こんにちは。株式会社サンミライ開発、不動産事業部の藤木です。
実家の解体を考えはじめて、石綿(アスベスト)の事前調査が要ると知った。調べたり取り除いたりする費用に、補助金は使えないのだろうか。そう思って調べている方もいらっしゃると思います。
先にお伝えします。福岡市と北九州市のアスベストの補助は、解体を予定している建物を対象外としています。解体する家のアスベストの調査や除去には使えません。
2市の補助は、解体しない建物の吹付けアスベストの調査や除去のための制度だからです。ただ、解体の費用そのものには、別の制度(耐震の補助の中の除却の枠など)がある市区町村もあります。この記事では、次のことを順に整理します。
- 解体する建物に、アスベストの補助が使えない理由
- 補助の対象になるアスベストは「吹付け」だけ
- 解体しない建物なら:福岡市と北九州市の補助の中身
- ほかの市町村で、補助があるかの調べ方
- 解体の費用で確かめたい、別の制度と段取り
「使えるはず」と思って段取りを組む前に、ご自分の場合に当てはめながら読み進めてみてください。
🏠 福岡市・北九州市のアスベストの補助は、解体する建物には使えません
福岡市と北九州市のアスベストの補助は、どちらも「解体を予定している建築物」を対象外としています。調査の費用も、除去の費用も、解体に伴うものは補助されません。

福岡市のページは、補助の対象外となる場合の最初に「解体を予定している建築物」を挙げています。よくあるお問い合わせでも、「解体工事の場合、申請できますか」という問いに「できません」と答え、解体工事に伴う分析調査や除去等工事は補助の対象外としています。市の補助の要綱(決まりの文書)も、補助の対象の建物から「除却する予定のあるもの」を除いています。
北九州市のページも、「解体を予定している建築物は、補助の対象となりません」としています。すでに分析調査や除去の工事に取りかかっている場合も対象外です。
国の枠組み(国土交通省の住宅・建築物アスベスト改修事業)には、建物を解体するときのアスベスト除去の費用にあたる分も、補助の対象として書かれています。ただし、国の補助は「補助金制度がある地方公共団体において、活用することができます」とされていて、市などの制度を通して使うものです。2市の制度は、解体を予定している建物を対象外としています。
福岡市・北九州市で解体を決めた家のアスベストは、補助を待たずに、事前調査と工事の段取りを進めることになります。解体の費用そのものの補助は、このあとの別の制度で確かめましょう。
出典:福岡市「福岡市民間建築物吹付けアスベスト除去等対策事業のご案内」(2026年5月1日更新)、同 補助金交付要綱(第2条)、北九州市「補助事業の概要」(2026年4月20日更新)、厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「補助金制度」
🔍 国の枠組みと2市の補助は「吹付け」のアスベストだけが対象です
国の枠組みと福岡市・北九州市の補助は、吹き付けられたアスベスト(吹付けアスベストや、アスベストを含む吹付けロックウール)を対象にしています。福岡市では、外壁の塗装や、板などの成形板に含まれるアスベストは対象外です。
国の枠組みが、補助の対象とする石綿を「吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール」としているためです。北九州市も「綿状のものに限り補助対象」としています。
福岡市のよくあるお問い合わせは、次のように答えています。
| こんなとき | 福岡市の答え |
|---|---|
| 木造の戸建て住宅 | 吹付けアスベストが使われていることは、通常ありません |
| マンションなどの共同住宅 | 駐車場や機械室の中などに使われている可能性があります |
| 外壁の塗装にアスベストがあると言われた | 申請できません(石綿を含む仕上塗材は、吹付けアスベストではないため) |
| 壁や天井の板などにアスベストがあると言われた | 申請できません(石綿を含む成形板等は、吹付けアスベストではないため) |
事前調査で「石綿あり」と言われたら、それが吹付けのものか、塗装や板などに含まれるものかを、調べた業者に確かめましょう。補助の話は、そこから始まります。
出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「補助金制度」、福岡市(よくあるお問い合わせ)、北九州市「補助事業の概要」
🏛️ 解体しない建物なら:福岡市と北九州市の補助の中身
解体せずに使い続ける建物の吹付けアスベストなら、2市とも、分析調査と除去等の工事の費用の一部を補助しています。どちらも、申し込む前に市への事前相談が要ります。
福岡市は、市内の民間の建物の所有者等を対象に、分析調査の費用と除去等の工事の費用の一部を補助しています。北九州市も、吹付けアスベスト等の除去工事等を行う建物の所有者等を対象にしています。上限の額は2市で違います。
| 福岡市 | 北九州市 | |
|---|---|---|
| 分析調査 | 上限25万円まで全額 | 対象費用の10/10(上限25万円) |
| 除去等の工事 | 費用の3分の2(上限300万円) | 対象費用の2/3(上限120万円。分析調査で補助を受けたときは、その額を差し引く=合計120万円) |
| 受付 | 分析調査は令和8年12月25日まで、除去等は令和8年11月27日まで | 令和8年4月13日から先着順 |
| 共通の注意 | 事前相談が必要。予算がなくなると、期限の前でも受付を終えることがある | 申請の前に市への相談が要る。予算の上限に達したら募集を終える |
福岡市では、交付の決定の前に契約や工事をすると、補助の対象外になります。分析機関や工事の業者とすでに契約している建物、すでに工事が終わった建物、同じ敷地ですでにこの補助を受けた建物も対象外です(補助は敷地ごとに1回)。申し込めるのは建物の所有者で、分譲マンションなどでは管理組合などの代表者です。
使えそうなときは、業者と契約する前に、市の窓口へ相談しましょう。受付の期限や状況は年度ごとに変わることがあるため、相談の前に市のページで今の案内をご覧ください。
出典:福岡市(対象者・対象外となる場合・期限・注意事項)、北九州市(補助金の額・令和8年度の募集)
🗺️ ほかの市町村では、国の一覧と市町村の窓口で確かめます
福岡市・北九州市のほかの市町村にアスベストの補助があるかは、国土交通省の一覧で目安をつけ、今の制度は市町村の窓口で確かめます。
国土交通省は、自治体ごとのアスベストの補助制度の有無を調べて公表しています。令和7年4月1日時点の一覧では、福岡県内は次のとおりでした。
| 自治体 | 令和7年4月1日時点の一覧 |
|---|---|
| 福岡市・北九州市 | 調査と除去等の補助あり |
| 大牟田市・久留米市 | 調査の補助あり |
| 福岡県 | 「融資等」の区分 |
| 福岡県内のほかの市町村 | 一覧には載っていない |
| 佐賀県 | 調査の補助あり・「融資等」(佐賀県内の市町は一覧に載っていない) |
この一覧は令和7年4月時点のもので、今年度の制度を示すものではありません。また、補助の対象になる建材の種類にとらわれずに回答を集めたものなので、大牟田市・久留米市の補助が吹付けアスベストの調査のものかは、この一覧からは分かりません。一覧に載っていない市町村も、「制度がない」とは言い切れません。
お住まいの市町村の窓口に、「民間の建物のアスベストの補助はありますか。解体する建物も対象ですか」と尋ねるのが確かです。福岡県の「融資等」がどんな仕組みかも、県の窓口で聞くことができます。
出典:国土交通省 参考資料『民間建築物に対するアスベスト除去等の補助制度の創設状況等について』(令和8年2月6日の報道発表)
🧭 解体の費用は、別の制度と段取りで確かめます
解体の費用そのものの補助は、アスベストの補助とは別の制度です。福岡県は、市町村を通じて、建替え等に伴う古い木造住宅の除却(解体)の費用の一部を補助しています。行っているかどうかは市町村ごとに違います。
福岡県のページは、昭和56年5月以前に建てられた木造の戸建て住宅で、耐震診断で倒壊の危険があると判断されたもの、耐震性のある住宅を確保した上で除却を行うことなどを、主な要件として挙げています。ただし、補助を実施しているか、要件や金額は市町村によって違うため、お住まいの市町村に確かめるよう書かれています。福岡・佐賀の解体の補助の2つの種類は、実家じまいの補助金|福岡・佐賀の2種類と注意3つで整理しています。
解体する家では、補助があってもなくても、石綿の事前調査が工事の前に要ります。福岡市のページは、工事の発注者(施主)に、見積に事前調査の費用が含まれているかを確かめるよう呼びかけています。施主が確かめることは、解体のアスベスト事前調査|施主が確かめる5つにまとめました。
解体の補助を考えているなら、業者と契約する前に、市町村の窓口で対象になるかと申し込みの時期を聞いておきましょう。
補助の有無と事前調査の段取りを、解体の見積りといっしょに確かめておくと、あとで慌てずに済みます。解体工事のご相談やお見積りについては、アスベスト解体のページもあわせてご覧ください。
出典:福岡県 木造戸建て住宅の性能向上改修等の補助のページ(2026年7月22日更新)、福岡市「自宅や所有物件のリフォーム・解体工事を行うときは」
❓ よくあるご質問
Q. 解体の前の事前調査の費用だけでも、補助になりませんか
福岡市では、なりません。よくあるお問い合わせで、解体工事に伴う分析調査は補助の対象外とされています。北九州市も、解体を予定している建物を対象外としています。
Q. 増築や大きな改修を予定している建物は、どうですか
福岡市では、建築基準法が適用される増改築等を予定している建物も、補助の対象外とされています。工事の内容がこれにあたるかは、市の窓口で確かめてください。
出典:福岡市(対象者・対象外となる場合・よくあるお問い合わせ)
📝 この記事のまとめ
- 福岡市・北九州市のアスベストの補助は、解体を予定している建物を対象外としています。解体に伴う調査・除去には使えません
- 国の枠組みと2市の補助の対象は、吹付けのアスベストです。外壁の塗装や板などの成形板に含まれるものは対象外です(福岡市)
- 解体しない建物なら、2市とも調査と除去の費用の一部を補助しています。契約の前に、市への事前相談が要ります
- ほかの市町村は、国の一覧で目安をつけ、今の制度は窓口で確かめます
- 解体の費用は、耐震の補助の中の除却の枠など別の制度で確かめ、事前調査の段取りもいっしょに進めます
アスベストの補助が使えないと分かると、がっかりされるかもしれません。それでも、使えない制度を待って段取りが遅れるより、早めに分かって次の手を打てるほうが、長いあいだ家族を守ってきた家とのお別れを落ち着いて進められます。解体や事前調査の段取りで分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年度の制度に基づく解説です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事は、福岡市の吹付けアスベストの補助の案内(2026年5月1日更新)と補助金交付要綱、北九州市の補助事業の概要(2026年4月20日更新)、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイト、国土交通省の補助制度の一覧(令和7年4月1日時点)、福岡県の住宅の補助のページに基づく一般的な説明です。補助の受付の状況や条件は年度ごとに変わることがあります。ご自分の建物が対象になるかは、市町村・県の窓口にご確認ください。最終更新日:2026-10-29。
解体工事のご相談やお見積りについては、解体工事のページもあわせてご覧ください。