多駅前で2件、法第22条第3項に基づく命令が出されました。手続きが最後の段階まで進むことがある、ということです。

罰則はあるのか

「空き家を放置すると罰則があるのか」とよく聞かれます。空家法は、所有者に「空家等の適切な管理に努める」よう求めていますが(第5条)、これは努力義務で、空き家を持っていることや住んでいないことそのものに罰則はありません。

罰則にあたるのは過料で、対象は主に2つです。特定空家等への命令に違反した場合は50万円以下(第30条第1項)、市町村の立入調査を拒んだり、求められた報告をしなかったりした場合は20万円以下です(同条第2項)。過料は刑事罰の「罰金」とは別のものです。条文はe-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」で確認できます。

なお国土交通省の資料には、勧告を受けていなくても、人が住むための管理がされていないなどの状態によっては、税の上で「住宅」に当たらないとされる場合がある、という国の通知の考え方も紹介されています。勧告がなければ軽減は続く、とは言い切れないということです。

🧱 実際には、こんなかたちで連絡が来ます

私たちがご相談を受けた中には、しばらく誰も住んでいなかった親族の家について、市から連絡を受けた方がいらっしゃいました。命令や勧告ではなく、空き家の適切な管理についての文書と、塀への対応を求める連絡です。最初は文書で届き、しばらくしてから、塀にひびが入って危ないという連絡があったそうです。そこで、ご親族で集まって話をされました。

相続人の
ご家族

「男兄弟3人で集まってどうしようかみたいな話をこの前したんですね。」

(親族の家の相続人のご家族/2026年7月のお電話で)

相続人の
ご家族

「ブロックだけしてもしょうがないから、全部解体した方が、後々どうせ同じことの繰り返しになるよりはいいよねって話でなっているんだけれども」

(同じ方)

ところが、家の書類も鍵も手元にない。どこまで手を出してよいのかも分からない。そうした状態で、次の一手が見えずにいらっしゃいました。まだ何も分からない、という意味で、こうもおっしゃいました。

相続人の
ご家族

「生まれたての赤ちゃんみたいな感じですよ。」

(同じ方)

動くなら今なのかもしれない、という話の中では、こんな言葉もありました。

相続人の
ご家族

「周りにも迷惑かけてるからかな。」

(同じ方)

こうした連絡は、こちらの準備とは関係なく届きます。塀や屋根、庭木のように外から見える部分は、近隣の方の目にも入ります。

💭 放置してしまうのは、見通しが立たないから

放置している方を責めるつもりは、まったくありません。ご相談を受けていて感じるのは、多くの方が何から考えればよいか分からないまま、時間が過ぎているということです。

藤木

「結局はその見通しが立たないと、次何したらいいかみたいなのが分かんなくて、ずっとここはモヤするなみたいなのが、皆さんおっしゃることなんで。」

(不動産事業部・藤木/2026年7月のご相談で)

動き出すきっかけは、人それぞれです。見通しは、その一つになります。いくらで売れそうか、解体するといくらかかりそうか、手元にどれくらい残りそうか。この3つが見えると、動き出せる方が多いと感じています。

👣 今日からできる、最初の3歩

大きな決断をする前に、次の3歩だけ進めてみてください。

1いまの状態を知る外観・名義・納税通知書
2窓口役を引き受ける・提案する連絡を受ける人を一人に
3見立てを取る売れそうな額・解体費・手元に残る額

どれも、ご家族全員の同意がなくても始められます。

一歩目:いまの状態を知る

外から見た状態屋根、外壁、塀、庭木、窓、郵便受け(下の図)
登記の名義亡くなった方の名義のままか
固定資産税の納税通知書どなたに届いているか
外から見るのは、この6か所。屋根、窓、外壁、塀、郵便受け、庭木の位置を示した家のイラスト

遠方にお住まいで見に行けない場合は、近くのご親族にお願いするか、写真を撮ってもらうだけでも十分です。

二歩目:窓口役を引き受ける・提案する

全員で集まれなくても構いません。市や業者からの連絡を受ける窓口役を、ご自身が引き受けるか、ご家族に提案してみてください。

市・業者→窓口役のお一人

窓口が一人に決まっていると、連絡が来たときに慌てずに済みます。

相続人が何人もいるご家族には、私はこうお伝えしています。

藤木

「本当に大事なところだけはですね、みんな集まってやった方がやっぱりいいと思いますし、代表の方を、この人って決めて、もうその人が代表していろんなところ連絡取るよっていう形でも、もちろん大丈夫だと思うんですけど。」

(不動産事業部・藤木/2026年7月のお電話で)

大事なところは全員で、日々の連絡は窓口の方に。ご家族全員で決めること:たとえば売る金額、どこに売るか。窓口の方にお任せすること:いろいろなところとの連絡

こう分けるだけで、話はずいぶん前に進みます。

三歩目:見立てを取る

売る・貸す・残す・更地にする。

どれを選ぶにしても、次の3つが分からないと比べられません。

いくらで売れそうか

解体にいくらかかりそうか

手元にどれくらい残りそうか

当社では、そのまま売る場合と更地にして売る場合の両方の見立てを、費用をいただかずにお出ししています。

解体を考える場合

補助の制度がないか、空き家のある市町村に確かめてください

福岡県の案内では、市町村を通じた補助の中に「建替え等に伴う除却費に対する補助」があります。

主な要件には、次のようなものがあります。

昭和56年5月以前に建てられた木造戸建て住宅であること
耐震診断で倒壊の危険性があると判断されたこと
耐震性のある住宅を確保したうえで除却(解体)を行うこと

ただし「補助の実施状況、補助対象要件、補助金額等は市町村により異なります」とされています(出典:福岡県の案内)。

相続した空き家が対象になるかどうかも市町村ごとに違うため、窓口でご確認ください。

参考:全宅連の調査では、空き家問題の解決に有効だと思う対策(3つまで選択)として「解体費用の補助」を選んだ方が28.1%いました。関心の高さがうかがえます。

相談先に迷うときは、空き家・実家の相談先をまとめた記事も参考になさってください。売るか買い取ってもらうかで迷う場合は、空き家の買取と仲介の違いでお伝えしています。

相続人が多いご家族には、こうもお伝えしました。

藤木

「ちょっと踏ん張りどころだと思いますけど。お手伝いできるところは私がお手伝いしますので、一緒に頑張りましょう。」

(不動産事業部・藤木/2026年7月のお電話で)

❓ よくあるご質問

Q. 市から連絡が来たら、まず何をすればよいですか

文書に書かれている担当課へ連絡し、何を、いつまでに求められているのかを確かめてください。そのうえで、塀や屋根など危ない部分への応急の対応と、家全体をどうするかを分けて考えると整理しやすくなります。連絡が来た段階でも、当社では見立てのご相談をお受けしています。

Q. 相続の手続きが終わっていなくても、動けますか

動けることはあります。当社が提携している司法書士に確認したところ、登記の名義を書き換えなくても、解体そのものと、その後の建物滅失登記は進められます。ただし建物の解体は、原則として共有者(相続人)全員の同意が必要です。個別の事情で判断が変わるため、進める際は司法書士にご相談ください。

📝 この記事のまとめ

  • 空き家を持っていること自体に罰則はありません。罰則にあたるのは、特定空家等への命令に違反した場合(50万円以下)などの過料です
  • 管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が外れます。どちらの説明にも「おそれのある状態」という言葉が入っています
  • 福岡市では、令和8年にも命令が出ています
  • 全宅連の2026年の調査では「放置・何も考えていない」が20.7%。理由は調査にありませんが、見通しが立たないことが大きいと私は感じています
  • 最初の3歩は、いまの状態を知る・窓口を決める・見立てを取る。どれもお一人から始められます

市から連絡が来る前でも、来た後でも、ご相談いただけます。まずは、いまの状態を一緒に確かめるところから始めましょう。

本記事の調査の数字は、全国宅地建物取引業協会連合会『2026 住宅居住白書』(2026年9月23日公表)によります。空家法の手続きと命令の事例は、福岡市「福岡市の放置空家対策について」(2026年9月19日確認)によります。他の市町村では手続きの運用が異なる場合があります。お客様の言葉は、ご本人の了承を得て、お名前や場所が分からない形で掲載しています(録音の文字起こしから一部を抜き出し、言いよどみを省いています)。税額や軽減の適用は、物件所在地の区役所・市役所の税務担当にご確認ください。最終更新日:2026-09-25。

売却のご相談や査定については、不動産事業のページもあわせてご覧ください。

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